ビジネス一般

日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

全て表示する >

モノづくり、あれもこれも (続編) 《52》

2004/03/29

    ┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓
    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
    ┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛

                         --浪費なき日本の繁栄のために--

 《52》 川下で商機を拡げる大商社

前回、大手商社は川下の商売が不得手と書いた。

しかし、川下で直営の商売している珍しい大商社がある。
多品種で流通量が少なく、単価も低く、手離れが悪い商売を嫌わず、
米国製の「マグライト*」という懐中電灯の輸入元になり、販売している。
もちろん、電気製品の量販店やホームセンターを通して小売りしているが、
彼らは修理までは引き受けない。米国まで送り返すのは大きな無駄だから、
巨艦を思わす大商社が、自ら前面に立って修理の依頼も直に受けている。
本体も部品も在庫し、出荷や返品への体制も一通り築いてあるようだ。
アウトソーシングを駆使しても、苦労は並みでないだろう。
http://www.maglite.ne.jp/

このマグライトは、軽合金の堅牢なつくりで価格が高い。
米国では軍や消防署など、ヘビーデューティな分野に使われ、日本では、
野外活動の愛好者など、ややマニアックな人に根強い人気があるらしい。
大商社が取り上げたのも、このブランドイメージと関係がありそうだ。
新聞の全面広告の簡素なデザインに、感心したことがあった。

わが家にも、旅行用に使う小型のマグライトがある。
うっかり床に落したところ、電池が十分あるのに点灯しなくなった。
原因は豆球の破損だろうと思い、ホームセンターで専用の豆球を買った。
実は、本体の後ろのキャップをはずすと予備があるが、気づかなかった。
新品に交換していろいろ試したが点灯しない。年初のパソコンにつづき、
修理を頼むことにした。どうしたものかと、豆球のケースを見ると、
輸入元を名乗る馴染みの大商社名とともに、電話番号が印刷してあった。
03‐××××‐1111とあるから、会社の代表番号だ。30数年前は、
どの会社もダイアルインでなく、代表番号があってそこに電話をかけた。
大商社なら部署がいくつもある、この時代、何故に代表番号にしたのか。
しかも、自分が同じ商社の出身で、小回りの悪さを知り尽くしているから、
懐中電灯1本の不具合でかける電話に、本当のところ気が引けた。
どう応対されるものか、興味と疑心暗鬼があった。

オペレータに、「マグライトのことで、、」とだけ告げた。
直ぐに担当につないでくれたので拍子抜けした。一通り事情を話したが、
解決に至らず、若い女性の声で「受け取り人払いで送ってください、
点検しますから」といい、倉庫会社の住所を教えてくれた。ここは、
パソコンのメーカーのように「サービスセンター」とはいわず、
ずばり「修理係」といったので妙に好感が持てた。こちらも愛想よく、
「大商社が、細かい話にたいへんですね」と同情すると、相手は笑った。
堅牢な商品のはずだから、滅多にない電話だろうか。

数日してから、現物が返送されて来た。
原因はスイッチの不良だったそうで、無償で交換してくれた。
それにしても、この大商社の川下ビジネスには、疑問が深まるばかりだ。
2本で400円足らずの豆球もあり、小さな部品の在庫管理から修理まで、
手離れが悪く、最も不得手な商売の領域に入る。ほかより高価とはいえ、
本体だけでも大小あり、1本当たり大きく見て1000円の実益としても、
1千万円稼ぐには、全国で1万本もの数を売らないといけない計算になる。
しかも、無償の修理が重なれば、1本分の儲けが簡単にすっ飛んでしまう。
本体が堅牢だし少額だから、修理で大きく稼ぐ常套手段は通用しない。
従来の大商社の感覚では、敬遠したい商売の典型だろう。

しかし、川下にも商売のうま味がある。
消費が途切れない分野なら、少量であっても、積み重ねで大きくなる。
同様な商品を数多く販売するようになれば、スケールメリットが生まれる。
大商社が直系の販売会社をつくり、商売を代行させるのもそのためだった。
近年、コンビニの系列化に熱心なのも、同じ狙いからだ。

このマグライトの例も、偶然だったが変化が見えた。
返送された過程で、販売会社が新しく生まれ、業務が移管されたと知った。
川下の商売をかき集め、商機を大きく拡げようとの構えのようにも思える。
直営で体験した川下の苦労が、活かされるのだろうか。

つづく

さぶみ・ごろう

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。