文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

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彼の声 2018.11.14 「格差の相対化」

2018/11/15

 現状では人の労働がないと企業活動など成
り立たないのは当たり前だとしても、その労
働力を買うことに関しては、そこで人を物扱
いすることにもなるかもしれないが、人その
ものを売り買いするわけではなく、あくまで
も人の労働を売り買いするわけだから、その
辺を似て非なる奴隷労働と混同するわけには
いかないのだが、個々の労働において、労働
を買う側が払う報酬の額に差がつくことは当
然だろうし、それ自体が売買なのだから、買
う側はできるだけ安く買いたいだろうし、ま
た売る側はできるだけ高く売りたいわけで、
そこで買う側に主導権があれば、安く買い叩
かれ、売る側に主導権があれば高く売れるわ
けで、またその需要と供給の関係からいえば、
商品の需要が多ければ値上がりして、供給が
多ければ値下がりするわけで、原理的には需
要が多い時には売り手市場になって、引く手
あまただから、売る側が主導権を握ることに
なるから値上がりして、供給が多ければ買い
手市場になって、供給過剰となって、買う側
が主導権を握ることになるから値下がりする
わけだが、もちろん実質的には労働する設備
を持っている買い手側の企業が恒常的に優位
な立場にあることは変わりないわけだが、そ
れが売買である限りで、そこで主導権を握っ
ている側の都合で、需要や供給を促進させた
り抑え込んだりしながら、ある程度は価格の
操作や調整をできないことはないだろうが、
そこで行政の側が法律で最低賃金などの最低
価格を決定したりすることも、実際に行われ
ていることだが、それも人が必要最低限の生
活が送れる程度の額を目安にして、生活物資
となる商品の価格などとの兼ね合いから決ま
るものだろうから、それなりに妥当な額へと
落ち着くしかないだろうが、そういった売買
の関係がある限りは、それを外部から介入し
て勝手に価格を決定するわけにはいかないだ
ろうし、その辺の調整が難しいのかもしれな
いが、何かそこで政治的あるいは行政的な方
策を行なって、自国だけ高い労働賃金を維持
しようとすれば、そのしわ寄せが国の内外へ
と何らかの形で及ぶだろうし、例えばそうし
た高い賃金を保っている国の人たちが、貧困
国で搾取的な奴隷労働をやっている企業など
を非難するとしたら、その国が高い賃金を保
ってそこで暮らしている人々が、豊かな生活
を楽しんでいることのしわ寄せが、当の貧困
国へと及んでいる可能性もあるわけだから、
そうだとするとそうした非難自体が全面的に
正しいわけでもなくなり、またその国の企業
が利潤を出して高い賃金を維持するために、
貧困国の資源や農作物などの一次産品を安く
買い叩いている可能性もあるし、また政府が
自国に有利な保護貿易を行なって、自国で生
産される製品と競合関係にある外国の製品に
高い関税をかけて、自国の市場に外国の製品
が入ってこないようにしている可能性もある
だろうし、そうやって自国さえ良ければそれ
で構わないなら、それでは世界的な水準での
公共の利益を損なっていることになるわけで、
もちろんそんな単純な理由や原因だけからそ
うなっているわけでもなく、そこには他にも
様々な政治的・経済的・社会的・地理的・地
政学的な要因が複雑に絡み合っていて、一概
にそうなっている理由や原因を、その国の高
い賃金に結びつけるわけにはいかない事情も
出てきそうだが、少なくともそういった面を
考慮すれば、単純に他国と比較して自国の欠
点をあげつらったり、あるいは自国の利点を
誇るようなことから、そうなりがちなのはあ
る程度は仕方がないにしても、それ以外の何
がわかるわけでもないし、また他に何かそこ
で見落としていることがあるのかもしれない。
また国内でも、安い労働力を酷使しないとや
っていけない産業などいくらでもありそうで、
そこに劣悪な労働環境が形成されているわけ
だが、なぜそうなっているかといえば、特定
の産業に利益が偏ってもたらされているから、
そのしわ寄せがその産業に及んでいる場合も
あるだろうし、また同じ産業の中でも特定の
部門だけに利益が偏っている場合もあるかも
しれないし、特に系列的な関係にある複数の
企業の間で役割的な上下関係があると、上位
の階層を構成する大企業の賃金と下位の階層
を構成する下請けや孫請けなどの中小企業と
の間で、明確な賃金格差があるだろうし、そ
こで利益の大部分を上位の大企業が奪ってし
まって、下位の中小企業などにはほとんど利
益がもたらされない構造が形成されている場
合もあるだろうし、またそれが世界規模で構
成される状態となっていれば、大企業を多く
抱えている諸国が利益の大部分を奪っていて、
そのお陰でその国の平均的な賃金も高く、そ
れ以外の国には利益がほとんどもたらされず
に賃金も安いという現象も起きている可能性
もあるわけで、そうやって国の内外で複雑に
格差が形成されている状況では、一つの国の
政府やその国の政治的な行為だけでは手に負
えない事態となっているのではないか。

