事件・犯罪

珍走団とお呼び!!

暴走族は「珍走団に」変わりました!この恥ずかしい名前を定着させる運動を行っています。アイデア募集中です!!

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珍走団とお呼び!!

2004/02/11

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      ◆◇ メールマガジン 珍走団とお呼び! ◆◇

 共同暴走危険行為者の呼称は「珍走団」に決まりました。 
         珍走はしない、させない、美化しない。 

          編 集 「珍走団とお呼び!」編集部

■■■■■■■■■■■ 2004/02/11 Vol.036 ■■■■■■



〓〓〓  今回の特集は 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

  投稿小説「峠のライダー」中・後編

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今年はなんとかメルマガをまめに出そうとしている香織です。
前回さわりをご紹介しました
メルマガ読者の「兎」さまからの投稿「峠のライダー」ですけど
今回はいっきに中・後編をお見せします。
あんまし珍ネタじゃないんですけど
深く気にしないように(笑


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    投稿小説「峠のライダー」中・後編
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次の日、俺が仕事場に出向くとバイト仲間がやたら切迫した口調で、こう聞いてきた。

  「お前、聞いたか?」
  「何を」
  「あの旧街道で、幽霊が出たんだって! あのウワサの『首なしライダー』だよ!」

そいつの話によると、深夜、バイト時間もあけようという所に一人のバイク少年が駆け込んできたのだという。
そして、そのガキは店内に飛び込んできて

   『幽霊が出た!』

 ……と、震える声で叫んだという。
俺は…………その話を聞いて、笑わずにはいられなかった。
どうやら、バイト仲間はそのガキの話を信じ込んでしまっているようだったが
……俺の理由は別の所にあった。

昨日の夜、久しぶりに思いっきり峠を攻めていて、前方にバイクを見つけた。
夜の山道だから、普通にスピードも出さずに走っていたので、抜いてやろうと思ったのだ。
ところが。そいつはふり返るといきなり悲鳴をあげ、急にスピードを上げて走り去ってしまったのだ。
あの時はどうしたことかと思ったが、まさかあの『首なしライダー』と見間違えられていたとは……
考えてみれば、俺のメットは黒のフルフェイスだ。
街灯もない旧街道で、なおさら夜道では見えにくい黒のヘルメットが、以前からの噂とも相まって錯覚を助長したのだ。
それにしても、あのパニックになったガキのマヌケ面といったらない。
今思い返しても、笑いがこみ上げてくる。
ひとしきり爆笑した後で、俺は今までにない爽快感を感じた。
疲れも、イライラも、ムカつきも、退屈さも…………全てをきれいさっぱり、洗い流すほどの。



それから俺は、『首なしライダー』になった。
ヘルメットを、ライトを反射しない特殊な塗料を塗ったり、ライトを暗めにして、より『らしく』見えるように改良した。
ネットで高性能のビデオカメラや特殊カメラを購入し、
『俺』___いや、『首なしライダー』を見て慌てる奴らの、恐怖にひきつったマヌケ面を撮りまくった。
俺にとって、『俺』を見て恐怖にひきつり、おびえる奴らのアホ面を見るのはこの上もなく愉快な事だった。
誰も彼もが、俺を見ておびえる。
その事が、俺のストレスを解消してくれた。
もう、俺にとっておびえるそいつらの面を見ることは一種の趣味になっていた。
まれに、俺に驚いてハンドル操作を誤ったか、事故を起こす奴もいた。
転倒したり、カーブを曲がりきれなかったり、ガードレールをかすったり……
しかしその事実も、俺にとっては愉快なことでしかなかった。
この間なんて、俺を見てパニックに陥った車が誤って石垣に激突し、運転していた奴が死んだ。
運転席にいたのは、けっこう美人の女だった。助手席が空だったのがラッキーだった。
俺がすぐにでも携帯で救急車を呼んでいれば、女は助かったかも知れなかった…………
けれど、俺は何もしなかった。
体から何か白いものや赤いものが飛び出ていたけれど、女の吐く白い息が途切れるまで、
真っ赤な血が運転席に溜まるまで、俺はただ、ずっとカメラを回していた。
女は美人だったし、ライトに浮かび上がる、運転席に横たわった彼女と血の、白と赤のコントラストは普通にきれいだった。

