ビジネス一般

日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

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 《86》 ものづくりはひとづくり

2006/03/14

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    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
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        --浪費なき日本の繁栄のために--

 《86》 ものづくりはひとづくり

モノづくりが、カネづくりの汚れた対象になる事件があった。

ものつくり大学*が、「ものづくりはひとづくりである」という建学精神を
掲げて新設された。しかし、カネの匂いに敏感な代議士のカネづくりにまんまと
利用された。
http://www.iot.ac.jp/index.html

哀れにも、「カネがかかる政治」に利用されてしまった新設大学だったが、
政治にカネがかかる現象には、ある程度の理解はできる。志がとくに高く、国の
政策立案に熱心な政治家であればあるほど、「政治資金規制法」に抵触しない
合法的な寄金や「政党助成金」だけで活動するのは、やや窮屈に過ぎるかも
知れない。例えば、特定の権益や受益集団と距離を置き、独立性が高い優秀な
ブレーントラスト(政策集団)を自前で抱えて活動すれば、膨大なカネが
かかって当然だ。多くの政治家が、特定の政党の下に集い、数と資金の力に頼り、
手足になってしまうのは、そのためだろう。派閥の解体が難しい事情も
分かる気がする。しかし、大きな問題は、本来の前向きな用途とは裏腹に、
選挙地盤のご機嫌取りにカネがかかり過ぎる悪弊にある。

政治家(国会議員)に本音をいわせると、志が高い人物ほど、冠婚葬祭への
日頃のつきあいや、地元からの願いごと(陳情)にはうんざりしている。公園の
遊び場に屋根をつけてほしい、息子の就職の斡旋をしてほしい、果ては交通
違反のもみ消しまで依頼されるのだから、選挙民へのサービスに神経を使えば
使うほど、天下国家を考えるエネルギーなどなくなる。こんな、天下国家の
政策論とは無縁なレベルの雑事につき合わされる愚を嘆き、市町村や都道府県の
議員の不要論を唱える声さえある。彼らの役割まで担っているというのだ。
なかんずく、カネがいくらあっても足りないのは、当落を決める選挙の時期だ。
金欠症状からどうにも抜けられない政治家が、禁じ手の「受託収賄」の誘惑に
勝てないのも不思議でない。

「カネがかかる政治」の大半の責任は、天下国家の政策づくりが不得手でも
安々と選ばれ、もっぱら地元や支援団体の利益の擁護に狂奔して止まない
政治家にあるのだが、その根本の責任は、そんな政治家の多くを輩出させ、
たかって恥じず、重宝してきた選挙民にあるといってもおかしくない。

つまるところ、ものつくり大学を巡ったスキャンダルの温床が、実は、足下の
わたしたち有権者のなかに多分にあり、わたしたち自身の意識改革がない限り、
同じ事件が繰り返し起こるに違いないということだろう。政治家の資質は
もちろんのこと、「カネがかかる政治」の原因がわたしたち自身にあることを
自覚すべきだ。
そのもたらす長短の結果に厳しい目を向けつづければ、政治も変わる。

ものつくり大学は、平成13年に開学し、すでに卒業生も出た。
ものづくりはひとづくりの精神が、人一倍しみ込んだ人々だと思う。

つづく

さぶみごろう


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創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
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