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スイスと日本を基点にグローバルな視点で、スイスの国民投票に重点を置きながら、エッセー・評論を適宜日英独仏語の多言語でお届けします。

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jp-Swiss-journal Vol. 83 - December 28, 2006

2006/12/29

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┃  Multi Lingual Internet Mail Magazine

★  jp-Swiss-journal  ━ Vol. 83 - December 28, 2006 (Swiss Time)

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                 【 目次 / INDEX / INHALTSVERZEICHNIS 】

【J】選択的消費                明子 ヒューリマン

【E】 Selective Consumption                    Akiko Huerlimann


【日本語 】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□


   選択的消費

   明子 ヒューリマン


今年も師走の声を聞くか聞かない内から早くもクリスマス・年末商戦が始まって
いる。が、我家ではとうの昔に大人同士のクリスマスプレゼントは廃止にした。
親戚の子供達にはお小遣いをプレゼントにしている。又誕生日のプレゼントも
二十歳までとしている。夫婦の誕生プレゼントも徐々に消滅しつつある。つまり
必要なものを必要と思う時に買うことに集中させるようになったと言うことだ。消
費の基準は、極力スイス製と日本製を、そして出来るだけ地元で、あるいは日
本で買い求めるようにしている。コンピュータ、テレビ、携帯電話等のIT製品は
当然の事ながら日本製を購入対象にする。幸いスイス製と日本製は世界に冠
たる高品質を誇っているので、多少高額でも善しとする。スイスと日本の社会
基盤の絶大な恩恵を受けている身であれば、微力ながら両国の産業を支えね
ば申し訳が立たないではないか。これは多分に保護主義的な考え方なのだろ
うが、社会的な人間としての基本であることは間違いない筈だ。

日々の暮らしの中で最も関わりの深いのは何と言っても食料品。健康には可也
気をつけているので、商品の選択も無差別と言う訳にはいかない。スーパーマ
ーケットでは一応産地標示を見てスイス産の商品を先ず買い求める。とりわけ
スイス産のチーズは日本ではたやすく手に入らない実に高貴な味わいのものが
様々ある。グリュィエール・チーズとエメンタール・チーズはその代表格と言えよ
う。又スイス各地のベルグ・ケーゼ(山のチーズ)は高山の薬草を食べた牛の牛
乳で造られていて、しかも乳脂肪分が多く含まれているので、その深い味わい
は格別だ。こうしたチーズは朝食には欠かせないし、一口齧って赤ワインを含
むと、ワインの味が一段も二段も上がるように思われる。周辺諸国より賃金水
準が高く、従って諸物価も一様に高いスイスで、酪農はもとより農業を維持する
には農家への補助金無しには成立しない事は多くの国民が理解している。美し
い国土と環境保全は農家の丹精に拠る所が大きく、食料自給の確保は国の存
続にも関わる問題なので、他の産業と同一に論じるべきではない、という専門
家の警鐘も度々新聞紙上で報じられている。いずれにせよ人間の生命維持エ
ネルギーの主体は鉱物ではないのだから、自国の農業を一定水準以上守るの
は当然の事と思う。

日本食品については、ネット販売で取り寄せた事もあったが、乾物はここ数年来
築地卸売市場で纏めて買うようになった。プロが仕入れに行く市場なので、品質
は確かだし、1年分のまとめ買いになるので嫌がられることも無く、割安だ。小豆
はその年に収獲されたものだと、煮ても灰汁は出ないし、柔らかく格段に美味し
く煮あがる。店頭で古い小豆を買ってしまうと、こうは行かない。冷暗所で保存す
ると劣化しにくいというので冷蔵庫に入れておく。海苔、昆布、削り節、昆布だし
は定番の購入品目だが、他にも重宝な商品を発見するのが楽しみだ。今年の
発見はこんにゃく精粉。築地のホームページでこんにゃくの専門店を見つけ、メ
ールで頼んでおいて取りに行った。少量の精粉で大量のこんにゃくが作れるの
で理想的。だが、結構力仕事で作り方もやや面倒なので体力気力が充実してい
る時に気合を入れて作る。日本茶、抹茶は築地以外でも旅行先で産地のものを
買うことがある。お茶と海苔は、長期保存用は冷凍庫に仕舞っておく。専門店で
聞くと、冷蔵庫が良いといわれたのだが、これ以上は場所が無い。とに角、これ
らの品は日本産に限る。最近の緑茶ブームで、スイス人も日本産の若草色のお
茶を好む人が増えているようだ。これらの食品は健康食で、世界的にもとてもユ
ニークな食品だ。

