ビジネス一般

日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

全て表示する >

モノづくり、あれもこれも (続編) 《04》

2001/06/25

《seq04》

    ┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓
    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
    ┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛
        --浪費なき日本の繁栄のために--

 《04》 シリンダーという省力機器

かって、バスのドアの開閉が手動だったが、今や想像もできない。

わたしの子供の頃、路線バスには必ず若い女の車掌さんが乗っていた。客の乗り降りの案内、誘導、
切符の販売、入挟などを取り仕切り、手動のドアの開け閉めまでやっていた。ただ、当時、
わたしは都会に住んでいたせいで、アメリカ軍の子供たちを乗せたスクールバスをよく見かけたが、
車掌の姿がなく、プシュッという妙な音を立てるとドアが自然に開くので不思議だった。
それが、今になって思えば「自動ドア」というものだ。

バスの自動ドアがどういう仕掛けで開閉するか、子細に観察すると、
エアシリンダの働きであることが分かる。前部の、運転手席の脇のドアの根元には、
構造が水鉄砲のような筒型のエアシリンダが仕掛けてある。通常は、チリやホコリよけに、
黒い蛇腹状の袋で覆ってある。運転手がボタン操作で、圧縮空気のオンオフの切り換えを行うと、
筒の内部の軸(ピストン)が反応して伸びたり縮んだりする。ピストンが外に伸びるとドアが閉まり、
引っ込むと開く。どのバスも、空気を圧縮する小型のコンプレッサを床下に積んでいて、
そこから圧縮空気が供給される。プシュッと聞こえるのは、そのためだ。
今になっても、バスのドアに「自動扉」とわざわざ書いてあるのは、車掌さんが消えたはるか昔、
手で開けて降りようとするあわてものに危険を知らせた名残りだろう。

バスが無人化したように、「モノづくり」の現場でも、人力を如何に最小限にするか、つまり、
如何に自動化、無人化を進めて生産性を上げるかが、重要な課題だった。実は、
大きく貢献してきた省力機器として、このシリンダを見逃せない。構造がシンプルで、
空圧式と油圧式の2種類がある。油圧式は油圧ユニットから送られた油圧の力で駆動させる。

このシリンダが、ドアの開閉にも増して、力強く活躍しているのが土木建築の現場だろう。
バケツ状の大きなシャベルを先端につけた「油圧ショベル」は、足を止めて観察すると面白い。
象の鼻のような柄が自由に上下し、屈伸し、シャベルは巧みに角度を変えることができる。
地面をひと掻きで掘り起こし、大量の土砂を脇に止めたダンプカーの荷台に軽々と載せる。

この動きは、すべてが節々に仕掛けられたオイルシリンダの助けによっている*。余談ながら、
この「油圧ショベル」は、ユンボ、バックホー、エキスカベータなどといろいろに呼ばれる。
メーカー名に由来するものもあるが、そもそもは外国から輸入され、
需要が活発になってから、技術導入によって国産化されたことの名残りだ。
土砂を積んだダンプカーはと見れば、荷台を高々と持ち上げ、傾斜して土砂を落下させるが、
これも荷台の下のオイルシリンダが働いている。
http://www.howstuffworks.com/at-2.htm
−画面上の表示「Dig」をクリックすると動きはじめます−

空圧か油圧かの違いは、それぞれ使用目的と環境によって使い分けるところにある。一般的に、
軽作業で清潔さが大切な食品工場などではエアシリンダ、腕力が必要で、火気が少ないところでは、
オイルシリンダが使用される。意外に単純なシリンダのリニア(直線的)な動作が、
「モノづくり」の現場を計り知れないほど省力化し、わたしたちを3Kから解放してくれた。
モータと同じように、陰に隠れて地味だが、すばらしい能力を備えている。

つづく

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。