国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2004/01/08

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
    平成16年(2004年)1月8日(木曜日)
通巻 第736号
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 ネオコンの代表選手、クラウサマーがまた問題論文
 「同盟諸国との決別」(TIME、1月12日号)を発表
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 いつも論争を挑むのはかれにとって趣味のごとしである。
 チャールズ・クラウサマーがまたまた問題論文を書いた。題して「フェアウェル・ツゥ・アライズ(同盟諸国よ、さようなら)」。

 この人、ネオコンを代表する論客で、昨年も「日本に核武装をさせよう」などと一見鬼面をてらった論理を組み立て、米国の保守論壇に衝撃をまき散らす“前科”がある。
日本をカードにして中国を米国戦略に引き込め、そのために日本に核武装させよ、とあくまでもゲーム理論に立脚するのだ。

 有名なネオコンの論客・ロバート・ケーガンにしても「欧米は同盟ではなく、お互いにこれからは違う生き方になる時代」と断言し、「もはやホッブスの欧州とリバイアサンを目指す米国では戦略目標も異なる」と言って、欧州諸国に残存する親米派、保守派をたいそう焦らせた(翻訳は「ネオコンの論理」、光文社)。
 
 さてクラウサマー、今度は何を言ったのか?
 大意は「冷戦時代に米国と同盟だった国々は、いまや(イラク関与などで)中立的で、さりとて米国は一人高く聳え、同盟諸国なしでもやっていける」。

 (これって傲慢すぎない?日本は自衛隊を派遣するんですけど?)

 「イラク戦争に前後して米国の政策に楯突いたフランス、ドイツ、露西亜は同盟国ではなくなった。もっとも永遠の利益関与が無い限り永遠の同盟も無いが、共産主義が消えたいまの世界では旧同盟が消滅するのも自然といえば自然だ」とずばり本質論からクラウサマーは論じ始める。

「グランド・ゼロはパリではなくニューヨークであり、イラクやアルカィーダは米国を当面唯一の敵として憎んでいる。死活的な安全保障のために米国の傘にはいったイタリア、スペイン、ポルトガル、ポーランドや、長期的同盟のイギリス、オーストラリアを除けば、真の友人は少ししか居ない(日本は名指しされていない!)。中国は(戦略的パートナーだったはずだが)経済繁栄と軍事力強化のみに関心があり、西欧はヨーロッパ大陸の東側へウェイトを移行している」。
だからイラク問題では「中立」なのだ、という。 

 「中立は米国の罪を詩的に引き立たせるだろう。だが、中立にはしる国々とて米国への憎しみを持つわけでもなく、問題は情緒にあらずして、かれらの打算にある。世界秩序は、したがって米国単独の作業となった」と言うのが結論。

 「米国が日本を見放す日」もシナリオに入れて国家のあり方を真剣に考えるときがきた。
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  新興財閥の経営者が北京大学で講演し、共産党の農政を批判した
      すぐに讒言され、「でっち上げの罪」で逮捕された
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ロンドン「エコノミスト」誌(04年1月3日号)に依れば、中国東北地方で農業商社を営んで大成功を収めているサン・ダウゥ(音訳不明)社長が、突然、共産党の地区幹部に近くのホテルへ「昼飯でも一緒に食べませんか」と呼び出され、迂闊に入室するや警察に逮捕された。

 集団農業からプライベート農業で成功した有名実業家を妬む共産主義者の讒言によるとされるのだが、逮捕の数週間前にサン社長は北京大学へ乗り込み、共産党の農業政策をさんざんにこき下ろした事実がある。
 
名目的な逮捕理由は「非合法の前受金を受け取った」ことが犯罪とされ、昨年五月に捕まり、十月に裁判開始。 

「これは不当逮捕ではないのか」と連想集団の柳伝志ら若手著名企業かが反対声明を連署で発表し、ようやくこの事件は国際的に知られる。「連想」(リジェンド・コンピュータ)の柳伝志といえば、中国のビルゲーツ、いまや国際的有名人だ。

 中国の地方新聞は幹部の汚職摘発に熱心だが、こと共産党中央の政策となると絶対に批判したりはしない。
 それを新興財閥の若手経営者が堂々と行ったら、なんであれ、でっち上げの理由をつけて逮捕する。

これが共産党独裁社会において、党のコネがなくて大成功をおさめると周囲から疎まれ、自由な活動を展開しようとする企業家のたどる道のようである。
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日本と台湾の有志が外務省へ抗議行動
日本外務省の台湾への内政干渉に関して抗議文を突きつけた
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昨日(7日)行われた有志による外務省への「抗議文」は次の通り。