そいつの命や運命といったものが、俺の考えひとつでで変わるのだという事実は、けっこう愉快だった。
俺にとって『峠を走る奴を脅かすこと』は、もう生きがいになっていた。
俺は毎日___夜になるのが楽しみだった。

夜になると、旧街道___峠は闇と静寂に包まれる。
もちろん、ひとけなんてありゃしない。
身を切るような風に身を震わせ、俺はジャンパーの上からホッカイロを探った。
と、その静寂を破って、かすかな音が聞こえてきた。
バイクのエンジン音だ。
目をやると、木々の間から1つのヘッドライトがちらちらと見え隠れする。
俺は、顔がほころぶのを隠せなかった。
もうすぐ、この場に獲物が通る。
その後を追いかければ、奴はきっと俺を見てパニックを起こすだろう。
どんなマヌケな面を見せてくれるのかが、今から楽しみでしょうがない。
そして……猛スピードで逃げようとするそいつは、この先のヘアピンカーブでスリップし、石垣に激突するにに違いない。
前もってカーブにはたっぷりと水をまいておいた。
今頃はカチカチのアイスバーンになっているだろう。
よほどの腕前でもなければ、そこを乗り切るのは至難の技のハズだ___
俺がそこまで復習したとき、爆音がすぐ近くまで背待て来ていた。
俺はヘルメットを着け、獲物が通り過ぎるのを待った。
通り過ぎたのはハーレーに乗った、黒い革ジャンの野郎だった。
奴が颯爽と通り過ぎた直後、俺はすぐさまバイクにまたがり、ライトを消したまま道に出た。
急に間を詰めるのではなく、段階的にスピードを上げていって、後を追う。
スピードは上がり、少し前を走る獲物に追いつく。
そろそろ野郎が気付き、ミラーで確認して驚く所だ……と、思った時。

前のハーレーが急にターンを行い、道を横にふさいだ。
「ううっわ!」
左右は石垣とガードレールで、逃げ場はない。
俺はとっさにバイクを横倒しにし、回避行動を取った。
バイクはそのまま横滑りしていき、奴のバイクにぶつかる寸前で、止まった。

  「……馬っ鹿野郎! 危ねぇじゃ……」

ねぇか、と続けようとした俺は、思わず声を詰まらせた。
いつの間にか、俺のすぐ目の前に奴の履いていたブーツがある。
いつの間に俺の所に来たというのだろう。
奴は、まだ倒れたままの俺を見下ろしたまま、呆れたようにため息を吐き

  「……やれやれ。久しぶりに帰ってきてみたら、ま〜たニセモノ君がシュツボツしてるとはねぇ。
     なんでこう、みんなオリジナリティがないんだろねぇ」

……と、一瞬、訳のわからない事を言った。
しかし、腰に両手をやって肩をすくめてみせるそいつの顔は、シルバーのフルフェイス・ヘルメットに隠れて解らないが……
きっと、俺を馬鹿にしたような表情を浮かべていることだろう。

  「困るんだよねぇ、あんまり君たちみたいな事する奴がいると。
   10年前のやつなんて、『幽霊の正体見たり黒メット』なんて書かれちゃってさ……
   すごく困ったんだよなぁ。やりにくいったらありゃしない。
   お陰でここを離れるハメになるし……
   君たち『人間』には解らないことかも知れないけどさ、
   怖がってもらえないって言うことは俺らの存在意義にだって関わってくるんだぜ? 解る?」

