ビジネス一般

日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

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モノづくり、あれもこれも 《seq09》

2001/10/08

《seq09》

    ┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓
    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
    ┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛
        --浪費なき日本の繁栄のために--


 《09》 IT時代に損しない法

マイラインで、大損してしまった。

新聞やテレビ、DMなどを総動員したマイラインの大宣伝が一段落したと思ったら、
予期しない高額の請求書が届いたのだ。 デジタルデバイドの洗礼を受けてしまった。

理由は単純で、知人の熱心な誘いに乗ってNTTと縁切りし、
T社のマイラインに切り換えたことにはじまる。それ以降、インターネットに接続する間は、
NTTへのアクセスを復活しない限り、ISDNなどの割り引きのサービスを受けられない。
必要な設定作業*を怠っていたのだ。しかし、その手順について、なんの指示も、手掛かりも、
もらったり、聞いたりした覚えがない。 ましてや、正確な切り換え日時も知らされていない。
疑問には感じながら、これほど進んだIT時代だから、単純な切り換えくらい、
T社とNTTの間でうまく処理されるのだろうという、甘い期待と勝手な打算があった。 
http://ohta.oresama.org/myline/

早速、T社の「お客さまセンター」に電話し、手順を聞いた。腹いせに、
T社とNTTの間で自動切り換えをなぜやらないのか、あれほど派手な宣伝をやったにしては、
片手落ちで不親切なサービスだ、と嫌みもいった。応対に出た担当者が、一切の手順は、
登録後に届く『しおり』に書かれていたというので、念のため再送してもらうことにした。
彼は、低姿勢を貫いたが、きっと、ドジなユーザーと軽蔑しただろう。

思うに、NTTが電話事業を独占していた時代、この種の混乱はなかった。
選択肢が一つに収斂されていて、すべてお任せだから、かえって楽だったといえる。そんな時代、
アメリカに転勤して住居を構えると、電話のサービスがあまりにも豊富にあり、
且つ難解とあって驚き迷い、日本の単純さを懐かしんだという話があったものだ。
ついに日本も、驚き迷うことが日常化するIT時代に突入したのだろう。

モノづくりの進化とともにハイテクを生み、新しい利用技術が開発される。
実用化が進むとともにサービスの種類も豊富になる。供給側はよりよいサービスを競って提供する。
選択肢が増え、競争原理が働くので質の向上とともに価格も下がる。消費者からすれば大歓迎だ。
しかし、注意すべきは、進化が速いITは、ドジなユーザーを置き去りにし、
遠慮なく迷路に追い込むことだ。

T社の『しおり』が届き、はじめて読んだ。簡単な図解もついていたが、説明が淡白だ。
警告するような強いニュアンスで書いてもらいたいが、それをやると顧客は余計な手数を知るから、
敢えてNTTから契約を変えたりしないだろう。そういう計算が見えてしまう。ニュアンスはどうあれ、
問題は、どういう重要性があるのか、自身とどう関わるのか、という根本も理解できないユーザーが、
ひょっとしてわたしも含め、多数いるに違いないことだ。確かに情報はあるし、あふれている。
あふれるほどに、迷路に追い込まれるユーザーが増える。 

はじめてプロバイダーに申し込んだ1997年を思い出す。少なくとも初心者には、
一連の作業がやっかいで、難行苦行だった。やがて、プロバイダー側が、
登録用のソフトをディスクに入れ、競って配付するようになり、手続きが天地の差で楽になった。
今では、購入したパソコン側に予め組み込まれている。しかも、一時のような、
自社系列のプロバイダーへなにがなんでも囲い込むという独善的な仕組みを解き、
主要なプロバイダーを網羅するようになったので選択肢が広くなった。とはいえ、
ユーザーの裾野の拡がりとともに、新たな迷子を生む事態に変化はない。

クルマをはじめ、高価な家庭用品などの新製品は、発売早々を避け、暫くしてから買えという。
往々にして「初期不良」があるからだ。市場に出てから、予測外の不具合が見つかる。すると、
生産ラインのつぎの区切りを待ち、改良した設計で秘かに流すが、モノづくりの現場では、
公然の秘密になっている。

これに似て、わたしの教訓は、ハードにせよ、ソフトにせよ、サービスにせよ、初物は一先ず見送って、
にわかには飛びつかないことが賢明ということだろう。IT時代に生きながら、
今一つ知識に自信がないものは、「今申し込めば無料」などという甘い誘いにあわてて乗らず、
先ず待つことが賢明のようだ。
2、3周遅れで走れば、驚き迷い、果ては不測の損失を生むような苦い体験をしないですむ。

つづく


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創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
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