 吾人は外務省の田中均外務審議官が中国外相に「一中一台」「台湾独立」に反対する旨を約し、あるいは堀之内秀久中国課長を推進者として台湾総統の「憲法制定・国民投票」の政策にクレームをつけたなどの、これら一連の対台湾内政干渉の非道を断じて許すことができない。
 台湾がいかなる国家形態を採用するかは台湾国民の自由意志よって決定されるべきことである。外務省は台湾及び台湾国民の自由と尊厳を絶対に踏み躙るな!  
 中国は「一つの中国」なるデッチ上げの根拠を振りかざし、台湾の併呑を計画している。外務省はこのような国のいかなる侵略の策謀にも加担するな! そしてこの国の軍備拡張阻止のため、断固として有効なる措置を早急に採れ! 吾人は台湾の尊厳を守る台湾国民として、あるいは日本の名誉を守る日本国民として、東亜地域の禍根たる中国の走狗に成り下がり、国際正義を蹂躙して平和秩序を攪乱する外務省に対し、断固抗議を行うとともに、中国にのみ奉仕する官僚を懲戒免職に処して台湾の政府及び国民に謝罪し、今後道義と理性ある外交に邁進することを強く要求する。
   平成十六年一月七日      台湾の尊厳を守る日台国民行動
(代表呼掛け人 陳明裕(在日台湾同郷会会長)。
              
外務大臣         川 口 順 子 殿
外務省外務審議官 田 中    均 殿
外務省中国課長   堀之内 秀久 殿
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(休刊のお知らせ)◎明日付けより地方講演などのため連休明けまで休刊します。次号は1月13日号(火曜日)に発行の予定、したがって本日は特大号です◎
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<<宮崎正弘のロングセラーズ>> 
 「ネオコンの標的」(二見書房、1500円 プラス税)
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 「ザ・グレート・ゲーム」(小学館文庫、476円)
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(読者の声1)アモイ在住です。昨日附けの御誌の配信では、中国の電力の配給事情が書かれていました。厦門(アモイ)は昨03年より電力事情は大変悪く、工場は週2日16時間の動力節電を強いられて、或るメーカーの場合は8:00〜24:00の16時間は手作業しか出来ず、設備・動力は0:00〜8:00にのみ稼動となり生産ダウンのダメージをうけ、狭い工場内は仕掛品の山となっております。発電機購入の話も建屋事情から不可となりお手上げです。
年末は18:00〜20:00の一般家庭停電もあり、街の一角が真っ暗となり食事や帰宅もままならず、明かりのある繁華街へ足を運び、出費がかさむという笑えないことすら多々ありました。この電力事情の悪化は本年がピークとの説があります。
 厦門の街は道路の両脇に並木と緑地帯をふんだんに設け、街全体が公園の様相を呈しております。けれども街を汚す(?)中国人の習慣は変わりませんので、一応、毎朝掃除がされるものの、すぐに汚れ、あまり意味はないのですが。。。
           (TT生、在福建省)