そう、奴は……とくに後半は、ほとんど息もつかずに一気にまくし立てた。
『解る?』と言われても……解らないことだらけだ。
こいつは何者なんだ?
一体、何を話しているんだ?
そんな俺の混乱を知っているのか、それでも奴は猛然と話し続ける。

  「知ってんのか? 君で3人目なんだよ、ここを『首なしライダー』つって走った奴はさ…………
   まぁ、俺を1人として数えていいかは、疑問が残るけどね……」

そのセリフに、俺はようやく納得した。心の中で出した結論が、思わず口をついて出る。

  「……あ、なんだ。お前、俺の先輩だったのか」

ところが。

  「はぁ!?」

俺がそうつぶやいた途端、

  「お前なんかと一緒にすんじゃねぇよ! 
   俺はちゃんと、普通の___善良な一般市民には必要以上の迷惑をかけないって
   ポリシーを持って人間を脅かしてるんだ!
   ……例外で、善良じゃない一般市民にはその限りじゃないけどね。
   それに、お前みたいな『事故を起こさせるような脅かし方』なんかは、絶対にやっちゃいねぇよ!
   少なくとも、『俺が何者であるか』を把握してからは、な」

……先ほどまでの、落ち着いた冷静な口調がウソのような激しさで、俺を怒鳴りつけた。
お陰で、立ち上がろうとしていた俺は一気に気をそがれ、またその場にへたり込んだ。

  「な……何だ? あんたいったい何なんだ? 
   俺になんか用があるんなら、とっとと……い、言えばいいだろ」

何とか俺も言い返そうとするが、混乱し、気圧されていることを隠すことができない。

  「俺はな、お前みたいな人間がめっちゃ嫌いなんだよ。
   心底軽蔑してると言ってもいい…………
   けど、俺もいきなりお前に制裁を加えたりするほど、野蛮なわけじゃない。
   だからまず、お前に忠告するために来たんだよ。
   これ以上同じようなことを繰り返すんなら、
   相応のことをしなきゃなんないから、覚悟してもらうってな」

最後の方で、また口調が穏やかなものに変わったが、明らかに敵意が含まれていた。
俺の方も、『何だ、やんのか?』……などととすごんでみたかったが、
先手を取られ、勢いを消されてしまったので引っ込んでいるしかない。

  「……あ……お、俺は何もしてないぞ」

何とか、そう言い返すのが精一杯だった。

  「何もしてない? でも、お前のせいで事故が起きてるだろ。
   ケガしてる人もいるし、一生歩けなくなった人や、死んだ人だっている。
   それなのに、お前のせいじゃないって言うのか? 
   これはお前の『罪』じゃない、と?」

  「そ、そうだ。
   んなん、勝手に人を見間違えてパニクった奴が悪いんだろが。
   自分でハンドルきりそこねて事故ったんだ、そいつらの責任だろ?
   ……お、俺はなんにも悪くない」

奴は、しばらく沈黙していたが、ゆっくりと言った。

  「……本当に、そう思うのか?」

  「当たり前だ。それとも何だ? 
   黒いヘルメットを取り締まる法律でも出来たのか?」

『黒ヘル禁止令』。

かねてより、俺が考えておいたへ理屈だ。
もし連れがいて、いちゃもんをつけられたらこう言ってやるつもりだったのだ。
さらに奴が何か言ってくるかと思ったが、

  「そうか…………じゃ、もうしょうがないな」

そう、あっさりと引き下がった。
そして、道をふさいでいたハーレーを路肩にゆっくりと移動させる。
てっきりさらに何か言われると思っていたので、俺は拍子抜けした。
と同時に、こっそりほっと胸をなで下ろす。

  「じ、じゃあもう俺は行くぜ。あんたも納得してくれたみたいだしな」

俺は立ち上がってバイクを起こした。
とにかく、もうこの場から立ち去りたかった。
何だかこいつは、浮世離れしてて気味悪いのだ。
あれだけ派手に横滑りしたが、意外にもあっさりとエンジンがかかってくれた。
ほっと一安心し、勢いをつけてバイクにまたがった。
そして、何気なくバックミラーを覗き込み…………

ハーレーが、人影が映っていない。
(いない?)

