ビジネス一般

日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

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モノづくり、あれもこれも 《05》

2001/07/16

《seq05》

    ┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓
    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
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        --浪費なき日本の繁栄のために--

 《05》 マイクロソフトの教訓

それでも、マイクロソフトのひとり勝ちがつづく。

市場でひとり勝ちをつづけた「ソフトウェアジャイアント」が、
司法省によって会社を分割されようとして久しい。そもそもの企業戦略とはいえ、突出した強さに任せて、
目立って排他的な商売に走ると、必然的にチェックが入るものらしい。先進社会の証ともいえそうだ。

確かに、ウィンドウズ陣営の増幅は、目を見張るものがあった。日本も、かって、PC98のNECが、
豊富なアプリケーションを擁して、国内でのひとり勝ちも近かろうという時期があるにはあった。
しかし、ウィンドウズ95の出現から以降、日本のパソコン市場は、
あれよあれよといううちにマイクロソフトの天下になった。日本の大多数のユーザーも、
互換性に優れた使い勝手のよさを認め、結局は大勢を支配する本流のアメリカを向いた。
アップルが善戦していた日本のDTPやグラフィックの世界でも、
天下をウィンドウズに明け渡しつつあるのは、知っての通りだ。

しかし、マイクロソフトがもたらしたプラスの貢献は大きい。
ディフェクト・スタンダード(事実上の標準規格)に駆け上がった結果が、
NECと富士通のパソコンが繋がらないなどという、かっての悩ましい常識が雲散霧消した。つまり、
メーカーを問わず、データをほぼ自由に交換できる別世界を出現させた。かっては、購入するとなると、
各メーカーの自社陣営への囲い込み商法に悩まされ、選択にさんざん迷ったものだ。
ときに不信や不満が重なり、他社のパソコンにいざ乗り換えるとなると、
ハードもソフトも全取っ替えになるし、へたをすれば蓄積したデータを全部捨てる羽目にもなるので、
余計な費用と手間を覚悟しなければならなかった。

そもそも、「モノづくり」を支えるソフト、ハードの現場には、
「ブラックボックス」というような門外不出の知恵の集約がある。自由経済のもと、
他社との競争に優位に立つ有力な武器になり、会社の収益ばかりでなく、
存続を保証する大切な財産にもなるので、その多くは不可侵の「企業秘密」として保護される。

マイクロソフトも「ブラックボックス」を武器に、先行利益を謳歌した。しかし、
その専横を牽制するかのごとく、「リナックス」*が出現したのは、ユーザーにとって朗報だった。
ウィンドウズとは反対に、心臓部になるOSの規格(ソースコード)がガラス張りで、
無料で提供している。建物でいえば、土台から骨組みまで設計思想やルールが無料で公開され、
改築も、増築も、移築も、ルールに添って行えば、他者との間に構造上の不整合を生むことがない。
おまけに個々のニーズに合わせてカストマイズも自在だから、住み心地も最高に仕上がる。
カストマイズの知恵や成果は、他者にも無料で提供され、共有の資産として蓄積される。
http://www.linux.org/info/index.html

かって、ビデオの有名な規格争いで「ベータマックス」が敗退したのは、対する「VHS」が、
劣勢ばん回の奇手として、技術を天下に積極的に公開し、
多くのメーカーを自身の陣営に取り込む戦略に出たからだった。

ここでの教訓は、「組織」というものが、詰まるところ、公私を問わず「社会の公器」であるように、
「モノづくり」を支える「技術」も、究極的には「共有資産たるべし」ということだろう。
どうやら、「ジャイアント」ととして突出し、一社独占の専横的態度で走り過ぎると、
どこかでブレーキがかかるもののようだ。世の中、捨てたものでない。

つづく

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創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
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