国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2002/12/27

●本年(平成14年)最後の発行です。○来年もよろしくご愛読ください“
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  宮崎正弘の国際ニュース・早読み
      平成14年(2002)12月27日(金曜日)
           通巻466号
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 本年最終版ですので来年の景気予測を掲げます。
            ○

  長期の「デフレ・スパイラル」はまだまだ続く
 イラクがおわれば円安傾向に理論的にはぶれるだろうし、「円安」にならなければ本格的不況から恐慌に移行する
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  米軍のイラク攻撃は秒読み段階である。
 イラクの大量破壊兵器を軍事的に始末してしまうまで、米国はイギリスと組み、アラブ諸国周辺を取り囲んで軍事的示威を繰り返し、「いざ」となれば戦争を辞さない強硬な外交姿勢は本物である。
 米国内ではブッシュ再選は規定の方針、ゴアは次の次にエネルギー温存のために逃げた。民主党はおそらく泡沫であばずれヒラリーを2004年大統領民主党候補に選ぶだろう。

 国連を中心とした話し合い解決は、もはや期待薄であり、世界経済は今後、軍事的な「介入程度」にもよるが、?石油?ヨーロッパの権益組の米国牽制動き?中露の蠢動などが大きな要素を形成するだろう。もちろん市場は荒れる。

 現在の「ドル高」は一時的現象で終わりそうである。まずヨーロッパ通貨がドルよりも強いが、ドイツは株式を40%も下げ、すなわちEUの牽引車がフラフラでドイツマルクが市場最低値をつけているにもかかわらずドル・レートでユーロが高いのは異常。 
 
 イラクへの軍事攻撃がおこなわれた場合、短期間には石油価格が高騰し、局部的なインフレと現象的ドル高になるだろう。「戦争はドル買い」は鉄則である。
 最も困るのは戦略備蓄のない中国である。
 しかし日本の百八十日分を筆頭に戦略備蓄をしている先進工業国家が多く、石油暴騰は一時的で収まるだろう。
 しかも今回は日本政府が異例の迅速さを発揮して対米協力を惜しまず、外務省は防衛庁を抱き込んで失地回復のためイージス艦の派遣まで決定した。アジアからの懸念は中国の政治宣伝は別として殆ど無かった。

  ○ドイツも沈没を開始した
 
 ところが対米協力を惜しんだドイツは景気下降が続き、とはいっても競争力回復の特効薬たる「マルク切り下げ」が出来ない。だから皮肉なことに「ドイツのユーロからの脱退」が視野に入ってくる。

 イラク攻撃で深刻な経済的影響が出るのはドイツ、また「戦後復興」という文脈では石油輸出に陰りのでるロシアが裨益組から外れよう。
 対ユーロではドル高に転換するだろう。
 また金価格が昨今、不気味に高騰を示しているが、この傾向はしばらく続く。

   ○北朝鮮要素

 東アジアに限定して言えば、日本経済にとって「北朝鮮」要素のほうがイラクなどより遙かに大きな爆弾である。
 クルド族の反乱、シーア派の蜂起などのシナリオは中東およびヨーロッパに影響を与えても日本には特需も無ければ弊害も少ない。
 平和愛好は机上の空論に過ぎないのだが、今後の為替や株式市場の展望を「経済要素」だけで国際情勢を推し量ろうとするエコノミスト、アナリストが主流の日本では、北朝鮮の核も化学細菌兵器の恐怖についても対応がピントはずれである。
 イラク並みの攻撃が北朝鮮へ行われる可能性は現段階で薄いとはいえ、「イラク以後」は誰もわかるまい。
  「北」が軍事的冒険にでてきた場合、ドル高、石油暴騰、金価格暴騰は自然の流れである。

 基本的に世界経済は長いデフレが続くーー半世紀はデフレだと言うエコノミストもいるーーそのため製造業が弱い米国経済は寧ろ経済が回復基調になる。
 オニール、リンゼイというブッシュ政権の経済閣僚更迭を市場が歓迎した。またFRBの金利据え置き決定と減税政策により、米国では住宅ローンと自動車販売が今後も伸張する。ウォール街の株価も一服だろう。
 だが国際金融的に見れば、従来まで米国に集中していた世界の投資資金がサウジアラビアに代表されるごとくにウォール街から引き上げた。この要素がどう転ぶのか。


