ビジネス一般

日本の支え「モノづくり」

日本の「モノづくり」への賛美と懸念を頭に置きつつ世の森羅万象を考える。図案屋稼業の傍ら、かって商社に勤務した経験も振り返り、書き溜めた著者自身の備忘録でもある。

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モノづくり、あれもこれも 《01》

2001/04/23

《seq01》
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    ┃モ┃ノ┃づ┃く┃り┃、┃あ┃れ┃も┃こ┃れ┃も┃ (続編)
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                            --浪費なき日本の繁栄のために--

 《01》 「モノづくり」のほころび

事故は、忘れた頃にやってくる。

日本の基幹をなす大型国家プロジェクトに、信じ難い重大な事故が連続して起きた。
最近はやや収まったように思えるが、予断を許さない。

宇宙開発事業では、ロケットが2本とも打ち上げに失敗したが、まだ記憶に残る。原子力発電では、
茨城県の東海村での臨界事故や、高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ*があった。
世界に誇る新幹線では、大きな事故に発展しかねないコンクリートの落下事故というのもあった。
質を誇ってきたはずの日本の「モノづくり」の技術に、ほころびが見えてきたのだろうか。
http://www.nifty.ne.jp/forum/fenv/prweb/press01/00617.htm

わたしは商社マンだったので、「モノづくり」に直接手を染めた経験がない。しかし、
機械の商売を担当した経験のなかで、多くの技術屋さんに接しながら、
そこここで聞いた「モノづくり」の裏話には、興味の尽きないものがあった。
戦後も暫く、日本の製鉄技術が未熟で、海外の技術に多くを学んでいた頃の教訓的な話がある。

外国から設計図を買い、いよいよ国産化するため設計図を子細に検討すると、
機械のある部分が異常な肉厚をもち、大きく膨れていて疑問に思ったという。
念入りに強度計算した結果、これは明らかに無駄なゼイ肉と断定し、国産機械では、
独自の計算に合わせてスリム化し、材料費も節約できて喜んでい。ところが、
これがたいへんな災いをもたらした。計算通りの精度が出ず、やがてガタがきて、
使いものにならなくなったのだそうだ。机上の計算だけではない、経験に裏づけられた大切な、
見えない部分を見落としてしまったためという。

やはり古い話。機械を活かすも殺すも、人間だということを実感させられる工場の話があった。
名古屋のある工作機メーカーが、自社工場に全自動の製造ラインをつくり、お客に見学させていた。
ある金属を加工する一連の工程で、工作機にはロボットを介在させ、
全作業を完全に無人化していた。ところが、同じ建物の一角に、別世界を出現させていた。
そこにはベテラン作業員が配置され、各々が手作業で同じものを小量ながら製造していた。つまり、
いかに無人化が進もうとも、生身の人間が身につけた基本の作業知識があってのロボットで、
それがなければロボットを使い切れないし、質の高い優秀な製品の生産など難しい。
機械が優秀なだけでは万全ではないという教訓を、積み重ねた貴重な過去の経験をもとに、
身をもって実証的に見せていたわけだ。

「モノづくり」には、余人の思いも及ばない奥深い謎の領域がある。手抜きをすれば、
容赦ない結果が正直に出るという恐ろしさがある。一連の事故は、日本の「モノづくり」に、
おごりとともに、少々気のゆるみが出てきたことを警告していたように思える。案外、
厳しい国際競争に曝されず、過保護のなかでやってきた分野に、こんなほころびが目立つようだ。

つづく

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創刊日:2001-04-23  
最終発行日:  
発行周期:3週間毎  
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