海野隆−ひと・まち・くらし・しぜん通信

2013/09/01

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●伊達政宗「起請文」・伊達密書

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奈良時代の初め、和銅6年(713年)に風土記編さんの詔が出されてから、
今年が1300年になります。これを記念し、茨城県はじめ関連する自治体で
常陸国風土記をめぐるイベントが開催されています。詔をもとに編纂された風
土記で現在に伝わっているものは、常陸、播磨、出雲、豊後、肥前の5つです。
http://www.hitachifudoki1300.jp/index.html

その常陸風土記では、阿見町は「信太郡」と呼ばれ記述があります。時代は下
って鎌倉時代から豊臣秀吉の天下統一ごろまでは「信太荘」と呼ばれていまし
た。江戸時代には「仙台藩伊達氏」領が大半を占め、その間に幕府直轄領や旗
本領などが入り組んでいたということです。明治維新になってから、何度かの
変遷を経て、明治22年の町制施行により「阿見」「朝日」「君原」「舟島」
の各村が誕生しました。昭和30年4月に各村が合併して(舟島の舟子地区は
美浦村へ)新しい阿見町が誕生し現在に至っています。(阿見町史・昭和58
年刊)

阿見地域の大半を支配した仙台藩伊達氏領地は、現在の大字「青宿」「廻戸」
「大室」「若栗」「実穀」「上長」「福田」「追原」「君島」「飯倉」「竹
来」「掛馬」です。

支配の推移は、天正18年(1590年)から慶長7年(1602年)までは
芦名氏(あしな・蘆名氏・戦国大名芦名氏は黒川城(福島県会津若松市)を居
城とし、会津四郡(耶麻郡・河沼郡・大沼郡・会津郡)・安積郡西部・岩瀬郡
長沼地方を支配していました)。慶長7年から同11年(1606年)までは
幕府直轄領、慶長11年(1606年)から明治元年(1868年)までが仙
台藩伊達氏領地です。

先日、久しぶりに那珂市の水戸一高同窓会に参加してきました。今年は、那珂
市歴史民俗資料館館長でご活躍されている仲田正一先生が、東日本大震災を契
機に発見された「伊達密書」について講演を行いました。関心は高く60名内
外の同窓生が集まりました。

地震で被災したひたちなか市の土蔵から、伊達政宗が、常陸(茨城)の大名佐
竹氏を裏切るように促す起請文(密書)が見つかりました。起請文は、常陸の
大名・佐竹義宣の家臣・小野崎照通宛てで小野崎氏は那珂市額田に城をかまえ
ていました。

密書は神仏に誓う「起請文」のスタイルでした。なにを誓っていたかというと、
うまくいったら領土を与えるという約束です。天正17年(1589年)に東
北の政宗がなぜ北関東の佐竹氏への裏切りを誘っていたかというと、こういう
背景がありました。

山形県米沢を本拠にしていた政宗は、福島へ出てどんどん南下していきます。
これに対して、福島県の勢力は反政宗連合を結成します。その主力は会津の蘆
名と常陸の佐竹でした。

<1585年>
政宗が勢力拡大をはじめ、それを危険視した蘆名義広・佐竹義宣が連合軍を結


<1588年>
政宗が佐竹・蘆名両氏と和解を結ぶ

<1589年>
正宗が佐竹の配下・小野崎に裏切りを促す密書を送る

<1589年5月>
常陸において佐竹の家臣・小野崎の謀叛が起こり、佐竹から蘆名への援軍派遣
が難しいという事態が生じた。佐竹の援軍がこないことを正宗が聞きつけ、蘆
名の居城・黒川城(会津若松城)の支城である安子島城・高玉城を攻め落とし


<1589年7月>
伊達軍と蘆名軍による「摺上原の戦い」が開戦。伊達軍が勝利し、蘆名を滅ぼ
した。

●伊達政宗は戦国大名のなかでは一番の筆まめとして知られています。小田原
参陣に遅れ秀吉から仕打ちを受けたとされる政宗が秀吉に宛てた手紙、母を想
う気持ちに溢れた手紙など、厖大な手紙が見つかっています。当時は「戦わず
に勝つ」という外交戦こそが主流だったため、筆まめというだけで戦国武将と
しての「戦闘能力」は倍増したようです。

●ところで、那珂市には小字名で「伊達」という地名があります。その地に、
仙台藩の役人がいたのではないかと推察されています。阿見町域を260年も
支配した仙台藩伊達氏領ですから阿見町の小字に「伊達」や「仙台」に関する
ものがあるのではないかと税務課の「小字名一覧表」を探してみましたが残念
ながらありませんでした。仙台藩江戸屋敷の経費は阿見の領地からまかなって
いたといいますから、通称くらいあってもよさそうです。

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創刊日:2001-04-09  
最終発行日:  
発行周期:不定期・ほぼ月刊  
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