 だからと言ってそんな状態を放置するわけ
にもいかないだろうし、そんな状況を改善す
るために、その国の政府や議会の中で何らか
の議論が行われているのかもしれないが、必
ずしもそんな状態で固まって安定しているわ
けでもなく、絶えず物事が流動的に推移して
いて、その中でも各勢力が主導権を握ってい
るレベルがそれぞれに違っているだろうし、
政府が主導権を握っているレベルと議会が主
導権を握っているレベルと企業が主導権を握
っているレベルはそれぞれに違うし、政府の
中でも各省庁が主導権を握っているレベルも
それぞれに違うだろうし、それなりに権力や
権限が離散的に分散しているわけで、それら
を全体的に統制したり統括することはできな
いだろうし、また各レベルでもやれることが
限られてくるのだろうが、何をどう改善させ
るかとなると、様々な経緯や状況の変遷の中
で、そういった格差に基づいて格差を利用す
ることで経済活動が行われてきたのだから、
むしろ格差をさらに一層際立たせることによ
って、さらなる利益を得ようとしている中で、
人為的に格差を縮小させることには抵抗があ
るだろうし、そこで自家撞着に直面するしか
ないわけだが、その中でも相対的なことを主
張する人たちは、現状でうまくいっているよ
うに見える国から学ぼうとしたり、逆にその
国ではうまくいっていないことに関しては、
それを教訓としたいわけで、よその国ではこ
うなっているから、わが国でもこうしなけれ
ばならないとか、よその国ではこうした過ち
を繰り返してきたから、わが国では同じ轍を
踏むわけにはいかないとか、そんなことを主
張する人たちは、自身ではそれなりに気が利
いていて、筋の通ったことを主張しているつ
もりになっているのかもしれないが、自身が
他との関係で相対的に優位な立場を占めてい
るから、そこから生じる格差を利用してそう
いうことが主張できる立場になっていること
には気づいていないわけで、誰もがそんなこ
とを主張できるわけでもないのに、自らは幸
いにもそうしたことを主張できる立場を占有
していて、そんな立場を利用してそんなこと
を主張していることに関しては、考えが及ば
ないだろうし、そんなことを主張したい人が
他にもいくらでもいるのに、自分が優先的に
そういうことを主張できる場で主張している
こと自体に、そういうことを主張したい他の
人たちとの間で格差が生じていることに無頓
着でいられることは、やはりそんなことまで
は考えなくても済むような状況がその場に生
じていて、そんな場こそがそうした格差の源
泉であるわけだが、そういう人たちにとって
関心があるのは、そういう身近な場ではなく、
自身とはそれほど関係のない、別の職種の別
の場に注目してしまうわけで、そこでは何や
ら低賃金で立場の弱い外国人労働者が過酷な
作業を強いられていたり、またブラック企業
でサービス残業を強いられている立場の弱い
従業員が過労死したり自殺したりするような、
そんな極端な事例を持ち出して、そういうと
ころを改善しなければならないと主張するわ
けだが、それも言われてみればごもっともな
意見に思われるだろうが、やはりそれは程度
の差であり、いくらそういう行き過ぎたとこ
ろに制度的な制限を加えたり罰則規定を強化
してみても、根本的なところで人と人との間
で格差がないと利益が生まれてこないわけだ
から、それが自分たちの主張を反映したほど
ほどの程度になるとしても、またそんなこと
を主張する自らの立場をいくら正当化してみ
ても、主張している自らが格差的に有利にあ
ることには変わりなく、またそうした優位な
立場を占められるのは、限られた少数の人た
ちに過ぎない現状もあるわけだから、全ては
相対的な範囲内で主張できることであり、ま
たそんな主張通りのことが実現されるにして
も、やはりそれは相対的な限られた範囲内で
実現されるわけだろうし、そこから何か根本
的に格差をなくすような画期的なことが実現
されるわけでもないし、そうした主張や試み
の全ては現状の範囲内での改善となるしかな
いのかもしれないが、そういった制度的な歯
止めや制限は、それまでの経緯を反映したも
のでしかなく、それ以降にはそんな制度の盲
点を突く試みが必ず出てくるわけで、そうや
って絶えず新たな試みによって新たな格差を
生じさせて、そこから利益を得ようとするわ
けだから、そのような対応が後手に回ること
は避けられず、場合によっては焼け石に水的
な大して効果が上がらない状況となってしま
うだろうが、中にはそういう相対的な対処と
は全く違うことが行われる可能性もあるだろ
うし、それが格差とは違う何かをもたらすよ
うな行為となればいいのかもしれないが、実
際に現状でもそれがもたらされているのかも
しれないし、それが何なのかを現状ではうま
く表現することはできないわけだが、たぶん
それが今後において利益を超える価値となる
可能性があるわけだ。 

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創刊日:2001-03-26  
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