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徒然草を古文と英文で読もう

徒然草を古文と英文で読みましょう。古文と英文を同時に学べば、一石二鳥で、時間も短縮でき、しかも古文(=日本語)と英語の相違も明確になりますよ。

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徒然草を古文と英文で読もう

2004/06/09

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●        【徒然草を古文と英文で読もう】・第43号
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◆  徒然草・『The Miscellany of a Japanese Priest』
●    being a translation of Ture zure Gusa by WILLIAM N.PORTER

◆                           「古典と英語の宇宙塾」

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▲私は、現代の国語学者では、大野晋氏を一番尊敬しています。と
りわけ、大野氏が中心となって作成した岩波の古語辞典は、日本語
の基礎語の語源を本格的に追究した初めての辞書であり、初版は
1974年に出版されたものですが、それ以降、この斬新な辞典を超え
る古語辞典は一冊も出ていないと思っています。

 また、大野氏の日本語の起源をインドのタミール語に見る比較研
究は、語彙と文法構造を丹念に比較・論及したものであり、説得力
のある研究に成っていると私には思われます。

 大野氏の岩波古語辞典の作成や古代日本語とタミール語との比較
研究等々は、すばらしい業績だと思います。しかし、大野氏の研究
方法は、あくまでも日本語を資料的・文献学的に研究したものであ
り、言葉そのものを存在・認識論的に追求したものではないと私に
は思われます。国語学には成り得ていても、言語学には成り得てい
ないと私は思います。

 個別語を超えた言語そのものを追究する方法がないものか、特殊
から普遍へと到る方法がないものか、と私はしばしば夢想します。 

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徒然草

古文

英文

第22段・B

(イ)文のことばなどぞ、昔の反古(ほうご)どもはいみじき。たゞ言ふことばも、口惜(くちを)しうこそなりもて行くなれ。いにしへは、「車もたげよ」「火かゝげよ」とこそ言ひしを、今様の人は、「もてあげよ」「かきあげよ」と言ふ。

             

(ロ)主殿寮(とのもりれう)の「人数(にんじゆ)たて」といふべきを、「たちあかし、しろくせよ」と言ひ、最勝講(さいしようこう)の御聴聞所(みちやうもんどころ)なるをば、「御講(ごかう)の廬(ろ)」とこそ言ふを、「かうろ」と言ふ。くちをしとぞ、古き人はおほせられし。                    

(イ)Even the discarded written words and expressions of the olden times were better,and the everyday words of the present are becoming very poor.Of old they said,‘Kuruma motage−yo’(Take up the carriage),and ‘Hi kakage−yo’(Raise the lamp wick);but now men say,‘Mote age yo’(pick it up)and ‘Kaki age−yo’(Poke it up).

(ロ)The Palace officials ought to say,‘Ninzu tate’(Let the servants arise and do their duty);but now it is just,‘Tachi−akashi shiroku se−yo’(Light up brightly).And when the sacred books are read in the audience Chamber,they should call it ‘Go Ko no Ro’(Chamber of the August Explanation Chamber),but they say only ‘Ko−Ro’(Explanation Chamber).Somebody,rather old−fashioned perhaps,says that all this is much to be regretted.

【口語訳】

(イ)手紙の言葉など、昔の反古は、立派なものである。日常の言葉も、だんだんと情けなくなって行くようだ。昔は、「車もたげよ」「火かかげよ」と言ったものだが、当世の人は、「もてあげよ」「かきあげよ」と言う。

(ロ)主殿寮(とのもりりょう)の「人数たて」と言うべきところを、「たちあかししろくせよ」と言い、最勝講(さいしょうこう)の御聴聞所(みちょうもんどころ)である所を、「御講(ごこう)の廬(ろ)」と言うべきであるのに、「講廬(こうろ)」と略して言う。情けないことだと、ある古老がおっしゃられた。

 

(イ)
▲反古(n)…書き散らした古い紙。「ほご」「ほうぐ」「ほんご」などとも言う。

たゞ言ふことば…日常の言葉。文字に書かず、直接に口頭で言う言葉。

口惜(くちを)しうこそなりもて行くなれ…だんだんと情けなくなって行くようだ ― [「なれ」は、推定・伝聞の助動詞「なり」の已然形。]

車もたげよ…牛車(ぎっしゃ)を持ち上げよ ー [牛車の轅(ながえ)を持ち上げて、牛に牛車を引かせる用意をせよ、の意。]

▲discard(vt)…を捨てる。

★the present…現在。

carriage(n)…馬車,鉄道の客車,牛車。

wick(n)…(ろうそくやランプなどの)心,燈芯。

poke(vt,vi)…(棒などで)突く,突つく,かきたてる。

 

