社会・社会学

金融業の裏話(バブルはバルブにはならなかった)

二度と訪れないバブル景気。 その真っ只中で企業融資に関わった主人公のほぼノンフィクション裏表話。

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金融裏話・バブルはバルブにはならなかった  23/8/5 通算143号

2011/08/04

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      金融裏話・バブルはバルブにはならなかった  23/8/5 通算143号
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   梅田スペース−1マンション            読者数:831名様
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 1. ■梅田スペース−1(ワン)マンション


 この物語はほぼノンフィクションなので、小説のようなドラマティックな展開
 や感動に涙していただくような内容には及ばないと思いますが、その点どうぞ
 ご理解ください。


 ※「梅田Base−1マンション」は実際603号室で僕が金融業を営んでい
  たわけですが、現在も同マンションは実在し、同室でどなたかがお住まいな
  ので、ちょっとこのタイトルは不都合になりました。タイトルは「梅田スペ
  ース1(ワン)マンション」に変更しています。



 設備投資つぶれ その三


 訪問したその場で取引を成立させ、事務の律子ちゃんからの銀行振り込みの入金
 をY氏に確認してもらい、受取手形に一応裏書をしてもらってからYK企画をあ
 とにした。

 同社を狙い撃ちで客にした俺は、その後毎月二百万円から三百万円程度の商手(商
 業手形)をY氏から割引いてやった。優良手形なので割引レートが低く、たいした
 利益にはならないが、スポンサーには確実な手形だと喜ばれた。

 Y氏とは年齢が一回りも離れていたがなぜかウマが合い、彼の自宅のある千里中央
 駅近くの焼き鳥やで度々飲んだ。

 俺は取引をする企業の代表者が不動産を持っていたら必ず裏を取っていた。Y氏は
 千里中央駅からちょっと離れたところに一戸建住宅を所有していた。法務局で謄本
 を閲覧したところ、銀行からの担保は入っておらず、中小企業保証協会から二千万
 円の根抵当権が設定されていた。

 敷地面積がわずか十五坪程度しかなく、家屋も築十数年が経っていたから購入年か
 らみて中古住宅を買ったものと判断された。

 ただ、この時期は不動産が上昇を続けており、駅から離れたこのような場所でも坪
 百五十万円は下らず、二千万円の根抵当権が設定されていても目一杯とは思われな
 かった。

 しかし銀行は不動産評価額の六割からよくて七割程度までしか認めない。それ以上
 の抵当権がついていれば不動産担保でも貸さない。Y氏は「自宅を抵当に入れて設
 備投資の金を借りてます。大きな借金ですが設備を入れないと仕事をくれません」
 と嘆いていた。

 おそらく保証協会からの二千万円の根抵当権は設備資金ではなく、独立当初の事業
 資金と考えられた。設備には国金(国民金融公庫)から融資を受けていた。

 「藤井さん、独立なんてするもんじゃありませんね。設備を入れるためにこんなに
 金がかかるとは思わなかったですわ。D社もひどいですよ。大型のグラビア印刷機
 を入れたらそれに応じた仕事を出すと言いながら、見込み通りに注文をくれないん
 です。このままではリース代と従業員の給与にも足りません」

 Y氏は独立して一年半だが、早々と先の見込みがたたないと言うのだ。どうしたら
 よいのか途方に暮れていると言う。

 Y氏は真面目な人柄なのであまりグサリと言えないが、独立する計画に無理があった
 のではないかと思った。

 俺も金融業として独立するにあたって緻密な計画と見込みなどを考慮したわけではな
 いが、金貸しは設備や在庫に資金は不要だから、ダメなら「辞めた!」で済んでしま
 うのだ。(実際はそう簡単なわけにはいかなかったのだが)

 だが、Y氏のようないわば加工業は、その仕事を行うための産業機械が必要だし、販
 売会社の場合は仕入れ在庫をある程度持つ必要があるから、まとまった先行投資資金
 はやむを得ない。

 「売り上げを伸ばすために仲間筋から仕事をもらったりしています。大して利益はな
 いですけどね。ともかくリースは5年ですから、それを乗り切ったら少しは楽になる
 でしょうから頑張りますわ。娘もまだ高校生なんでね」

 それからY氏には三ヶ月に一度程度の割合で単名手形貸付を行った。単名手形とは振
 出人だけの手形で受取人がないものである。つまり自己手形を担保で預かって融資を
 行うのである。

 多い時で百万円、少ないときで五十万円を繋ぎ資金として次の集金があるまでの半月
 程度融資していた。

 このような短期では計算書は出さず、融資額の一割程度の利息を取っていた。つまり
 百万円を二週間だけ貸して欲しいといわれれば、百十万円の額面手形または小切手を
 預かる。高利のため計算書は出さないが、このような事情の融資は我々貸す側はかな
 りのリスクを負うわけだから、当たり前と考えていた。

 Y氏の月商は五百万円〜多い月で七百万円近くはあったようだった。利益率の悪くな
 い業種で、従業員五人とリース代や諸経費を含めると三百万円程度とのことだったの
 で、売り上げが六百万を計上すれば回っていけると言っていた。

 経費の最も大きいものは、グラビア印刷機のリース代であることは言うまでもなく、
 月額五十万円近くを支払っていた。これはかなり負担なのであった。

 YK企画はその後一進一退どころか、毎月資金繰りが悪化しているのが分かった。Y
 氏と会う度に顔色が悪くなって、体が次第に小さくなっていくような気がするのであ
 った。

 平成二年に年が変わって三ヶ月が瞬く間に過ぎたある日、律子ちゃんも帰って、残務
 整理を終わろうとしていた午後八時過ぎ、Y氏が突然梅田スペース1(ワン)の俺の
 事務所を訪ねてきた。

 「どうしたのですか?電話をくれれば出向きましたのに。まあどうぞ、そろそろ帰る
 ところだったのですけどね」

 「娘が大学を卒業するまで頑張りたいのですけどね。藤井さん、どうしたらよいでし
 ょうかねぇ」

 ソファーに座るなりY氏は夢遊病者のような顔で言うのであった。


 つづく・・・


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 ※バックナンバーは最新号だけですが、メインWebで追々更新する予定です。
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 2. 編集後記

 八月はおそらくあっという間に過ぎ去ってしまうでしょう。
 毎年僕が感じていることです。

 そして九月になって風が少しさわやかになったと思ったら、コオロギが鳴き始め、
 運動会のシーズンになって、やがて紅葉の見どころとなり、気がつけば先生が走
 り始めるというわけで、今年も早いですよ。(笑)


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 それでは次号までごきげんよう!
  Pero


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