ビジネス一般

日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

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《83》 100円ショップのショック

2006/01/09

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    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
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        --浪費なき日本の繁栄のために--

《83》 100円ショップのショック

旅行で使う小道具が揃う便利な店がある。

わたしは図案屋のはしくれ、海外旅行が、感性を磨く絶好の機会になる。
EXPOなどの華やかなイベントに行くと、そこで吸収する色や形、空気
などが無意識のうちに記憶に残り、制作の過程でよいアイデアの源になる。
模倣は断じて許されないが、作品の質を高める効果が抜群だ。

旅行で使う手みやげを用意しようと近くのスーパーへ行った。
求めたのは、菜ばし(箸)セットだった。滑り止めの横溝がついた5膳で
480円、かさばらず、価格も手頃なものだ。その足でつぎに行ったのは、
別の階の100円ショップだった。旅行先で使う便利な小道具が、すべて
100円で買える魅力に勝てない。いざとなれば、捨てても惜しくはない。
やや洗練さに欠ける色合いやデザインだが、名札、アイマスク、スリッパ、
空気枕などが一通りそろう。素材やサイズが豊富な箱だとかバッグもある。
小物や下着、シャツなどを小分けして旅行カバンに収められるので便利だ。 
洗濯バサミがついたナイロンロープや、プラスチック製のハンガーもある。
旅先のホテルで洗濯物を干すときの備えとして必要だ。

とはいえ、そもそも100円ショップは、大量生産、大量消費、大量廃棄
時代が生んだあだ花といえる。固いことをいえば、時代の要請に逆行する
好例だ。わたし自身の経験からも、節約を忘れ、無駄買いする「100円
地獄」に容易に落ちる。つまり、なるべく浪費を避けようとする良心的な
消費者でさえ、便利さと安さに気がゆるみ、財布のヒモまでゆるめるのだ。
100円商法があらばこそ、生活を維持できる人々が、国内外に多くいる
ことも承知だが、「浪費なき日本の繁栄」とは対立する有害商法といえる。
聞けば、このモノづくりの極限を行くほど安い商品が5万種も揃うという。
中国からの輸入品が占め、一時は、雨後のタケノコのように店が増えたが、
関東では破たんする店も出てきたそうだ。「エコ」の本来のありよう*に
気づき、無駄買いを慎む人々が増えている結果だとすれば幸いなことだ。
わたしより数段に意志が固い賢明な消費者がいる証拠だろう。
http://global.horiba.com/gaiapress/eu/f_index.htm

その100円ショップで、いろいろ物色していてショックを受けた。
先ほど買ったばかりの480円の菜ばしとほぼ同様のセットが、ここでも
売られていたのだ。5分の1以下という安い価格を知ったものの後の祭り、
100円ショップから歩かなかったことに、大いなる悔いが残った。

この先、100円地獄に陥り、簡単に脱出できない予感がする。
まさか、不良品の類いを集めたものとは思えないほどに豊富な品揃えだが、
100円まで下げられる理由には裏がないのか、疑いを挟まざるを得ない。
うまい話に乗るときは、返されるリスクを計算に入れなければならないが、
もしかして、菜ばしに使った塗料が有害なのかな、などと疑ったりもする。
又は、中国の工場の苛酷な労働と低賃金だけで成り立っている商売なのか。
そうとすれば、エコを讃える以前の重たい問題が、隠れていることになる。
100円ショップのショックは、それだけでは終らない。

つづく

さぶみ・ごろう

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創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
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