ビジネス一般

日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

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《91》 バーコードがもたらす幸せ

2006/07/07

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    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
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                         --浪費なき日本の繁栄のために--

《91》 バーコードがもたらす幸せ

バーコードには、隠れた意外な力がある。

商社でバーコードリーダ(スキャナ)を売ったことがある。
コンピュータの商売というのは、バーコードとの縁が深い。コンピュータは、
データをインプット(入力)しない限り、思う通りの働きをしない。通常は、
キーボードから手入力するが、日本人には不馴れだ。しかし、バーコードなら、
スキャナを使ってひと撫でするだけで、詳しいデータを一挙に送り込める。
データをバーコードに置き換える準備作業が難関だが、それを差し引いても
メリットがある。
その結果、わたしたちの日常生活を裏で支える道具として急成長した。

バーコードとは、スーパーの商品の外箱などに印刷された黒白に色分けされた
縞々のことだ。黒い棒(バー)や白いスペースの太さなどパターンの違いで、
その商品特有の情報を伝える。1970年を契機に、アメリカで実用化が
活発になり、日本では、1977年頃から本格的な導入がはじまったという。

スーパーのレジでは、小さなガラス窓のような場所に商品をかざすと、
「ピッ」という音が出る。スキャナがバーコードを読み取ったという合図だ。
コンビニなどでは、レジと結んだ手持ち式のスキャナで「ピッ」とやる。
あの簡単な作業で、価格などの必要なデータをコンピュータに読み取らせ、
顧客への請求額をはじき出す。同時に、スーパーやコンビニの本部にも、
同じデータがオンラインで届く仕掛けになっている。届いたデータによって
折々の売り上げを把握するだけでなく、売れ筋と死に筋の商品を切り分け、
在庫数もリアルタイムで分かる。
したがって翌日以降の販売戦略までも、容易に決められる。

驚くのは、「モノづくり」の現場で使われ、効率化に貢献してきたことだ。 
バーコード管理の導入で、生産現場の工程の進行状況もリアルタイムで
把握できるようになった。仕掛かり品のポジションを最小化するなど、
あらゆる無駄を徹底的に排除し、生産効率を上げる有力な武器になった。

かって、「さもありなん」と合点したのは、有名な「看板方式」を編み出した
自動車メーカーを最大の顧客とする有力な部品のメーカーが、バーコードに
ついて半端でないハードとソフトの技術を蓄積し、それらの販売にも実績を
誇っていたことだ。「看板方式」というのは、単純に考えれば、下請けに
犠牲を強いるとしか思えない。そもそも、納入先からの発注情報や出荷指示が、
余裕を与えず伝わって来るから、すべての作業が緊迫する。指定部品の
受注から、人員配置、部材供給、生産、出荷、搬送の体制まで、できるだけ
フレキシブルに、しかも即応体制を敷いていないと間に合わない。その部品
メーカーは、そんなわがままで苛酷な看板方式への対抗手段として、生産
現場の流れを徹底的にバーコード化、一元的に管理して成功したという。
自社の実績を踏まえて、バーコードの商売に進出したのだから強い。

わたしが売っていたバーコードリーダは、バッテリ内蔵でペン型の小型軽量、
胸ポケットに入れて持ち運びができた。コンピュータから遠く離れて自由に
作業ができ、倉庫の中での棚卸し作業などの場合には便利だった。ため込んだ
データは、コンピュータの脇に戻り、特殊なボックスにペンを差し込んで
吐き出させた。

しかし、最近では、データを無線で飛ばす方法が常識になっている。
運送業界では、配送中の貨物の所在を問い合わせるせっかちな顧客にも、
正確に答えることができる。運転手は、主要な立ち回り先をバーコード化した
「現在地表」を持って出かける。スキャナと一体化した携帯電話があり、
これを使って立ち寄り先で「現在地」をスキャンし、本部に所在を発信する。
本部のコンピュータは、問い合わせ貨物の「ID」と「車番」を照合し、
「現在地」を割り出す。一瞬のスキャン作業だけで「報告完了」になるから、
おしゃべりが不得手で運転手をやっている人は楽だ。しかし、勤務中の行動が
すべてバレてしまうから、マイペースの自由な動きができなくなる。
勤務の合間に昼寝を楽しむ習慣だった運転手は辛い。

応用はさらに拡がり、ウエブサイトの長たらしいURLをバーコード化して
掲載した専門雑誌もある。キーボード入力が苦手な人々にはすこぶる便利。
しかし、「ピッ」とやるだけの便利さが勝てば、文字の入力に習熟する機会が
薄れ、パソコンの利用価値が半減してしまう。つまり、大袈裟にいえば、
時代から取り残される危険に通じるのだ。

バーコードの便利さが、幸と不幸の、どっちをもたらすのか分からない。
得るものがあれば、失うものがあるという現実に気づかされる。

つづく

さぶみごろう

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創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
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  • namakemono2006/07/31

    出来ればバーコードの簡単な読み取りを教えて欲しいですね。数字の読み取りをお願い致します。