ビジネス一般

日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

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モノづくり、あれもこれも (続編)《60》

2004/09/13

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    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
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                         --浪費なき日本の繁栄のために--

《60》 名古屋で見るトヨタの底力

名古屋の郊外にあるトヨタ博物館へ行った。

前々から、機会を見つけて行きたいと思っていた。
名古屋といえば、40年前のわたしの会社生活の起点だ。同じ商社の中でも、
独立採算制に強く拘わり、営業損益を月末毎に念入りに算出する会社だった。
つまり、損益計算を営業(商品)単位に細分化し、しかも月単位で把握した。
通常の決算期を待たず、業態を月々に分析できれば、次に打つ手が早くなる。
今なら、コンピュータの助けがあるから、デイリーに把握するのも簡単だ。
当時は、コンピュータの影も形もない。手計算ばかりに頼った時代だから、
珠算2段、3段という凄腕の女子社員もいて、経理要員は一大勢力だった。
新入社員は、先ず経理などの非営業部門に配属され、裏方仕事を経験した。
どの新入社員も、女子社員にたいへん世話になった。わたしも例外でなく、
机をいっしょに並べた当時の同僚の女性には、今になっても頭が上がらない。
そんな昔の仲間が、思い立って40年振りに40人近くも集まった。
古くて強い絆が、センチメンタル・ジャーニーを実現させた。

名古屋で勤務した当初は、新幹線建設の真っ盛りだった。
在来線に特急「こだま」と準急「東海○号」が走り、たまの里帰りには、
運賃が安い準急を専ら利用した。「ナゴチョン族」でいる上司の多くは、
週末になると「こだま」で妻子のもとへ帰った。懐の大小の差が歴然とした。
1964年、東京オリンピックに合わせ、待望の新幹線がいよいよ開通し、
超特急「ひかり」と特急「こだま」が走った。いざ開通してからは、
時間の短縮効果に勝てず、東京へも大阪へも、新幹線に乗る習慣になった。
安月給ながら、「時間を買う」メリットを優先した。

今回の往復には、老体を押して夜行バスを試みた。
運賃が新幹線の約半額で上がるし、急ぐ旅でもない。夜の11時半、
東京駅の八重洲口を発ち、翌朝には早くも5時半に名古屋駅前に到着した。
想像はしていたものの、ほとんどの客が若者たちで少々面喰らった。
疲れ具合は、海外へ行く飛行機の旅と同じ程度だ。

意外に、名古屋は観光地としてマイナーな地位にある。
新潮文庫の「名古屋学」(岩中祥史著)は、そのことも詳しく触れている。
日本の中央部という好位置にあり、信長、秀吉、家康の縁りの地にしては、
京都や奈良のように脚光を浴びない。毎年恒例の「名古屋祭り」もあるが、
観光客を日本中から呼び込む力がない。しかし、名古屋(中部経済圏)は、
日本のモノづくりの一大拠点を形成している。有力な自動車、航空機、
工作機、繊維、陶器産業を抱え、無借金で通す健全経営の企業も多くある。
なかんずく、トヨタは、世界に負けない抜きん出た業績を維持している。
日産、マツダ、三菱、いすゞなどが、早々に外資の配下になったのに対し、
ホンダともども独立自尊を保っている。堅実第一の名古屋人の気質と重なる。
トヨタが、名古屋を代表する企業といわれるのも道理だ。

トヨタ博物館は、名古屋が誇ってよい観光名所と思う。
目的のパーティーは午後2時からだから、午前中に見学することにした。
早朝の地下鉄とバスを乗り継いで約1時間、博物館がある長久手に行った。
ここは有名な古戦場*として知られる。現在は、はなはだアクセスが悪いが、
高架式の「リニモ(リニアモーターカー)」の工事が急ピッチで進んでいた。
「愛・地球博(愛知万博)」が始まれば、利用できるという。
http://www.town.nagakute.aichi.jp/kurasi/history/story/kosenjyo.asp

トヨタ博物館は、トヨタの創業50周年を記念してオープンした。
説明に曰く、「1886年にガソリンで走る自動車が初めて誕生した時から、
今日までの100年の車の歴史を前半の50年をヨーロッパやアメリカの車、
後半の50年を日本の車でわかりやすく展示し」、館内に120台が並ぶ。
国内のライバルメーカーのクルマも置かれ、休まず整備をつづけているので、
どれも走行可能というので驚いた。懐かしい国産のクルマばかりの3階では、
あたかもタイムスリップし、センチメンタル・ジャーニーの趣きを倍にした。
クルマに興味がなくても、古きよき時代に戻れるかも知れない。

名古屋でのトヨタの影響力は見逃せない。
今さらと揶揄された愛知万博も、トヨタのテコ入れで形がついてきた。
関西国際空港の苦戦振りを十分に知りながら新規参入する中部国際空港は、
トヨタ式経営を導入し、総事業費を千億円も削減できるとの報道があった。
トヨタの底力を感じないわけにはいかない。

つづく

さぶみ・ごろう

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創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
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