文学

彼の声

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彼の声 2018.5.3 「価値と信用」

2018/05/03

 他人の動作ではなく言葉を信用する時には、
その言葉を解する人々の間で共通の価値を共
有できることになり、動作を行う特定の人物
を信用するのではなく、共有する言葉の意味
からなる価値を信用することで、その価値を
保証するのはもはや特定の人物ではなく、言
葉を共有するすべての人々がその価値を保証
することになり、その価値がそれらの人々の
共有財産となるわけで、財産といってもただ
の言葉が示す概念でしかない場合は、金銭的
な利益とは無縁かもしれないが、共通の価値
観を抱いている人々の間で連携や協力ができ
れば、それが社会を変える力となるのかもし
れず、実際にそれが思想や哲学として世の中
で一定の力を持つことがあるわけだが、そこ
でも特定の思想家や哲学者が唱えているから
信用が生じている場合もあるわけで、人は時
として言葉の内容よりもそれを唱える人物に
信用を見出してしまい、それが特定の人物の
神格化にまで及んでしまうと、もはやそれは
思想でも哲学でもなく宗教となってしまうわ
けだ。そして普通はそれらが混じり合ってい
る場合が多いのだろうが、そうした思想と哲
学と宗教の混合体が特定の宗派を超えた民族
として結集することもあるわけで、そうなる
と言葉だけの価値や信用ではなく、生活習慣
などの慣習も共有した集団となって、他の集
団との違いを際立たせて、そうした民族集団
ごとに凝り固まって、他の民族集団と対立し
たり争ったりする経緯も生じてくるわけだが、
一般的に社会の中では人も言葉も慣習も複雑
に絡み合って信用や価値を形成していて、そ
れらの中で何が主体的な役割を演じていると
しても、そこに肯定的な幻想が生じているこ
とは否めず、それらの複合体が人や集団の活
動と結びついて取り返しのつかない事態を生
じさせているから、民族や宗教が人の活動に
絡んでくると容易には解決のつかない問題が
生じてくるわけで、いったんそうなってしま
うと世の中が長期的に混乱状態となってしま
うのかもしれないが、そうした状態も混乱の
程度に応じて平和から戦争に至るまで、様々
なレベルで様々な人や集団の活動が交錯し合
っていて、そこに生じている価値や信用にも、
それを共有している人や集団の間で生じてい
る力関係に影響されているだろうし、その価
値や信用の強弱にはそれを信奉している人や
集団の権力の強さが影響を及ぼしていて、強
大な権力を持っている人や集団が信奉してい
る価値や信用を体現する物事には、それだけ
高い価値や信用が生じているわけだが、中に
はそうした権力を背景とした価値観とは異な
る価値観もあり、それが言葉の価値であれば、
より説得力のある思想や哲学には高い価値が
あると思われるだろうし、また経済的な尺度
からは、より値段の高い商品には相対的に値
段の安い商品よりは価値があると思われるわ
けで、そういう意味で価値観にも様々な種類
や方向性があるのだろうが、そういうところ
で一概に異なる価値観を持った勢力が争って
いるにしても、部分的には価値観を共有して
いるところも、また異なる価値観の間で重な
る部分もあるのかもしれず、単純な対立や敵
対関係では割り切れないし、そういう部分で
交渉や妥協の余地があるわけだ。

 国と国との関係も権力関係や経済関係から
生じる国力の強さに応じた関係となることが
多いわけだが、それが言葉に幻想を抱く人々
にとっては、憲法という言葉の集合体が体現
している高邁な理念によって世界平和に貢献
できると考えられるわけで、そうした価値観
が世の中のどこまで信用が及んでいるかは、
人によって認識も異なるところだろうが、そ
れ自体がその国が抱えている特殊事情であれ
ば普遍性はないわけで、たとえ憲法の内容が
普遍性を含んでいるとしても、それと世界平
和に貢献するのとは問題の次元が異なる可能
性があり、言葉の集合体としての憲法から現
実の活動が生じて来ないと信用されないだろ
うし、実際の政府の活動が憲法とは無関係で
あれば、少なくともそういうレベルでは憲法
には大した効力もないことになるだろうし、
ただお飾りとして理想的な内容を記した憲法
があるだけで、その内容が言わんとする理念
に関してはあまり顧みられていないことにな
るのではないか。そういう意味で言葉として
多くの人の間で共有されている文言に価値が
あるとしても、その文言が示している内容を
普段の生活の中で役立てていないと実質的な
価値はなく、それはただの方便や建前でしか
なくなってしまうわけだが、その価値があっ
て信用できる文言の内容をどうやって活動に
役立てるかで、それが憲法であればそれを役
立てる制度的な仕組みを必要とするだろうし、
また思想や哲学であればそれを信用してその
価値を認めている人たちが、実践としての態
度や振る舞いの中で、その思想や哲学を反映
したことをやらなければならなくなるわけだ。
それをやらずにましてやそれに反したことを
やれば、それらの思想や哲学への信用や価値
はまやかしに過ぎなかったことになるだろう
し、建前として形式的にそれを敬っているに
過ぎないことにもなるだろうし、すでにそう
なっている時点でそれらの思想や哲学は形骸
化を被っていることにもなるわけだが、その
思想や哲学の内容は詳しく知らなくても、そ
れを唱えた思想家や哲学者の名前が広く世の
中に知れ渡っている場合があるわけで、そう
なるとそれらの思想家や哲学者は権威として
の力を持っていて、その名前を権威づけに利
用しようとする輩が出てくるわけで、自らの
主張を著名な思想家や哲学者から影響を受け
ていると宣伝するのはよくあるパターンだろ
うし、中にはそうした主張の内容が影響を受
けたと称している思想や哲学とは全くの無関
係な場合さえありそうだが、またそれらの思
想家や哲学者を批判することによって、批判
している自らがそれらの思想や哲学を超えた
と主張する場合もあるだろうが、それもわざ
とそれらの思想や哲学を単純化してお粗末な
内容に貶めてから批判するようなやり方もよ
く行われることであり、権威としてそれらの
名前を持ち出してくるにしても、批判の対象
として貶めるにしても、それらの内容を詳し
く知らない人たちに向かって主張している場
合が多いわけで、そうであるならそうした行
為の十中八九は信用できないのかもしれず、
有名な思想や哲学を権威づけに利用したり、
それらを批判することによって自らの主張を
正当化する行為は、すでにそうしたやり方を
行なっている時点で安易な単純化になってし
まっていて、結果的に信用に足る内容とはな
り難いのかもしれない。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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