3年ほど前からお米は農家出身の若者が立ち上げた「おこめナビ」というNPOを
通じて新潟の農家から直接新米を送ってもらっている。80歳に近いという篤農家
が丹精した減農薬米は冷めても美味しく、安心だ。以前ネット販売で取り寄せた
事もあったが、産直には叶わず、味の違いは歴然としていた。お米は精米した
後空気に触れると徐々に酸化するので、届くと同時にペットボトルに分けて地下
室に保存し、当座使う分だけ冷蔵庫に入れておく。お米の輸送に暑い赤道を通
る船便は使えないので、エコノミー航空(SAL)便にしている。人に話すと運賃が
高いのにと驚かれるが、パン食と比較してみたら大きな違いは無かった。美味し
いお米を食べられるなら、簡素なおかずでも充分満ち足りた食事になる。不順
な天候と闘いながら収獲したという手紙と共に送られてくるお米は、一粒もおろ
そかに出来ない気持ちになる。昨年奈良を旅行した折、田園地帯のバス停から
タクシーを呼んだ。時刻表を見ると1日1便しか無い。タクシー運転手に田園風景
の美しさを言うと、彼は「身震いする」と言った。農家出身のこの人はつらい農作
業が嫌で家業を継がなかったそうだ。日本の水田や里山を何よりも美しい景色
と思う者としては、出来る範囲で積極的に稲作農家を支えたいと思う。

独自の古い文化をモダンな暮らしにセンス良く生かしているスイス人の暮らし振
りに感じ入る事がしばしばある。そういう美意識を日本でもより多く発見したいと
旅行計画を立てる。日本の良いものを探そうという気で居るので、余計なお世話
は承知の上だが、日本で外国の大型ブランド店なぞを見ると、「ちょっと待った!
」と言いたくなってしまう。「そんな品物より遥かに優れた品が日本にあるじゃぁあ
りませんか!」、とお腹の中で叫んでいる。とにかく商業主義に踊らされて虚栄
の消費文化が横行し、大切な国土を維持する産業が衰退するのでは、国の未
来は明るくなる筈が無い。市場原理を金科玉条の如く唱える企業家や専門家が
粉飾決算やインサイダー取引、データの捏造等々懲りずにやらかしている資本
主義には欠陥がある。社会主義も破綻したロシアをはじめ、中国に見られるよう
に政治制度として機能しない事が明らかになった。両者共に力のある者が利益
を専有して貧富の二極化が進むという人間の性(さが)故の現象を制御出来ない
のだ。が、自然を見つめ自然に寄り添って生きる生き方には自ずと節度が醸成
されるようだ。保守であれ、革新であれ節度が醸成されない思想には限界があ
るということだ。個人が国政に意思表示を示すその1票の価値はナノメートルレ
ヴェルにしか感じられないが、持続可能な社会を志向する選択的消費は、より
効果的で持続的な形態の政治参加ではないかと思うようになった。キーワードは
「エコロジー」と「スローライフ」だ。


