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日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

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モノづくり、あれもこれも (続編) 《59》

2004/08/23

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    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
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                         --浪費なき日本の繁栄のために--

 《59》 世界の工場の女の子の形相

君が代がブーイングでかき消された、という。

中国で行われたサッカーのアジア杯でのことだ。
今や、「世界の工場」として注目される中国、そして関係が浅からぬ日本、
その裏側で生きつづける反日感情が、アジア杯の試合を通じて噴出した。
TVの画像では、可愛い女の子が中指を立て、憎々しい形相をして見せた。
日中の間で争った北京での最終戦で日本が勝った。反日感情に油を注ぎ、
中国人の一部の暴徒が、競技場から帰る日本大使館の公用車を襲った。
後部の窓がラスが壊されるなど散々だったが、人身への危害はなかった。
日本のメディアは、意外感も込めて大きく報道し、日本人はわれに返った。
中国では、この騒ぎが報道されなかったというが、それもうなずける。
言論を統制する隠然たる力が、少なくとも存在している。

その夜、わたしの地元は盆踊りと花火大会だった。
日本語ボランティアや生徒など、有志が集まっていっしょに楽しんだ。
その中に、東大の研究生として社会学を学んでいる中国人女性がいた。
2年の研究生活を終え、いよいよ翌月には母国へ帰るというRさんだ。
日本の思い出に加えたいと意気込んで参加した。サッカーも話題に出たが、
勝者の予想をお互いに譲り合い、北京の様子とは違って和気藹々だった。
彼女に感心したのは、夫を国に残して学ぶ並外れた向学心だけではない。
就学期を迎えた一人娘を日本に呼び、日本の小1に1学期だけ入学させ、
前月には先に帰国させたという。他の事情があったのかも知れないが、
たった1学期とはいえ、敢えて「可愛い子に旅をさせ」た勇気が眩しい。
サッカー競技場とは別の、エネルギッシュな中国人がいる。

日本語教室に習いに来る外国人は、みんな元気一杯だ。
国際結婚した男女、駐在員や留学生の奥さん、外国語の教師などで占め、
一獲千金を狙って来日したような危ない動機の人は、幸い見当たらない。
どちらかといえば、日本語の専門学校へ通うほどの切迫したニーズがなく、
日常会話だけでも自由に操りたい、というやや気楽な動機でやって来る。
教室を離れて雑談を楽しむ中で、出身国を問わず異口同音に指摘するのは、
日本の治安の良さだ。外国人の犯罪が増えている*というのに皮肉な話だ。
Rさんが、愛娘を日本の学校に通わせた裏には、治安の良さも大きいが、
日本人の親切心と日本社会のシステムへの深い信頼があってこそのことで、
話を聞いてうれしい。しかし、知日派であればあるほど、厳しい目もある。
知日派に止まらず、真の親日派になってもらいたい。
http://www.asahi.com/national/update/0819/010.html

アジア杯で見た中国人の反日振りは見逃せない。
女の子に、中指を立てて憎々しい形相で挑発されたのは大きなショックだ。
江沢民時代の「愛国教育」が、これほどに露骨な反日感情を出させたのか。
首相の靖国参拝も、何かの拍子に顔を出す。一方、経済面の日中関係では、
相互依存が深まる。「世界の工場」向けに日本の半製品が大量に輸出され、
完成品になって日本に大量に輸入される。不況つづきの鉄鋼業と造船業が、
中国の活発な需要に助けられ一息ついたというニュースも最近のことだ。
日中関係の無用な軋轢は、双方に機会損失を増やす。

「世界の工場」の女の子の憎々しい形相を解く手は何か。
政治が足踏みする間に、文化やスポーツの交流を深めることに尽きる。
興味を引くのは、スポーツの分野で、中国人のコーチを招く例が目立つ。
中国のメダリストたちが、海外への売り込みに熱心なこともあるようだ。
オリンピックで実績が出ないが、飛び込みがそうだ。卓球の愛ちゃんも、
若い美人の中国人コーチの指導を受けている。女子ソフトボールのエース、
宇津木選手は帰化して中国を怒らせたが、母国の誇りを高めこそすれ、
傷つけたわけではない。反目を解き、日中の絆を深める基盤にしてほしい。
ささやかではあっても、日中のみならず、民間ベースの接触度を高めよう。
最近の「韓流」は「反日」関係を小休止させ、将来の関係を楽観させた。
相手を知り、同時に日本を知らせる努力が必要だ。

今の日本人に、外国人に嫌われる本質的な欠陥はない。
ささやかながら、ボランティア活動を通じて実感し、自信を深めている。
挑発する女の子も、日本人を直に知れば顔がほころぶ。

つづく

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創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
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