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快走 ☆ 迷走 ☆ 虚仮走録

サイクリングが趣味の風間加勢と写真が趣味の臥牛庵が日々の雑感をつづるコ
ラム。2人ともやることが「若い!」ことでは定評あり。異色のコメントは先
見性のなせる業か、はたまた視点がずれてるだけなのか。


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快走 ☆ 迷走 ☆ 虚仮走録 第 0070号 '05年02月25日(金) メイド喫茶

2005/02/25

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                          第 0070号
                       '05年02月25日(金)
                   発行者: 風間 加勢、臥牛庵
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1月の最後の土曜日になってようやく、今年初めてメイド喫茶に行けた。

一種の初詣である。本当はもっと早く行きたかったところだ。出遅れては
メイドの神様に見放される。が、1月3日に行った秋葉原のお店は、外階段
まで続く待ち行列を見てあきらめざるをえなかったのである。あれじゃ
閉店時間までに入れるかどうかも疑わしい。萌えそこなって、ずっと
くすぶっていた。

今回行ったのは中野にある "TeaRoomAlice" というお店である。オープン
したのは去年の8月だったらしいが、不覚にもつい最近になって知った。
"COSMODE" というコスプレ情報誌に広告が出ていたのを見たのである。
ウチから徒歩 15 分のところにメイド喫茶があると知っては矢も楯も
たまらず、仕事を休んでも行きたいくらいであった。

(威張るほどのことでもないけれど) 若者文化の最新のトレンドを探って
来ようなどというジャーナリスト根性からではなく、純粋に客として自分が
楽しむために行ったのである。

そうは言っても、「メイド喫茶って何?」という方も多いでしょうから、
まずは一般論的な解説から入りましょう。

● 定義 ...のようなもの

メイド喫茶とは何かと言えば、ウェイトレスがメイドの格好をした喫茶店
である。「そのまんまじゃん」と突っ込まれそうだが、他に何があると
いうわけでもない。

実際「それだけ」と言えば「それだけ」なのである。もし、いかがわしい
期待に鼻の下を伸ばした中年のおっさんが行ってみれば、「これのどこが
いいんだ、だまされた」と期待はずれに怒り出しそうである。そういう
見え見えの本能に餌をやるような要素は限りなくゼロに近い。きわめて
健全なのである。

では、メイド喫茶が、どこにでもある普通の喫茶店と一線を画するものは
何か。

まずターゲットとする客層が違う。メイド喫茶の草分けとして歴史に名を
残す店は "Cure Maid Cafe" と "Cafe Mai:lish (カフェ メイリッシュ)" 
であろうが、どちらも秋葉原にある。付近には漫画、アニメ DVD、ゲーム、
同人誌、コスプレ用のコスチューム、フィギュア、ガシャポンなどの店が
立ち並ぶ。そこへ集まってくるいわゆるオタクたちがメイド喫茶にとっても
お客さんとなる。だから、一般の通行人がそれと知らずに立ち寄ってしまう
ことはありえないような奥まった場所にある。居酒屋のように駅前でビラを
配ったりもしない。それでいいのである。

メイド喫茶に求められるものは、サラリーマンが駅前の喫茶店に求める
ものとはわけが違う。単なる休憩ではなく、もっと深〜い魂の休息である。

メイド喫茶は不健全な要素はほぼゼロでありながら、「萌え」の要素は、
これ 100% 全開である。やはりこのキーワードを抜きにしては語れない。

メイドさんと聞くだけで、ああ切ない、ううたまらん、おお悶絶死する〜
と反応してしまうほどの強い思いを抱いていることを「メイド萌え」と言い、
メイド萌えな要素を持っていることを「メイド属性がある」という。
これをチェックするサイトがある。
http://www.netlaputa.ne.jp/~annie/maidcheck1.html
ちなみに私は「もうあなたはメイドさんにメロメロ」と判定された。ハイ、
異論の余地もございません。

このメイド属性をぶら下げてメイド喫茶に足を踏み入れれば、長い間
イメージに描いていたメイドさんのいる空間が眼前に実現され、ついに
そこにわが身を置くことができたという安堵感に涙がどっと溢れ出す。
(オイオイ、泣かんでも。)