(ロ)
主殿寮(n)…宮内省に属し、宮中の灯火、清掃、乗り物などを司る役所。

人数たて ― [「人数ども、立て」という命令の言葉で、主殿寮の役人に、「灯火を明るくせよ」と命じる時に使った言葉と思われる。]

たちあかし、しろくせよ…たいまつを明るくせよ ― [「たちあかし」は「立明」で、「たいまつ」のこと。]

最勝講(n)…清涼殿で、五月の吉日に、最勝王経を講説し、国家の安泰を祈る法会。

御聴聞所(n)…天皇が講説を聞かれる御座所。

廬(n)…庵,小屋 ―[ここでは、臨時の御座所、の意。]

the Palace officials…宮中の職員。

arise(vt)…立ち上がる,起る。

★sacred(a)…神聖な,尊敬に値する。

audience(n)…聴聞,聴衆。

chamber(n)…特別室,間,会議所。

august(a)…威厳のある,畏敬の念を起こさせる。

▲explanation(n)…説明,解釈。

old−fashioned(a)…古風な,旧式の。

※上の★印は、最も重要度の高い語・文法を、▲印は、次に重要度の高
い語・文法を表します。★印と▲印の箇所は、大学入試に必要なもので
すので、特に受験生の方は、注意して読んで下さい。
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                 『古典文法新論』(8)

【3】未来の文

 「鳥鳴く」という文を未来の文にするには、動詞「鳴く(nak-u)」を未然形
の「鳴か(nak-a)」に変え、それに助動詞の「む(ん)」「むず(んず)」「まし」
「まほし」などを後接させなければならない。                 

 「鳥鳴か・む(ん)」「鳥鳴か・むず(んず)」「鳥鳴か・まほし」「鳥鳴か・まし」 

 「む(ん)」は、未来時の事象についての推量や意志を表す助動詞である。

 「むず(んず)」は、「むとす(「む」は推量・意志の助動詞、「と」は格助詞、
「す」はサ変動詞)の縮まったもので、やはり未来時の事象についての推
量や意志を表す助動詞である。

 「まほし」は、推量・意志の助動詞「む」のク語法の「まく」に形容詞「欲し」
の付いた「まくほし」が縮まったもので、未来時の事象についての願望を
表す助動詞である。

 「まし」は、現実に反することや実現不可能な事を想像する助動詞である。
(ただし、この「まし」は、未来時の事象だけでなく、過去時や現在時の事象
にも関係する助動詞であるから、注意を要する。)

 以上見て来たように、「む」「むず」「まほし」(「まし」)などは、すベて未来
時の事象に関係する助動詞である。よってこれらは一括して未来時の助
動詞と呼ぶことができよう。

 なお、動詞の未然形は、「む」「むず」「まほし」などの未来時の助動詞を
誘導するのだから、この活用形には未来時という時を示唆する時の意識
が潜んでいると見るべきであろう。

 【4】否定の文

 「鳥鳴く」という文を否定の文にするには、動詞「鳴く」を未然形に変え、
助動詞の「ず」や「じ」を後接させなければならない。

 「鳥鳴か・ず」「鳥鳴か・じ」        

 「ず」は、打消の意味を表し、「じ」は、打消の推量や意志の意味を表す。
よって、この「ず」と「じ」とは、一括して打消の助動詞と呼ぶことができよう。

 ただし、「じ」の方は、打消の意味しか表さぬ「ず」とは違い、推量や意志
の意味も表すのだから、【3】で述べた未来時の助動詞の一つと見なすこ
ともできる。

 【5】動詞の未然形について

 【3】と【4】で見たように、未来の文と否定の文を作るには、動詞の未然形
に未来時の助動詞と打消の助動詞を後接させれば良い。したがって、動
詞の未然形という語形は、未来時という時と否定という観念とを誘導する
活用形だということになる。

 だが、この活用形は、例えば、助動詞の「む」が付いて「鳴かむ」となって
はじめて、未来時の事象に対する推量の意味であることが明らかになり、
また、助動詞の「ず」が付いて「鳴かず」となってはじめて、動詞が持つイメ
ージの否定の意味であることが明らかになる。単に動詞の「鳴か」という語
形だけでは、どういう意味なのか、未定なのである。

 よって私は、学校文法で未然形と呼ばれているこの語形を、未定形とい
う名称で呼びたいと思う。それにこの語形は、先に私が名付けた過去時の
助動詞を誘導する既定形とは正反対の、未来時の助動詞を誘導する活用
形であり、この点からも、私はこの語形を未定形と呼んだ方が良いように
思うのである。

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