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徒然草を古文と英文で読もう

徒然草を古文と英文で読みましょう。古文と英文を同時に学べば、一石二鳥で、時間も短縮でき、しかも古文(=日本語)と英語の相違も明確になりますよ。

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徒然草を古文と英文で読もう

2004/02/18

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●        【徒然草を古文と英文で読もう】・第30号
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◆  徒然草・『The Miscellany of a Japanese Priest』
●    being a translation of Ture zure Gusa by WILLIAM N.PORTER

◆                           「古典と英語の宇宙塾」

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▲言語のブラックボックス

 ある言語を他の言語に直すこと、つまり翻訳や通訳という行為が
何故可能なのか、私はとても不思議なことだと思っています。

 ロシア語の同時通訳者の米原万理さんは、エッセイ『不実な美女
か貞淑な醜女(ブス)か』の中で、翻訳や通訳という作業のプロセ
スは、“ブラックボックス”みたいだと述べていますが、私もそう
思います。

 世界の言語を分類して、日本語やハングルは膠着語、英語やロシ
ア語は屈折語、中国語やタイ語は孤立語などと言いますが、こうい
う分類は形態上の差異を見ているに過ぎず、それでは言語そのもの
の本質は全く解明出来ないと思います。

 国家・民族・宗教間の争いを引き起こす最大の要因は、言語の相
違にあると私は思っていますが、その争いを軽減させるには、翻訳
や通訳の作業のプロセスを探究しなければならないと思います。そ
のブラックボックスの探究の果てに、言語の本質、つまり言語の普
遍的領域が隠れていると私には思われてなりません。 

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徒然草

古文

英文

第18段・A

(イ)人はおのれをつゞまやかにし、奢(おご)りを退けて財(たから)を持たず、世をむさぼらざらむぞ、いみじかるべき。昔より賢き人の富めるは稀なり。

(ロ)唐土(もろこし)に許由(きよいう)といひつる人は、更に身にしたがへる貯(たくは)へもなくて、水をも手して捧(ささ)げて飲みけるを見て、なりひさごといふ物を、人の得させたりければ、ある時、木の枝にかけたりけるが、風に吹かれて鳴りたりけるを、かしがましとて捨てつ。また手に掬(むす)びてぞ水を飲みける。いかばかり心のうち涼しかりけむ。

(イ)It is best for a man to be thrifty,to shrink from luxuries,not to accumulate great wealth,and not to covet the whole world.The great men of ancient times were seldom rich.

(ロ)In China there was once a man called Kyo Yu who had no possessions of any kind; and somebody, on seeing him drink water by scooping it up in his hand,gave him a gourd.But he hung it on the branch of a tree,where it made such a noise blowing about in the wind that he threw it away,and once more drank water from his hands.How refreshed his heart within must have felt!

【口語訳】

(イ)人は自分自身を質素にし、贅沢を避けて、財産を持たず、この世の利欲に執着しないのが、一番であろう。昔から賢い人で富んでいた人は稀である。

(ロ)中国に許由といった人がいたが、その人は、自分の身に付けた貯えも全然なく、水を手で掬い上げて飲んでいたのを見て、ひょうたんという物を、ある人が与えたので、ある時、木の枝に掛けていたところ、それが風に吹かれて鳴ったので、やかましいといって捨ててしまった。そしてまた、手で掬って水を飲むようになった。どんなにか彼の心の中は清々しいものであったことであろう。

 

(イ)
つゞまやか【約まやか】(av.ナリ)…質素である,倹約している。

富める ― [「富め」は、マ行四の已然形で、「る」は完了の助動詞「り」の連体形ですね]。

thrifty(a)…質素な,慎ましい。

shrink(vi)…縮む,しりごみする,憚る。/shrink from を憚る,を避ける,からしりごみする

luxury(n)…贅沢,豪華さ

accumulate(vt,vi)…を蓄積する,を貯める。積もる,集まる。

covet(vt)…を貪る,を切望する。/covet the whole world 全世界を貪る,この世の利欲に執着する。

seldom(ad)…めったに〜ない,稀に。

 

(ロ)
更に(ad)…(後に打消の語を伴って)全然・決して,あらためて。

捨てつ…捨ててしまった ― [完了の助動詞「つ」は、通常、他動詞に付くのに対して、完了の助動詞「ぬ」は、自動詞に付きますね]。

had no possessions of any kind…どんな種類の所有物も持っていなかった,自分の身に付けた貯えは全然なかった。
 possession(n)…所有物,所有,占有。

scoop(vt)…を掬い上げる,〈記事〉を特ダネとして出す。

gourd(n)…ひょうたん。

branch(n)…枝,派生物。

once more…もう一度,以前のように。

must have〜…〜したに違いない

※上の★印は、最も重要度の高い語・文法を、▲印は、次に重要度の高
い語・文法を表します。★印と▲印の箇所は、大学入試に必要なもので
すので、特に受験生の方は、注意して読んで下さい。
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                    《破片》

                 『漱石の世界観』・(11)

 漱石と同時代人で、同じく「意識」の問題を真摯に考えていた人に西田幾
多郎がいる。西田も、漱石と同じように、「物我」や「主客」や「時空」の仮定
される以前の「意識」を「命」の源泉と見ており、『善の研究』の中では「意識
現象が唯一の実在」だとも述べている。

 だが漱石とは違い西田は、「物我」や「主客」や「時空」の区別以前のその
「意識」を「純粋経験」と呼び、それが「善」を志向すると見る。そうしてその「
善」を志向する意識は「愛」に包含され、終局においては「宇宙」や「神」と合
一すると考えている。

 換言するなら、漱石が「意識」をどこまでも何物にも変化せぬ一者と見てい
るのに対し、西田は「意識」には純・不純の区別があり、その純なる「意識」の
方が「善」や「愛」と等価となって神性を帯びるものと考えているのである。

 「善」や「愛」をも「意識」の所産に過ぎぬと見る漱石を大エゴイストだとすれ
ば、西田はそれらを実在と考える性善説の人なのである。この両者の差異
は作家と哲学者との相違から来るものだと言えるかも知れぬが、私は漱石
の内奥で激しく蠢いている壮大なパッションを思わずにはいられない。

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創刊日:2001-08-04  
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