詮ずるに、メイド喫茶とは、漫画、アニメ、ゲームなどをこよなく愛する
いわゆる「オタク」をターゲットの客層とし、彼らの夢想する「萌え」の
対象としてのメイドのイメージを具現化することによって、くつろぎや
癒しを提供する空間として営まれる喫茶店である、と言えよう。

● 謎に包まれたルーツ

さて、メイド喫茶を楽しめるかどうかを分かつのは、メイド属性を持って
いるか否かにかかっている。ということは、好んで行く人たちは、あらかじめ
どこかでメイド属性を培っていたことになる。

では、メイド属性は何を肥しにして育ったのか。言い換えると、メイド
萌えの根っこ (ルーツ) はどこに求めるべきか。これが、意外にはっきり
しない。

ホンモノのメイドが文化として根付いていたのは 19 世紀の英国
ヴィクトリア朝時代であるが、その頃からずっとメイド喫茶のできる日を
心待ちにしてました、って人はあまりいなさそうである。とすると、そこから
直接影響を受けてメイド属性が育ったのではなく、ここ数年の間に漫画や
アニメやゲームといったメディアによって再生産されたメイドを通じて
育まれたと考えるのが妥当なところだろう。

ところが、それは何か、といろいろな人に聞いて回ってみても、異口同音に
「これだよ」と即答できるものがなく、「これかな」ぐらいで提示された
ものが、みなばらばらであった。

メイド喫茶自体が最初にオープンしたのが 2000 年ごろなので、それよりも
前に遡らなくてはならない。単純に、メイドをテーマとした作品 (漫画、
アニメ、ゲームを総称してここでは「作品」と呼ぶことにする) の中で
一番古そうなところと言えば、「殻の中の小鳥」('96年2月) とその続編
「雛鳥の囀」('98年8月) あたりに行き着く。もう少し下れば「デスク
トップのメイドさん」('98年8月) がある。これらはパソコン上で走る
18禁ソフトである。

これらは確かにメイド萌えの最初の萌芽と位置づけてよさそうである。
実際、コミケで「殻の中の小鳥」の「結城 恋 (れん)」のコスをしている
コを見たことがあるので、ある程度の反響はあったのであろう。

しかしながら、これらは実のところあまり広くは知られていない。世の中に
及ぼす影響力としては、大したことはなかった模様である。

もう少し広く知られているものとしては、コミック作品
「まほろまてぃっく」('99年9月) がある。これはメイド物の代表作と
称していいかもしれない。主人公の「まほろ」さんは、独り暮らしの
中学生であるご主人様「美里 優」に徹底的に尽くし、仕事の手際も
超人的な優等生メイドである。その実、秘密裏の地球防衛に大活躍した後に
引退し、短い余生を送る戦闘用アンドロイドであったりする。ストーリー
展開にほろりとさせられる。

メイドを愛でる文化を世に広めた代表としての作品はなかったとする説も
ある。つまり、特定の作品とは切り離され、独立した潮流としてメイド
萌えがあったとする説である。

確かに、コスプレイベントに行くと、ほとんどのレイヤー (コスプレイヤー
のこと) さんたちは何らかの作品のキャラクタに扮している中で、メイド
コスだけは例外的で、聞いてみると「オリジナル」との答えが返ってくる
ことがほとんどである。

そうだとすると、メディア制作側が仕掛けた流行に消費者が乗っかった
という構図ではなく、メイド萌えが消費者の側から自発的に育ったという
構図になる。それがいかにして広まったのか、私にはつかみきれていない。

● 台湾にもあった

なんと、台湾にもメイド喫茶があった。その名も「カフェ アニメイド」。
'04年6月にオープンしていたらしい。

しかし、残念ながら約半年後の11月30日に閉店している。もったいない〜。
開いてたら今度の出張のついでにぜひ行きたかったのにー。

ホームページは残してある。 
http://www.animaid.net/ 

詳〜しくレポートしてくれてるページを見つけ。 
http://www.yks.ne.jp/~takaxo/animaid/animaid.htm 

制服は苺のイメージなんだね。カワユイ。萌え〜。 

メニューも楽しいし。柚子茶が「柚姫 (ゆずき) の微笑み」。柚姫って
「ちょびっツ」に出てくるメイドパソコンではないか。ブルーベリー
ソーダが「紫の上」。あの源氏物語の? 子供の頃、光源氏に連れ去られ、
源氏の思い通りの女性に育て上げられ、後に源氏の妻となるという...。
イカ墨のスパゲッティが「死亡筆記本」。それって「デスノート 
(Death Note)」なんだー。黒いっ! 

