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彼の声

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彼の声 2018.4.11 「虚構の力」

2018/04/11

 現状を変えようと思うのは、現状の何を変
えようと思っているかで、それが実現できる
か否かも含めて、実践への可能性が違ってく
るだろうが、思っているだけで変えようとし
ない場合もあるだろうし、また変えるべきだ
と主張しているだけの場合もあり、思うのと
主張するのと実践するのとでも違うことなの
だが、変えられない現状を変えたいと思うの
はよくあることかもしれず、そんな場合はた
ぶん不可能に直面して思い悩んでいるわけだ
ろうが、実践の面では全く見込みがない可能
性が高いのかもしれず、そうなると現状を変
えようと思うのは、妄想の域を出ない話とな
ってしまいそうだが、それについて語ったり
主張する分には、もっとも気楽な内容となる
だろうし、本気で変えようとしていない人た
ちがよくそんなことを語るわけだが、もちろ
ん語っている当人は本気で主張しているわけ
だが、実践が伴っていないから他から相手に
されない場合も多いのかもしれないし、しか
も相手にされないという状況が、さらに実現
不可能な誇大妄想を抱かせるわけで、そうな
ると語っている内容の全てがフィクションと
なってしまい、それでも話が面白ければ興味
深いだろうが、話の面白さを求めてしまうと、
それではただの消費対象でしかなくなり、フ
ィクションとして大衆娯楽を楽しむような成
り行きとなってしまうのではないか。

 それでも大衆娯楽として面白ければ世の中
の話題となるわけで、そうしたフィクション
を楽しむだけならそれに越したことはないわ
けだが、そこから何か教訓話のような肯定的
な意味合いを抽出しようとすると、内容がフ
ィクションでしかないだけに、実践からかけ
離れた人畜無害な単なるためになる話として、
世の中の安定や現状維持に貢献するような機
能を果たしてしまうのかもしれず、いくら話
題となっても現実に何がどうなるわけでもな
いことになってしまい、現状を変えたくても
変えられない人たちの慰みものとして消費の
対象となってしまうわけだ。またフィクショ
ンによって何か世の中の不条理に関して問題
提起するような行為となるにしても、それが
直接現実の世界に何をもたらすわけでもない
だろうし、そんな作品に触れて心を揺り動か
されるかもしれないが、たぶんそこから先に
どんな実践活動が行われるわけでもないので
はないか。もちろんそうではないと思いたい
人も多いだろうし、実際にそんなフィクショ
ンから影響を受けて、何らかの活動を行なっ
ている人もいるのかもしれないが、またその
活動もフィクションの製作になってしまうと
したら、結果的にフィクションの領域から現
実の領域へと力が及ばなかったことになるわ
けで、それもフィクションの製作を継続させ
る上では重要な影響力かもしれないが、それ
以上のものではないだろうし、別にそれ以上
を求めているのでもないことになってしまう
のではないか。

 だが世の中には様々な活動があって、その
中にはフィクションを製作する活動もあるの
だから、別にそれで構わないのだろうが、現
状を変えようとする動機からはだいぶずれて
いることは否めず、少なくとも何かそれとは
違った活動に結びついているように思われる
のだが、それとは別の面ではそういう成り行
きが自然なのかもしれないし、そうであるな
ら否定すべきことでもないだろうし、フィク
ションの製作には絶えずそういう人たちが集
まってくるような特性があるのかもしれない
し、中には世の中を変えるためにフィクショ
ンを作っているという正当化が成り立つ場合
もあるのかもしれず、それは直接世の中を変
える行為には結びつかないかもしれないが、
何か回りくどいやり方で結果的に世の中が変
わるような効果があると信じられていれば、
そういう面は肯定すべきことであり、そうで
なければフィクションを作っている意味がな
いとも言えるようなら、そういうフィクショ
ンを作っている人たちには反骨精神が宿って
いるとも言えるだろうし、たぶんそういう人
たちが政治的な反体制派の応援団となるよう
な成り行きも生じているのかもしれず、そう
いうことに関してはその手のフィクションも、
世の中を変える上で何らかの役割を果たして
いる面もあるのではないか。だからと言って
世の中を変えるためにフィクションを作って
いる人ばかりではないし、他にも様々な理由
からフィクションが作られていて、また中に
は理由も定かでないようなフィクションも作
られている現状もあるだろうし、そういうこ
とも含めて世の中で行われている活動にも多
様性があるのと同じように、フィクションに
もそれなりの多様性があるわけだ。

 そして人がフィクションから何らかの作用
や影響を受けるとしても、それを肯定したり
否定したりするというよりは、ただフィクシ
ョンと共に時間を過ごすためだけにフィクシ
ョンが利用されていて、それ以外ではない場
合があるわけで、それ以外の現実生活とは無
関係にフィクションを楽しんでいると思って
いるのなら、そういう人はフィクションから
の作用や影響に気づいていないのかもしれな
いし、また現実の世の中がフィクションに与
えている作用や影響にも気づいていないこと
にもなるのだろうが、そういう作用や影響を
はなから拒絶する人も中にはいるだろうし、
フィクションは単なる作り話であって、現実
の世界で起こっていることとは無関係だとみ
なして、相互の関連性を全く認めようとしな
い態度を取ろうとする人もいるだろうし、ま
た自分の主義主張にかなう部分だけをフィク
ションに投影して、それがあるフィクション
は肯定するが、それに反したフィクションは
否定するような態度を取ろうとする人も中に
はいるだろうし、そうやって自分からフィク
ションに歩み寄ろうとはせずに、絶えず狭い
価値観に凝り固まって、その価値観に照らし
合わせてフィクションを評価することしかで
きない人もいるわけで、そういう人たちはフ
ィクションが映し出している様々な面を見逃
しているだろうが、では果たしてそういう偏
狭な人たちをフィクションが変えることがで
きるかいうと、実際に変えられたらそのフィ
クションは世の中を変える力を持っていると
言えるだろうし、人を変えるような力がフィ
クションに宿っていれば、そのフィクション
を作った人たちは現状のある面を変えること
に成功したと言えるのではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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