(宮崎正弘のコメント)偶然とはいえ、まさに実況中継のような停電事情をお知らせいただき感謝しております。アモイは「台湾の松下幸之助」といわれる台湾プラスチック集団総裁の王永慶がつくった発電所が全面稼働すれば問題ないと思っていたのですが、それじゃ、上海より福建省では電力事情が悪いようですね。小生も先月、上海で町の照明が異様に暗いのでおかしいと思っておりました。大変、参考になりました。ありがとう御座いました。
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(読者の声2)以前、宮崎さんのメルマガで紹介されていた、「沈黙・謝罪から自己主張へ」〔佐藤仁・古屋武夫共著、日新報道〕を読ませていただきました。以前から、日本人の愛国者が書く文章を読むたびに、もしこれを英語に訳して教養と良識ある外国人が読んだらどう受け取るかということを考慮して書くことも意義あることであると思っていました。
ところが読むに耐えないものがほとんどです。
この「沈黙・謝罪から自己主張へ」を読んでみて、がっかりしました。見解・意見で私と異なる点があるのは仕方がないとしても、事実の記述での間違いがあまりにも多いのにびっくりしました。二つ例を挙げましょう。国際連合の敵国条項の対象国として日本とドイツに加えイタリアも記されています。イタリアは、国際連合の原加盟国です。連合国に敗戦後、日本とドイツに宣戦布告しています。西洋列強が遠洋航海する場合、「脚気」(beriberi)にかかる者が多かった旨かかれています。ビタミンBの多い麦を常食する西洋人に脚気はほとんどありません。多いのは「壊血病」(scurvy)です。beriberiは元々インドネシア語からきています。このことからも西洋人に脚気が少ないことが慮れます。
ちょっと調べれば確認できることも確認せず、無責任に書きなぐった文章が多く見られます。上記のような誤りがほとんど全てのページにあり、おそらく全部で100くらいあると思います。しかし、私がもっと問題だと思うのは、取り上げられた話題です。真珠湾攻撃の正当性とか、南京大虐殺などは、世界中のほとんどの人にとって、今さらどうでもよい問題です。そこにまで、彼らが眼を向けるように持っていくのは、二の次、三の次の問題です。喫緊の問題として、より重要なのは、竹島と尖閣列島の領有問題です。いずれも、国際法上からも常識的判断という観点からも日本領であることは明確です。にもかかわらず、米国政府高官が、「尖閣列島問題は、日米安保条約上、米国に脳栄義務があるが、日本政府が防衛出動を要請しないことを期待する」などというふざけたことを言っても、日本政府も日本の言論界の面々も講義をしないどころが、これが非常に不当な対応だという意識すらないことが恐ろしい。北朝鮮が佐渡島を占領して、米国政府高官が、「この問題は、日米安保条約上、米国に脳栄義務があるが、日本政府が防衛出動を要請しないことを期待する」といったらどうするのだろうか。
         (ST生、神奈川)
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(読者の声3)例の「六カ国協議」の”開催の条件”として、北朝鮮は金体制の保障と石油・食料などの提供を前提条件として強硬に主張している。本来は協議の場で話し合うのが常識なのだが、北は”事前”にこれを呑まないなら開催拒否という。話し合いの前に約束せよというのは、国際外交慣例はもとより、我々の日常の一般慣習からみても非常識極まりないものである。
 金正日はなんとも”戦争ゴッコ”の好きな人であるのは分かっているが、戦後50年、北が国際的に孤立してきた所以はまさにこの非常識的民族性にある。
ところで最近になって、戦後あれほど対立してきた北と南が金大中政権時代に一時的融和した背景がようやく明るみに出てきた。すなわち金大中が桁外れの賄賂を金正日に送ったことで両者の(歴史的)会談が成立した。この功績で金大中氏はノーベル平和賞を得たが、まさに権威あるノーベル賞までもが賄賂で獲得した訳だ。それどころか、南北民族融和を名目にスポーツ交流が行われ、韓国の大衆の大歓迎と感激を生んだが、これも金雲竜国際オリンピック委員会副委員長が莫大な賄賂を北に送ったことが判明している。単に会うだけも莫大な金を要求してきたことを考えると、ひょっとしたら小泉・金正日会談も背景には、お膳立てした外務省のT氏あたりが、ゲンナマを支払う内緒の約束があったのかも知れない。少なくとも5人の拉致家族が帰国できた背景には、何らかの口約束をしたのは間違いないであろう。この件で北が日本を非難するのは見返りの金が支払われていないという事と考えてよい。今回のこの話は、秀吉の朝鮮出兵の際、明側代理人と小西行長との間で交わされた外交密約に非常に似ている。双方がグルになって相手国のトップを騙しにかかった過程は実にソックリである。まさに「歴史は繰り返す」の譬え通りである。小泉しさんもシッカリしてもらいたいものだ。
ところで、この金は当然我々の血税から出費される。それもちょっとやそっとの金では無いはずだ。仮に6カ国協議が開催されたとしても、残りの4カ国によって日本だけがベラボウな金を負担する約束を迫られることだけは断じて反対である。
(MI生)
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(編集部より)ご意見は基礎的に全文を尊重しておりますが、編集技術上の理由から、多少短くしたり、表現を少し変更している箇所があります。ご了解下さい。それから随分と長文の御投稿をいただくことがありますが、なるべき簡潔な文章をお願いします。
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 三島由紀夫研究会「公開講座」のご案内
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三島由紀夫が若き日に憧れたイタリア人作家にダヌンツィオがいます。
  「死の行進」など世界的ベストセラーで知られるダヌンツィオは、義勇兵を率い、ムッソリーニに先駆けて北イタリアのフィウメで決起しました。実に三島氏の最後の行動と酷似するのです。
 そこでつぎの公開講座には「ダヌンツィオの楽園」を上梓された演劇評論家の田之倉 稔氏(前静岡県立大学教授)をお招きし、両者を比較研究された成果について大いに語って貰います。 

とき     1月26日(月曜日) 午後7時から8時半まで。
ところ    高田馬場「大正セントラルホテル」3階会議室
演題と講師  田之倉 稔 先生 「三島由紀夫とダヌンツィオ」
会費     おひとり 2000円
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<<宮崎正弘のロングセラーズ>> 
 「ネオコンの標的」(二見書房、1500円 プラス税)
 「拉致」(徳間文庫、590円 プラス税、以下同)
 「ザ・グレート・ゲーム」(小学館文庫、476円)
 「胡錦濤 中国の新覇権戦略」(KKベストセラーズ、1460円)
「いま中国はこうなっている」(徳間書店、1500円)
 「本当は中国で何がおきているのか」(徳間書店、1600円)
 「迷走中国の天国と地獄」(清流出版、1500円)
 「風紀紊乱たる中国」(清流出版、1500円)
◎上記などの拙著は下記のサイトから宅配便での注文が出来ます。“
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_result_book.cgi/3f31f0f307f4a0103739?aid=&srch=4&st=&auid=110000964320000
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(休刊のお知らせ)◎明日付けより地方講演などのため連休明けまで休刊します。次号は1月13日号(火曜日)になります◎
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