  ○国富2609兆円はまだまだ目減りをする

 従って中長期的には、ドル安になりやすい。現状はイラク攻撃シナリオが強く存在するため一時的なドル高局面に陥っているのだ。
 米国景気が回復するとすれば、デフレ気味の世界からの輸入が継続され、ドルは高止まりの必要が無くなる。
 日本は軍事ばかりか経済的にも主導権をとれず、世界の動きに対して付随的な対応で乗り切るしかない。イラクと北朝鮮という当面の爆弾を前に、いかに生き延びるか。

 国富は減少に歯止めがかからず、とうとう2906兆円にまで凹んだ。一方で赤字国債は630兆円。国民の富が(1400兆円の金融資産をふくめて)、赤字国債の担保とされている限り、破産はないものの、小泉政権の無定見路線では、今後も経済が悪化することはあっても回復は望めない。

 国民所得は減少しつづけ、一人あたりのGDPは400万円から300万円に限りなくちかづく。一ドル120円の前者は3万3千ドルだが、一ドル130円台の後者は、いきなり2万3千ドル。国際的ランクが突如沈没に近い下げを示すのはこのためである。

 ドル安=円高より国内雇用の回復、輸出競争力維持のためにはドル高=円安の方がのぞましいことは言うまでもない。
 今年こそ、決定的な円安を日本の方針としない限りどん底から這い上がることは不可能である。

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(書評のページ)
  
 稲盛和夫監修 「日本国改造プログラム」

 熱き制度改革への提言だが、イギリス的改革に軸足
        
評 宮崎正弘

 本書が取り上げている改革の対象は外交、教育、政治資金なと実に幅広い。日本の病巣が顕現されていると言っても良い。
  教育に欠けているのは魂だ、とする勇ましい提言もある。
 改革への沸騰するほどの熱意が伝わるが、制度の洗い直しが主なので所詮「制度論」の陥穽にはまった側面も否めない。
 たとえば有権者資格を18歳に引き下げ、首相を公選し、強力な行政監視機構を国会内に作れ等の提言は日本の伝統、文化とは乖離したものに映る。
 また咀嚼できにくい専門用語の羅列が気になる。
「選挙においてITを自由化させ候補者と有権者をインタラクティブに繋ぐ」「
電子システムによる新なるダイレクト・デモクラシーを生み出す」などの表現は最も投票率の高い壮年層に拒否反応を起こす懼れがあるのではないか。
 抽象的より具体的提言をと心がけた努力の足跡はあるが「時代に即した憲法の創世」とか「国家の主体性と基本理念の確立」、「市民外交」など抽象的な言葉が随所に見られる。
 これらの矛盾を爽やかに補うのは監修者、稲盛和夫氏の箴言的序文である。
 すなわち国家改造とは「動機善なりや、私心なかりしか」と福沢諭吉の残した精神に基本を置くべきで「日本は自由主義経済圏にあるといわれながら政官業が癒着した、まさに規制大国」である。それを如何に是正するか。
「財政改革、経済再生」等と獅子吼しても「官僚主導システムをそのままにして、いくら国の予算をつぎ込んでも穴の抜けた桶に水を流し込む」がごとしと痛烈である。最近の悪例は道路公団改革議論であろうが。。。
 改革は国民の自覚を伴わなければ遂行されないだろう。
「悪政を誰かの所為」だけにしていては前進はあり得ず「社会の隅を照らすのは国民ひとりひとりの責任である」と仏教哲学的な稲盛氏独自の結論がでる。


 (この文章は「経済界」1月14日号より転載したものです)

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  • 2YYlvqN1TSv2016/04/26

    I do “take care of my8&;fe#s221l, take time for Yoga (at lunch time on the working days), go for a swim (kinda killing time while waiting for my girl to finish her swimming class).  and also i do “spend time alone” not that often, but i just did it yesterday evening with my girlfriend. it was totally a nice feeling to be able to have a decent conversation with friend, and don’t have to look around what and where my girls are doing.  eventually, when mommy is happy, everybody is happy!!