...とまあ、日本のオタク文化のトレンドをよくキャッチしとるわいな、と
感心させられる。台湾で日本のトレンドを熱心に追いかける人たちを
「哈日族」(ハーリィズゥ) という。

日本国内でさえ一般にはまだあまり知られていない「萌え」の文化が、
哈日族によって発掘され、海外に広められていく。(台湾でもまだ知る人ぞ
知る、ぐらいの存在だが。)

● TeaRoomAlice

前置きが長くなったが、中野のメイド喫茶に行ったという話。

TeaRoomAlice は中野ブロードウェイ (ショッピングセンター) の 4F に
ある。

ちなみにブロードウェイはガキの頃からの遊び場だった。エスカレータを
逆行してるとこをガードマンに見つかり、さんざん絞られて帰ったことも
あったっけな。あれから歳月を経て、おかげさまで道をはずすこともなく、
まっとうな大人になることができた。 

思い出のエスカレータで3階まで行き、そこからは階段。踊り場の左右の
壁に上下の階の見取り図が掲げられているが、TeaRoomAlice は4階の
どこにも表示がない。潰れたのかと不安に思いつつ、ともかくも4階へ。
人形屋さんやコスチューム屋さんのある一角は賑わっているが、その
はずれに、両サイドに閉まったシャッターがひたすら並んでいるだけの
静まり返ったストリートがある。その奥の方の右側から光がもれている。
あれだ。この現実感の希薄なこと、まるでパソコンのアドベンチャー
ゲームのようである。よいなぁ。店から出て振り返ると、もう消えてたり
しそうな...。

20 席ほどのこぢんまりとしたお店。ヴィクトリア朝というよりは
「不思議の国のアリス」風の可愛らしい内装。CLAMP 週間だそうで、3 人の
ウェイトレスさんは「カードキャプターさくら」のキャラになってる。
(その日はメイドではなくコスプレだった。)

ところで、行く前に近くの書店で「ローゼンメイデン」のコミック第1巻を
買っておいた。この作品のコスを去年の冬コミで初めて見かけ、チェック
しておかねばと思っていたのである。主人公の人形「真紅」は真紅の
ベルベットのロングドレスに緑の大きなリボンを組み合わせた衣装に、身の
丈より長い金髪が映え、典雅な趣きを醸してすばらしい。

これを持ち込んで読んでたのが好評で、ウェイトレスさんたちと話が
はずんだ。つい最近まで深夜テレビでアニメ版を放送していたが、一人は
最終回を見て泣いてしまったとか。 

こういうとこがメイド喫茶のいいところ。私のようなおっさんが少女漫画を
読んで過ごしても、怪しまれるどころか、ウケがよいという...。お互いに
ある種のメンタリティをよーく理解しあっているという共犯者みたいな
連帯感。オタクが安心して自分に返れる空間。癒される〜。 

初めは私のほかにもう一人しかいなかったのに、だんだんと混んできて、
夕方には満杯になったので、そろそろと思い、店を出た。下の階の雑踏は
それまでとの対比があまりにも著しく、どちらも互いに近接しあった現実の
姿だと認識するのが困難であった。今度はこっちの方が虚構のように見えて
きて、呆然となった。

帰りがけに2〜4巻を買い、翌日も行った。そして翌週末も、その次も...。
もう、メイド喫茶なしには生きられない体になってしまった。
 
                                                            (臥牛庵)

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快走 ☆ 迷走 ☆ 虚仮走録 (かいそう めいそう こけそうろく)

発行者: 風間 加勢 (かざま かせ)、臥牛庵 (がうしあん)
発行日: 毎週金曜日発行

サイクリングが趣味の風間加勢と写真が趣味の臥牛庵が日々の雑感をつづる
コラム。2人ともやることが「若い!」ことでは定評あり。ときどき飛び出す
異色のコメント。先見性のなせる業か、はたまた視点がずれてるだけなのか。
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タイトルの意味:
快走、迷走、コケそう、はサイクリングがらみ。頭をとって「カメコ録」と
読めば「カメコ = カメラ小僧」で写真がらみ。さらに、パスカルの
「瞑想録 (パンセ)」からも来ていて、たまには数学の話も出るかも、と。

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創刊日:2001-07-30  
最終発行日:  
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