ビジネス一般

日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

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モノづくり、あれもこれも (続編) 《43》

2003/09/22

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    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
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                         --浪費なき日本の繁栄のために--

 《43》 売れ残りを買う心地の悪さ

2本で1900円という格安のズボンを買った。

近くのスーパーでのことだが、1980円などという小細工はない。
消費者心理を弄ぶよりは、早く夏ものを処分したいという売り場の願いが、
強く読み取れる。もともと正札では5800円と1900円の商品だが、
1900円のほうは、すでに値引きを何度か経たものらしかった。
裾上げに1本当たり450円(シングル)、2本で900円が加算される。
もう1本買える勘定と思うと、おかしな気分になった。ズボンの本体は、
原価を無視して大胆に値下げしても、工賃までは値下げしない。
厳しいデフレ時代にも、押し通せる価格があると気づいた。

バーゲンセールが、年中行事化している。
スーパーだけでなく、デパートも同じになった。半世紀前のデパートは、
定価を頑なに守っていた。外商が、金持ちの個人客を「内覧会」に招き、
少々の割り引きを与えてご機嫌を取ることはあったが、例外といえる。
1960年代の初め、スーパーが登場し、大衆化路線で急成長すると、
格式を尊ぶデパートも安穏としていられなくなった。スーパーに対抗し、
在庫一掃の決算セールから、夏物一掃や冬物一掃などへと発展させ、今や、
同系の野球チームが勝つと、スーパーと機を一に全館特別大バーゲンを打つ。
またか、と正直思うが、賢明な消費者は、この機を上手に利用する。しかし、
よく気をつけないと、安さに誘惑されて不要なものまで買うはめになる。
バーゲンを待って買うと決めても、商品によって「対象外商品」に化ける。
消費者も、欲しい商品を安く手にするには、根気がいる。

デパートによっては、「社員・ご家族優待セール」を催す。
問屋と協力し、売れ残り商品のはけ口を「社員・ご家族」にも求める。
わたしが知る例では、月1回、会場を外部に借り、金、土、日と開く。
デパートが、そのまま移動したような広い売り場を確保し、女店員には、
OBたちが動員されるようだ。あまり若くないことから、想像がつく。
売れ残りとは思えないほど、種類が豊富にあり、それなりに安いのが魅力だ。
都心のデパートが混雑している同じ時間帯に、この会場も人で溢れる。
「社員・ご家族」だけでなく、それ以外の人も構わず呼び込んでいる証拠だ。
不景気を恨むばかりの日本人だが、購買力の旺盛さを失っていない。
趣味を聞かれて「買いもの」と答えた知人がいたが、もっともだ。

最近は、お中元やお歳暮をスーパーから贈る人がいる。
昔は、格上のデパートからと相場が決まっていたが、気にしなくなった。
かって「駅弁大学」というのがあった。「駅弁あるところ大学あり」の意で、
多さを揶揄する意味合いがあった。今や、スーパーも、駅という駅にあり、
郊外型の店鋪も加え、大中小と多さを誇る。その分、消費者に浸透できた。
対してデパートは、江戸時代に遡る長い歴史*を誇り、どのデパートも、
大都市の1等地に店鋪を構えている。数では、とてもスーパーに及ばない。
違いは、それだけのはずだが、その違いが格の上下を生む。
http://www.01.246.ne.jp/~reki127/index.rekitan-12.html

外部から老舗を集める企画力では、デパートが上だ。
話題の「デパ地下」へ行くと、「うまいもの」の有名店が軒を並べる。
ついつい財布のヒモが緩むが、どういうわけか、スーパーの食品売り場では、
1円たりとも浪費しないように気を引き締める。コンビニの出現もあり、
商品によっては、スーパーの売り上げの足を引っ張るようにもなった。
デパートとコンビニがスーパーを挟み撃ちにする。

激しい三つ巴戦がつづくなか、売れ残りの商品が減ることはない。
格安のズボンを買ったわたしも、その恩恵を受けたことに間違いはない。
しかし、安さに誘惑されて買ったという心地の悪さが残る。

つづく

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創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
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