【編集後記 】

スローなペースなこのメルマガに目を留めて下さる読者がいて続けて来られた。
毎日朝の日課となっている新聞をめくる事から情報収集は始まる。更にテレビを
見、雑誌を読み、ネットの論客の意見にも目を通してあれこれ思いを巡らせる。
近頃日本もスイスも好ましくない部分で社会動向が似てきているのに、かすかな
不安を覚える。「このまま放置してはいけない、気付いて軌道修正すべし」、とい
うサインなのだろう。最近、日本語のまとめも英訳も以前より随分時間がかかる
ようになった。このところドイツ語訳はすっかりサボっているが、校正者の負担も
考えると無理は言えない事情、何卒お汲み取り願いたい。
読者の皆様、2007年も良い年をお迎え下さい。


【 English 】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□


   Selective Consumption

   Akiko Huerlimann


This year the Christmas and year-end sales battle has started already before
December. However, among our family, we abolished exchanging Christmas
presents between adults a long time ago. To the children of our family, we
give some pocket money. We also give birthday presents to the children only
up to age of 20 years old. Birthday presents between my husband and I have
gradually determined. That is to say, we concentrate our shopping on
necessary things when we need them. The principles regarding to our
consumption is to buy Swiss and Japanese made items, and to shop at local
stores or in Japan as much as possible. IT products such as computers, TV's,
or mobile telephones must be of Japanese brands. Fortunately, <Swiss made>
and <Japanese made> items are world preeminent regarding to their quality,
therefore, we accept even a bit higher price. As we receive an immeasurable
benefit of social infrastructure from both countries, I think, we are
obliged to support industries of both countries through our humble
contributions. This idea must be protectionist, however, as a member of a
society must be a basic attitude.

The most frequent matter related to our daily life is foods. As I do care
much about our health, choosing products cannot be done indiscriminate. At
supermarkets, first I confirm the origin of the product, and then I buy
Swiss products first. Besides, Swiss cheese cannot be bought easily in
Japan; among Swiss cheese, there are many kinds of brands with a high and
noble taste. I would say, Gruyere and Emmentaler cheese are the most
representative Swiss cheese. Mountain cheese of different Swiss regions have
also a very special deep taste because it is produced by milk of cows fed
with herbs at the mountain, and not degreased. Such cheese is indispensable
for our breakfast, and one bite of it makes the taste of red wine far
better, I think. Compared to neighboring countries, higher salaries and
therefore accordingly higher cost of living in Switzerland, Swiss people
understand that in order to maintain daily farming as well as agriculture,
the support of government is absolutely necessary. A beautiful national
country and environmental conservation depending on the farmers' attentive
care. Warnings of specialists frequently reported at newspapers that food
self-supporting is a matter of the continuing existence of a nation, so it
shouldn't be considered at the same level like other industries. Anyway, the
major vital life energy for human beings cannot be produced from minerals;
we definitely have to keep our own agriculture at a certain level.

About Japanese foods, I ordered products through Internet shopping in the
past, but for some years, I started buying dried foods at Tsukiji wholesale
market in Tokyo. The quality of goods is reliable, as the market is for
professionals, shops welcome us as we buy an annual quantity of items, and
the goods are comparatively cheap. For instance, when you cook newly cropped
red beans (azuki), it doesn't produce foam, but it is soft and delicious.
When I buy old cropped beans at a shop, it doesn't work like that. Keeping
them in a cool, dark place, the quality can be conserved better, so I store
them in the fridge. Nori (dried laver seaweed), Konbu (dried kelp/laminaria),
Kezuribushi (shavings of dried bonito), Konbu-dashi (instant kelp bouillon) 
is standard articles. Apart from them, I enjoy to find new convenient products
there. A discovery of this year was konjac (alimentary yam) powder. I found
a specialized konjac shop at the website of Tsukiji. I ordered konjac by
E-mail and collected it. This is ideal because I can make a big portion of
conjac with a small quantity of that powder. However, the way of preparing
conjac paste is a rather hard and delicate work, so I do it when I am
physically and mentally fit. Regarding to green tea and Matcha (powdered
green tea), apart from Tsukiji, I also buy local products on the spot during
travel. I used to keep tea and Nori for a long time in the freezer. A 
specialty store said, that it's better to keep it in a fridge, but no more
space is left in ours. Anyway, all these products must be made in Japan.
Because of the recent green tea boom, Swiss people who are fond of Japanese
made bright green tea have increased. These nutrition is healthy and world
unique.

