ビジネス一般

日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

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モノづくり、あれもこれも (続編)《06》

2001/08/06

《seq06》

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    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
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        --浪費なき日本の繁栄のために--

 《06》 日本の政治とモノづくり

内向きに安住する政治、対して宿命的に外向きな経済、そのギャップが大きい。

遺憾ながら、政治の世界では、偉い先生がたの時代錯誤の失言が、外国人をひどく刺激し、
反感を買うことが度々ある。これは、政治家たちが、あまたの外国に関知せずとも、
地域に貢献していれば、選挙に勝てるという事情があるためだ。「外交は票にならない」ともいい、
思考回路を内向きモードにしたままで、ほとんど用が足りてきた。

諸外国に多くの店鋪を構え、外国通と思われた日本の金融機関が、
国際舞台で脆弱さを露呈したのは意外だった。手厚い国の保護のもと、内向きモードのまま、
真の国際競争の荒波にさらされていなかったらしい。しかし、「モノづくり」の世界は全く別で、
早くから海外との接点を拡大し、しかも、もみにもまれて競争力を養い今日に至った。
まず先進諸国の技術を率先して導入し、育んだ技術をもとに製品の輸出を活発に行い、
国際競争力を蓄積した。日本の体力がついて円高が進み、輸出が難しくなると、生産拠点を海外に移し、
現地生産を進めて為替のリスクを回避する努力もした。それぞれ深さに差があっても、
海外とのつながりなしには、日本の「モノづくり」が立ち行かないという共通の認識があった。

10数年前、アメリカへ工場移転するA社を、手伝ったことがあった。中小企業の典型といえるA社は、
大手で重要な顧客(部品の納入先)のC社から、暗に「アメリカへ来ないと、
国内の発注量も減らす」といわれていた。というのも、C社が苦労して、
現地でやっと調達しはじめた部品の品質が、どうにも安定せず、止むを得ない対策として、
A社のものを輸入して切り抜けていたが、続騰する円に勝てず、
生産コストが上がるばかりという事情からだった。顧客の強い要請とはいえ、
A社のような小さな会社が、外国の、しかも全く未知の土地に工場一式を建て、
新しく経営しようというのだから、創業以来はじめての難題だ。
まさに会社の生き残りを賭けた一大事業となり、悲壮感があった。

アメリカの各州は、ちょうど、自身のモノづくりが競争力を失って衰退し、
埋め合わせに日本企業の誘致を熱心に行っていた。州側の負担で、日本の工場へ専門家を予め派遣し、
一連の作業を修得させるなど、細かい側面的な支援もしていた。しかし、
一朝一夕で修得できるはずもない。時間をかけながらも、たいへんな苦労を重ね、
現地のC社のニーズに応えることができたが、生まれて初めて日本を出るという工場長は、「まさか、
この会社に入って、外国に行かされるなんて、夢にも思いませんでした」と述懐したものだ。
現地に呼び寄せる予定の家族のことも心配の種だった。

日本の、大から小までいろいろなメーカーで、こんなことが突然行われ、
「モノづくり」のグローバライゼーションは全世界を相手に、意外な速さで進んだ。多くの日本人が、
旅行者としてでなく、市民として海外で生活するようになり、日本人学校*も数多く設立された結果、
日本の全国各地にたくさんの帰国子女がいるのもうなづける。
http://www.tokyo-shoseki.co.jp/link/schools/kaigai1.htm

最近では、日本の自動車産業も、世界規模の合従連衝の渦中にあり、外国資本を受け入れる例もあって、
国境の壁がどんどん取り払われようという勢いだ。わたしたち自身も、好むと好まざるに関わらず、
海外との経済的な接点を深めている。

ひるがえって、日本の政治を考えるとき、このまま内向き優先でよいのか、という疑問に突き当たる。
すでに、外向きモードで生き残ろうとする日本の「モノづくり」や、
食糧やエネルギーなど海外資源に依存度を高める日本人の日常を見ると、際立ったアンバランスが目立つ。
最近では、外国のMBAの資格をもつ国際派の代議士が散見されるのも幸いだが、内向き優先の政治が、
日本の進路を誤らせることにならないのかと少々心配になる。そろそろ、広い世界の空気を知り、
その動きを視野に入れながら、日本のかじ取りをする新しい型の政治家を国会に多く送り込むことを、
真剣に考えなければならないと思う。

つづく

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創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
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