ビジネス一般

日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

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モノづくり、あれもこれも (続編) 《54》

2004/05/10

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    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
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                         --浪費なき日本の繁栄のために--

 《54》 裏事情を抱え競い合う商品

身の回りの日用品を手に、想像を逞しくすると面白い。

つい最近、もらった革ベルトには驚いた。
オシャレなロゴつきの金ピカのバックルから、高級ブランドと思わせた。
ところが、ベルトの端を支える金具が、いとも簡単にバックルからもげた。
しかも、ベルトの穴が脆弱で、引っ張られる方向へと少しずつ広くなった。
あるゴルフコンペで、家庭に転がっている不用品を賞品にすることに決め、
各自が持ち寄った。その中の一つを、わたしが手に入れた結果だった。
海外から持ち帰ったおみやげ品が、巡り巡ってわたしの元に来たのだろう。
製造者は、粗悪さを十分に承知の上で流通させた確信犯だったに違いない。
社会常識と隔絶したモノづくりの現場が、例外的に存在する。

ワケアリ商品*と知り、苦笑いすることもある。
去年、100円ショップでダイアリーを買った。安さにも大喜びだったが、
B5版というほどほどの大きさがあり、薄くて軽いことから気に入った。
項目の配列もスペースも、わたしには十分に満足でき、翌年も使いたい、
と思っていたほどだ。ところが、「年間計画表」の欄に誤植を発見した。
9月になって10月の予定を組むところで、30日から曜日が1つ飛び、
木曜日であるべきはずが金曜日になり、31日が土曜日になっていた。
ある会合の誘いが手紙で届き、「10月30日(木)」となっていた。
金曜日ではないかと相手に電話で注意したところ、逆に怒られてしまった。
100円ショップ送りのワケアリだったのだ。
http://setuyaku.chu.jp/back20.htm

先日、100円ショップで見たオシャレなライトも同じだ。
とても100円とは思えないデザインで、首をひねった。子細に見ると、
本体の胴体と尾の部分のプラスチックの色が微妙に違っていた。つまり、
製造する過程で、それぞれの塗料の調合を間違ったのが原因と思われた。
日本の市場は、機能に問題がなくても、色に些細なムラがあれば許さない。
ワケアリとしてしか売る方法がなくなったのだろう。

もちろん、100円ショップは、ワケアリばかりではない。
例えば、トランプは品質がよく、500円はする一般のものにも負けない。
欠番のカードでもあるのかと意地悪く探してみたが、発見できなかった。
和英辞典もあり、ローマ字を頼りに日本語を学ぶ外国人が重宝している。
質も量も手頃で、安さと引き換えに誤字や誤植があったとは聞いていない。
最近は、一般の店なら100円以下で買えるような小物も並べている。
世の大勢は、安かろう、悪かろうの時代をすでに超越した。

商品の価値の判定には、費用対効果が大きく影響する。
100円ショップが元気なのも、価格以上の価値を提供するからだろう。
安さと便利さを追ってついつい手を伸ばす客がいる限り、店は繁栄する。
逆に、高価な商品でも、使い勝手が悪ければユーザーが相手にしない。
さらに、所有欲を達成したという満足感も、欠かせない重要な要素になる。
生産者と消費者との駆け引きは、複雑になるばかりだ。

同じように、国民性も少なからず影響する。
思うに、日本人は、商品の品質に人一倍厳しい目を持っているようだ。
アメリカ国内を移動中、スーツケースのベルトを紛失したことがあった。
途中の空港に不心得者がいたらしく、カギの部分にもナマ傷を見つけた。
幸い、未遂に終ったようで被害はなかった。このベルトは盗難避けより、
預けたスーツケースを到着先の空港で引き取るとき、目印として役に立つ。
帰国する前にアメリカ製のベルトを新しく買った。ところが、始末が悪い。
ベルトをいくらきつく金具で締めつけても、やがて弛んでしまうのだ。
アメリカ人は、使い心地よりも、目印の役目を優先させるとしか思えない。
ともあれ、日本人とは違う鷹揚な国民性が見えた。

どんな商品も、それぞれの裏事情を抱えて存在を競い合っている。
手にしながら、逞しく想像すると面白い。

つづく

さぶみ・ごろう

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創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
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