ビジネス一般

日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

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モノづくり、あれもこれも (続編) 《37》

2003/05/19

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    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
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                         --浪費なき日本の繁栄のために--

 《37》 熱しやすく冷めやすい日本

中国について書いた本を立てつづけに2册読んだ。

中国は、日本にとって目が離せない国になっている。
今や「世界の工場」といわれ、モノづくり大国になった。そこへSARS騒ぎが起き、
中国に工場を持つ日本のメーカーが、生産をストップさせる事態にまで追い込まれた。
中国の動静が、日本に想像以上に影響する。

わたしは、外国人に日本語を教えるボランティアをやっている。
受講生に中国人が多く、昼間のせいで主婦が目立ち、ご主人がコンピュータ技師、
薬剤師、留学生と様々だ。家事で忙しいはずだが、学びへの意欲がすこぶる高い。
日中の交流がいよいよ深まる現象を、身近かなところで否応なく見ている。
中国というものに、わたしも無関心ではいられない。

1冊目を読みながら、小学5、6年で担任だったK先生を思い出した。
『北京大学* 超エリートたちの日本論 衝撃の「歴史認識」』(工藤俊一著、
講談社+α新書)で、両国で隔たりが大きい「歴史認識」について触れた項があり、
見出しが「熱しやすく、冷めにくい中国人」とあった。同じことを、日本が敗戦し、
10年も経ていない半世紀も前、K先生からいみじくも繰り返し聞いた。
日本人は熱しやすく冷めやすく、中国人は粘り強い国民だというのだ。
http://siva.cc.hirosaki-u.ac.jp/usr/yujigoto/beida.htm

女のK先生は、戦死された父上からのまた聞きとして話されたと記憶する。
小学生を相手に、ずいぶん程度が高い話をされたものと、今になって感心するのだが、
日本人の弱点として教え、戒めるように話された口調が脳裏に残っている。
仲間と誘い合い、東京・自由が丘のお宅を訪ねると、軍服姿の父上の遺影があった。
恐らく、当時の日本人の一般的な中国観は、敗戦の負け惜しみからでなくても、
偏見が強かったと想像できるから、むしろ珍しいほど客観的な観察だったと思う。
中国に敬意を払い、同国の事情にも深く通じた父上だったのだろう。

もう1冊も、やはり「歴史認識」が及ぼす日中の軋轢を取り上げていた。
『中国人と気分よくつきあう方法 外交官夫人が見た中国』(花澤聖子著、
同上書)で、「大手商社マン」の話に同感したのは、わたしだけではなかろう。
幸い、わたしにそのような体験はなかった。しかし、「交渉に行き詰まると、
相手の中国人は必ずといっていいほど、日中戦争のことを持ち出してくる」との話は、
よく聞いた。著者は、「アメリカ人と交渉に行き詰まった日本の商社マンで、
あなたたちは日本に原爆を二つも落して、一時に何万人もの日本人を殺したでしょう、
などという人はいないだろう」とつづけて書いている。まあ、その通りだろう。
日本人なら、例外なく、直面するビジネスに絞って交渉をする。

中国と陸つづきのためか、韓国人にも似通ったところがある。
プライベートなビジネスにも「恨」の感情が、往々にして持ち込まれる。相手は、
水に流して顧みない冷めやすい日本人に驚く。日本人は、的外れなロジックに戸惑い、
ついついペースを乱す。右往左往するうちに根負けし、最後に譲歩してケリをつける。
すでに時代が変わったようだが、釈然としない思いをした同僚が何人もいた。
恐ろしくも、その国が抱えた長い歴史や体験が、交渉の流れを支配する。

冷めやすい日本と冷めにくい中国では、新たな溝を生むリスクが消えない。
溝を生まない手はじめは、双方のことばの壁をなるべく低くすることに違いない。
コミュニケーションがうまくできてこそ、相互理解が進み、片寄りなく発展する。
日本語を学ぶ中国人の奥さんがたに、これからも大いに尽くさなければならない。
きっと、彼女たちは、奇特な日本人がいた記憶を、冷ますことはないだろう。
田中角栄は、失脚した後も、中国には大切にされた。

つづく

さぶみ・ごろう

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創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
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