For about three years, I receive newly cropped rice from a farmer in Niigata
through an NPO <Okome (rice) Navi>; a young man originated from a farmer's
family founded it. An almost 80 years old practical farmer makes every
effort to produce reduced agrichemical rice. It is very delicious, even when
eaten cold, and reliable. In the past, I ordered rice through the Internet,
but the difference in taste was obvious, and those suppliers were no
competitors regarding to rice delivered fresh from the farm. When polished
rice is exposed to the air, it gets oxidized. As soon as I receive the rice
from Japan, I divide it into plastic bottles, store them in the basement,
and put a small quantity in the fridge for everyday use. Rice cannot be sent
by sea of via the hot equator route; I use the economic airmail service
called SAL (Surface Air Lifted) of the Japanese post. If I tell this to
people, they are surprised regarding to such an expensive transport. I once
compared the cost of bread and found no big difference. Delicious rice
creates a very satisfactory meal even with only a simple accompanied dish.
An enclosed letter told me that the cropped rice had fought with an
irregular climate each year; I got the feeling that I shouldn't waste even a
single rice grain. When we traveled around Nara last year, we ordered a taxi
from a bus stop in a rural zone. We saw a just one-bus service per day at
the timetable. When I told to our taxi driver about the beauty of
countryside, he replied, "I feel shivering". He comes from farmer's house,
but he didn't want to be a farmer because of backbreaking toil. I am a
person that considers that Japanese rice fields and mountain farming areas
are the most beautiful landscapes, I'd like to support rice farmer as much
as I can.

I often come across the way of Swiss people's living, creating a modern
living, nicely adopted in their traditional culture. I plan our travel to
find such sense of beauty in Japan. As I am aiming to find nice Japanese
things, even I know that's none of my business, I cannot stop saying, "Wait
a moment!" if I see a big foreign boutique in Japan. I shout in my mind "Why
don't you see excellent Japanese products that are far better than the
things you want". Anyway, vanity consumption culture provoked by the
commercialism leads to a decline of own important industries; such countries
have no bright future. Capitalism has a deficiency that allows never learned
businessmen and specialists who say <market mechanisms> like gospels commit
fancy accounts, insider trades, twists data, and so on. Socialism has also
proved that it doesn't work as a political system looking at samples such as
the breakup of Russia or China. Both systems are not capable to control
human characters letting powerful people accumulate profits, and
accelerate the polarizing between rich and poor. But the way of living,
watching nature and accompanying with it, seems to brew temperate. No
matter conservative or radical, a philosophy does not brew temperate that
has limits as a thought. The value of vote to national politics for a single
person is at a nanometer level; I gradually think selective consumption
aiming for a sustainable society could be a more effective and sustained
form of political attempt. The keyword of that is <ecology> and <slow life>.


【 Editor's comment 】

We have continued this mail magazine through slow pace, thanks to readers
who lay eyes on so far. As a daily duty, I start to open newspapers for
collecting information. Furthermore, watching TV, reading magazines, looking
at opinions of Internet debaters, and then thinking about social phenomena.
Recently, Japan and Switzerland show similarities in negative aspects of
their social trends, and I have a slight fear. That could be a sign of "Don't
leave things like that, be aware, and correct the route". Recently it takes
me more time to compile the Japanese text and translate into English
than before. As to the German translation, I skip it out as well. But, I
cannot impose that work burden to proofreaders, please understand my
situation. Dear readers, I wish you a very Happy New Year in 2007.


□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□
We are intending to offer you current topics, based on Switzerland and
Japan with global view as a multi lingual magazine. Irregular release:
Weekly Swiss News Headlines will inform Issuing schedule.
Please subscribe both mail magazines. Some amendment can be made later.

スイスと日本を基点にグローバルな視点で、ニュース性に重点を置きながら、
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