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日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

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モノづくり、あれもこれも (続編) 《58》

2004/08/02

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    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
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                         --浪費なき日本の繁栄のために--

 《58》 忍の一字の日本の防衛産業

地元の県議が催す「憲法学習会」に出た。

憲法論議が盛んな昨今、自分の考えを整理したいと考えた。
日本の憲法は、9条を中心に理想と現実の間で迷走をつづけたままだ。
高邁な「戦争放棄」の理念は、「自衛隊」の誕生で放棄されたともいえる。
「自衛隊は違憲」論が葬られ、「戸締まり」論や「針ネズミ」論が成長し、
今や、「人道復興支援活動」の名のもとに、遠慮もなく海外に派遣される。
イラクは「戦場」ではないから、「戦争放棄」の理念に微塵も狂いはない、
といった説明なんだろうが、軽装備で行かされている自衛隊員が気の毒だ。
変化をつづける時代の要請を受け、憲法と現実との狂いが目立ってきた。
どれが本当の日本国憲法か、わたしの思考も揺れている。

学習会の議論の中に、日本の防衛産業の話題が出た。
諸外国が、戦争を「必要悪」と認識し、自国の軍備に力を注ぐだけでなく、
軍需産業を率先して育成し、輸出の拡大まで国で後押ししている。対して、
日本は、半世紀前に「平和憲法」を手に入れ、その重い「決意」に共鳴し、
「戦争はこりごり、もうしない」という強固なDNAが身体に組み込まれ、
「武器輸出3原則」*をも生み出した。しかし、学習会の議論の中には、
日本の防衛産業が「もっと利益を上げようと改憲を目論んでいる」という、
実態をやや曲解した発言があり、「違いますよ」と注釈させてもらった。
つまり、日本の防衛産業は、経済合理性にも、利益性にも欠けている。
国家事業という大義名分が勝ち、実入りよりも窮屈さばかりが目立つ。
忍の一字でつき合っている企業が多いのが実態と思う。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jirai/sanngen.html

利益は、一定の保証水準でしか上げることができない。
設計、生産、出荷までの全工程が、防衛庁の監視のもとに置かれる。
一般に適用される経済原則とは縁遠く、顧客の防衛庁は、生かさず、
かといって殺さず、平時には、生産する絶対量を少なく限っているから、
咽から手が出るほどやりたい量産も実現できない。専門性が重視され、
随意契約でつき合いが長くつづくが、一方で辞退することもはばかられる。
制約があるのだが、民需に転用できる技術が育ち、利益を生めば救われる。
代金を水増しする事件があったが、癒着するモラルの低さが目に見えた。
日本の防衛産業に、陽の当たる日はなかなか来そうにない。

経団連が「武器輸出3原則」の見直しを提言した。
昨年(2003年)末、政府がミサイル防衛(MD)導入を決定したが、
MD用の迎撃ミサイルの共同開発から共同生産までを日米で進める過程で、
日本製の部品をアメリカに輸出することになれば、3原則に触れてしまう、
解禁してほしい、というのが理由という。しかし、それもあるだろうが、
永年の窮屈さを取り払い、量産効果を採り入れたいという強い願望もある。
海外が目をつける結構な技術や製品があるから、量産に輸出ができれば、
国としても、今までのように国際水準より高い武器を買わずに済む。
平和憲法の軌道から外れようとする前々からの動きが出た。

かくして、日本の憲法の真価が問い直されている。
冷戦時代は、米ソが戦えば、日本も否応なく世界戦争に巻き込まれた。
両大国に命運を握られ、核が使われれば、日本も死なばもろともだった。
熱心に憲法を論議したものの、どこかに限界を感じ、空虚感があった。
不戦主義一本で、やや観念的に過ぎると思える護憲論も大手を振っていた。
手に負えない冷戦環境が、逆に議論の巾を拡げたのだろう。その意味では、
冷戦後のほうが議論の的を具体的、現実的に絞ることができるようになり、
併せて、より主体的、自立的に憲法について議論できるようになった。
半世紀もの間、改定なしでいたことが不思議という考えもある。

憲法9条については、相対的に考える必要がある。
尖閣諸島などの帰属問題では、資源に絡んで中国や台湾と対立関係にある。
日本は、99%もの石油を輸入する。中国も、国内の油層を温存したまま、
石油の輸入国に転じた。アメリカと同じような資源政策を採用している。
資源の争奪戦は、中国の成長とともに激しくなることは明らかだろう。
冷戦時代よりも生々しくなりそうな隣国との利害関係が見えはじめた。
核を保有する大国・中国にどう対処するか、難しい。

学習会の成果が、思考の揺れがひどくまとまらない。
ともあれ、日本の防衛産業は、このまま忍の一字をつづけてほしいものだ。
日本が安全を保ち「国際社会において、名誉ある地位を占め」るためには、
率先垂範が必要だ。「平和憲法」主義を広く根づかせなければならない。
これまでの半世紀、日本は自らの流れ(平和憲法主義)に乗れないでいた。
日本のODAは、戦争放棄と引き換えに給付するなど、渋くやりたい。
自信を持って世界を日本の流れに乗せよう。

つづく

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創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
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