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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日:12/30

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     宮崎正弘の国際ニュース・早読み
        平成13年(2001)12月30日(日曜日、臨時増刊)
             通巻 261号  
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◆ ☆このWEBニュースはほぼ日刊。転送自由
◆ http://www.melma.com/mag/06/m00045206/a00000060.html
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  丹羽春喜論文が指摘する中国国防費の謎
    本当は一体いくら使っているのか?
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  西側のチャイナ・ウォッチャーの間でいつも論議が沸騰するのは中国の本当の国防費である。
 嘗て軍の近代化を掲げたトウ小平は百万人の兵士を解雇した。革命戦争を戦った軍の長老たちにも車と年金をつけて第一線から引退させた。
 
その後も五十万、八十万単位でのリストラが続いたが、兵士は十の扱いになれ、中には爆弾を作れるベテランもいて、補償なく市井へ放り出せば彼らは「暴動予備軍」となる。そこで江沢民は第二軍である「人民武装警察」を発足させ、軍をリストラされた兵士の「失業対策」として治安の維持にあたらせる。
 
公表数字だけでも中国の軍事費は、毎年毎年「二桁成長」を遂げているが、その実態は霧の中である。まさに「聖域」扱いで、軍のよほどの幹部でも知らない。
 
 ☆中華思想は輸入兵器の存在さえ認めない

ある研究者は「中華思想からいって(世界の文明の中心であると教えているわけだから)、中国が外国の武器を買うはずがないという前提にたつ。だが実際にはソ連製武器はライセンス生産しているし、潜水艦、ミサイル駆逐艦などは直接輸入された兵器などは「軍事関連予算」にさえ計上されていない」という。
 そもそも暴走しはじた中華ナショナリズムは「外国製武器を中国が購入している事実さえ認めない」のだ。
  それ故中国軍の本当の軍事費の真相に迫ることは大変な難事業といえる。

 さて中国研究の専門誌「問題と研究」の2001年12月号に「中国軍事支出動向に着いての推計と考察」を書かれたのは嘗てソ連の軍事費を独自のモデルからはじかれてソ連の経済的行き詰まりから崩壊を予測した丹羽春喜(逢坂学院大学経済学部大学院教授)と松木隆同大学講師である。
 
 この論文の主旨を簡単に紹介しよう。
 「二○○○年三月に開催された中国の第九期全国人民代表大会第三回会議において、二○○○年の中国の中央・地方政府予算案では「国防費」(公表ベース)が前年当初予算比一五・一%増の一二○五億元(一元=約一三円、約一兆五六○○億円)とされ、さらに、二○○一年三月に開かれた全国人民代表大会第四回会議においては、二○○一年の「国防費」予算額(同じく公表ベース)が対前年当初予算比一七%増の一四一○億四○万元とされた。これにより中国の「国防費」(公表ベース)は、一九八九年以来一三年連続の二桁成長となり、一九九五年より二○○○年までの期間にその額はほぼ倍増の一・九倍となっ」ている。
 これだけでも驚くべきことである。

 しかし「公表ベース」だけで中国の国防費を推計するのは極めて危険であり、「なお依然として不明の部分が」あるため「真の軍事支出額」はなぞなのである。
 丹羽教授らは続ける。
「中国政府が公表している「国防費」はあくまでも全軍事支出額の一構成項目に過ぎず、軍事支出総額である「真の」軍事支出額は全く公表されていない」と。

 「公表国防費」の内訳は「国防部が所轄する国家財政支出項目の一つ」でしかなく「国防部所轄の人員の生活費、部隊・機関の活動維持費、装備費の三つ」、すなわち「日常運営費、同じく日常的・消耗品的な兵器・装備の取得費など経常的な消耗性の経費」だ。となるとやはり「主要な耐久材的ミリタリー・ハードウェアーとしての兵器・装備を研究・開発し生産・調達する費用は含まれていない」のである。
これらは予算的には他の名目に隠されて処理されている。

 ☆ドル換算比較もナンセンスだ

 また「為替レートを用いて米ドルに換算した中国の「公表国防費」の大きさとその対GDP比率を、他のアジア諸国の米ドル換算軍事支出額の大きさ、ならびに、その対GDP比率(同じく米ドル換算)と比べて」もそれは「きわめて限定された意味しか」ないと同教授は続ける。
 よく日本の自衛隊予算が「巨大であり、突出してアジア一」などと批判されるが、日本の防衛費はGDP1%以内という手枷足枷のうえに、世界一透明なガラス張りの予算であり、装備費に回されるより、大半が「世界で一番高い自衛隊委員の給与」である。

 ドルレートおよび生活レベルを勘案比較しなければ全くナンセンスな議論である。
 物価レベルから人件費を多角的に考察すれば中国は兵隊給与は「ただ同然」になるだろう。

 むしろ丹羽教授らは「「購買力平価」(PPP)で換算したとすれば、中国の額は、もっと大きく算定されたであろう」とされている。
 中国の「軍事支出総額は、中国政府が公式に公表している「国防費」よりもはるかに大き」いのである。

 まず第一に「国防科学研究費・国防基本建設費」などといった「兵器・装備開発のための経費」は「科学研究費(国家財政支出項目の社会文化教育費に含まれる)、基本建設費(国家財政支出項目の経済建設費に含まれる)に計上される。しかしながら、それらの金額については公表されていない」のである。
 つまり「科学研究費」支出の実態は国防関係の研究投資で「軍事関係R&Dに投入された」と推定される。

 第二に「人民武装警察費・民兵事業費・人民防空費」なる項目だが、これらは「行政管理費から支出される。民兵事業費とは各級政府による民兵の管理、維持、運営経費であり、人民防空費とは要域防空、重要施設の対空防護、市民防空経費などである」。

 第三に「軍事演習などの特別予算」だが、これらも「行政管理費に計上されていると推定される」。

  第四に「軍隊予算外経費」。これは「軍の生産活動などにより創出される政府財源以外の軍事資金で」でたとえば、「自家消費用の農作物の栽培、家畜の飼育など」。これら軍内部のアルバイトに加えて「軍企業の経営による利潤、国防工業部門の民用生産による利益、兵器輸出による利益」などと類推される。

 第五に「使途不明金」が多く存在する事実を丹羽教授らは指摘される。

 そこで丹羽教授らは「闇」に迫るために「国家備蓄増加額」に「公表国防費」と「軍事関連R&D支出」を合算した額を計算し、中国の軍事支出総額の動向について推計を出されている。
 その結果、中国の軍事費はGDPの5%前後に達しているだろう、と推論している。
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発行者プロフィール

宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

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