慌てて俺は後ろを振り向いた。
野郎もハーレーも、確かにいる。
奴の手がヘルメットの留め金に手をかけている。
しかし、バックミラーには何もない。
映っているのは、その向こうの杉木立だけ。
もう一度、体ごと振り向いた。
そこにいたのは、フルフェイスのヘルメットを取った___

ない。
ハーレーにまたがった、奴は今まさにヘルメットを脱いだところだ。
なのに、首があるべき所には、背後のの杉木立が透けて見えるだけ。

首がなかった。
そいつには、首から上が存在していなかったのだ!


俺の絶叫が、深夜の峠に響き渡った。
逃げだそうと、一目散にバイクを発進させ、猛スピードで峠の山道を下る。
まさか追いかけてきてはいないだろう……と、後ろを振り向いた俺の顔から血の気が引いた。
奴が追いかけてきている!
斜面側の石垣を、垂直に走って!

そして、カーブにさしかかった所で、俺はとんでもないことに気付いた。

  「ブレーキが利かねぇ!」

下り坂を降りるバイクは、どんどんスピードを増していく。
……俺が、自分でしたことを思い出した時には、もう手遅れだった。
氷でスリップしたバイクは俺の制御下を離れ、俺自身は石垣にひどく体を打ち付けられた。
足が動かない。
足からは何か白い棒のようなものが飛び出し、血があふれ出していた。
俺がちょっとでもきれいだと思った何もかもは闇に暗く沈んで、ただの黒い染みにしか見えない。

  「助け…………、救急車…………」

俺は必死で助けを求めようとしたが、激痛で体が動かない。
俺に追いついた『首なしライダー』の、暗いバイザーが俺を覗き込む。
石垣に垂直に張り付いたままで。俺は、藁にもすがる気持ちで奴に向かって手を伸ばした。

  「お願……、助けて」

  「何でそんなことしなきゃいけないんだ?」

奴はそう、軽く___しかし冷酷に言ってのけた。

  「お前はそうしてきたよな? 
   事故を起こした後、知らんぷりして行っちゃっただろ。
   それに、お前は俺にこうも言ったんだぜ。
   『みんな勝手に事故ったんだ』、ってな」

  「今のお前の状況もそうだろ。
   『俺を見て、勝手に事故った』……違うか? 」

そう言って、奴は親指で自分自身を指した。
そして、奴は石垣から降りるとアイスバーンの上で、氷の上とは思えない見事なターンをして見せた。

  「ま、運がよけりゃ誰かに拾ってもらえるか、通報してもらえるんじゃないか? 
   もっとも、最近の噂のせいで夜にこの道を通る人なんて、そうそういないだろうけどな
   ……あ、これもお前が『首なしライダー』を名乗ったからか」

そう言って、奴が___『首なしライダー』がエンジンを吹かし、ハーレーを走らせた。

  「行か………………」

ないでくれ、と続けようとした俺の声は、強烈なスリップ音でかき消された。
衝撃が俺を襲う。
さっきより強烈な痛みが、俺を貫いた。

  「___あ、ごめんごめん。アイスバーンですべっちゃって、ハンドルを切り間違えたよ
   ……でも、これも俺が悪いんじゃないよな。
   こんな所に水をしこたままいておいた、お前が悪いんだよな。
   でも、それがお前にとっては正しい理論なんだろ? 
   俺は親切だからさ、お前の理論に従ってやったよ」
 
最後の力を振り絞って、俺が見たものは颯爽とハーレーにまたがったライダー。
俺は、奴の無いはずの顔に、仕事を終えた男の満足げな微笑みを見た。



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   編 集 後 記
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投稿小説のほうはいかがでしたか?
次回は久しぶりに珍走ポエムの特集です。
そこんとこ夜露氏苦。


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