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彼の声 2018.1.14 「制度の機能」

2018/01/14

 世の中で起こっている様々な現象や出来事
の中から、ある特定の現象や出来事だけを選
んで説明しようとすると、説明者の論理や理
屈に適合する現象や出来事だけを説明しよう
としていることになるわけで、説明とはそう
いうものだと割り切っているならば、説明を
鵜呑みにして信じきってしまう危険も生じな
いのかもしれないが、それが世の中の全ての
現象や出来事を説明しているわけではないこ
とに気づかないと、説明者にとって都合の悪
い現象や出来事を見落としてしまうわけで、
一見合理的で辻褄の合った説明をしているよ
うに感じられる時は、そういう説明にとって
は不合理で辻褄の合わない事例を探し出せれ
ば、それが説明者の意図や思惑を知る上で重
要な鍵となるのかもしれない。制度とはそれ
を維持して守っている人々にとっては都合の
いいことを行いやすくしてくれる仕組みであ
り、制度があるおかげでうまくいっている事
例をいくらでも提供してくれるものなのかも
しれないが、その一方で制度の批判者にとっ
ては批判の材料をいくらでも提供してくれる
格好の仕組みなのかもしれず、制度の推進者
はそれを推進するにあたって合理的で辻褄の
合った説明を行いたいわけだが、制度の批判
者の方はそれを批判するにあたって合理的で
辻褄の合った批判を行いたいわけで、双方と
も説明者の論理や理屈に適合する事例を世の
中の様々な現象や出来事から選り抜いてきて、
自身の合理的で辻褄の合った説明に利用しよ
うとするわけだ。簡単に言えば制度の推進者
は成功した事例を持ち出して推進の材料に使
いたいわけで、逆に批判者は制度の失敗例を
持ち出して批判の材料に使いたいわけで、そ
して双方ともにその説明に説得力があるとす
れば、両者ともに自身の説明にとって都合の
悪い事例を取り上げようとしないからであり、
結局そのような説明を用いて制度を推進する
ことも批判することも欺瞞的な詐欺行為にな
ってしまうのかもしれないし、双方ともに欠
けていることは、制度によって恩恵を受けて
いる面と弊害を被っている面の両面を伝えな
いことにあるわけで、その両面がないと世の
中で実際に制度が機能していることがリアリ
ティを伴わなくなってしまうわけで、制度の
推進者にとっても批判者にとってもその説明
自体がフィクションとなってしまうわけだが、
もちろん世の中にはリアリティを伴うような
フィクションもあるわけで、そのようなフィ
クションにはその作者や話者の意図や思惑を
超えるような作り話が構成されているからリ
アリティを伴うのだろうし、制度もその推進
者や批判者の意図や思惑を超えて機能してい
る面があるから、その推進者や批判者も巻き
込みながら人々を一定の動作に導いているわ
けだろうし、その一定の動作の中には当然の
ことながら制度を推進するような動作も含ま
れるわけだが、さらに制度を批判するような
動作も誘発しているのかもしれず、例えば制
度への批判が批判者を特定して黙らせようと
したり、黙らせることができなければメディ
アの周縁地帯に放置して無力化したりする機
能も作動させるのだろうし、そういうことも
含めて制度が世の中で機能しているのではな
いか。

 だから安易に説得力のある制度に対する批
判を信じてはまずいわけで、特に論理や理屈
を用いて批判を展開している場合はそれに合
うような事例しか持ち出して来ないわけで、
特に一方的な批判には独善的な傾向があって、
そんな批判に乗っかって自分も同じように批
判しだすと途端に梯子を外されてそれっきり
となりかねず、そのような批判詐欺には引っ
かからないようにしておかないと、いつまで
たっても二項対立を用いた単純で予定調和的
な論理や思考から抜け出せなくなってしまう
のではないか。現に世の中で制度が機能して
いるということはそれによって恩恵を被って
いる面があるということであり、少なくとも
そこで一方的な搾取が行われているわけでは
なく、制度の利用者にも何らかの利益をもた
らしているから、搾取を受けながらも制度を
利用している人が大勢いるわけで、そこに恩
恵と弊害が同時に生じているから、しかも弊
害だけを取り除くわけにはいかない事情があ
るから、実際に制度が成り立っていてそれな
りに利用者の役にも立っているわけで、しか
もそういう人は必ずしもそうした制度の批判
者の味方とはならず、逆に制度の推進者の方
に恩義を感じている場合まであるわけで、実
際にそのような制度を利用しているから生活
が成り立っているとなると、もし制度がなく
なってしまったら生活が成り立たなくなる危
険もあるわけで、そうなると制度の弊害だけ
を訴える批判者は制度の利用者からは支持さ
れなくなる可能性が出てくるわけで、そうな
るとそのような批判を支持しているのは制度
を利用していない部外者だけとなってしまう
場合まであって、批判自体にリアリティが伴
わなくなってしまうわけだ。ならばどうすれ
ば批判にリアリティを伴うのかとなるのだろ
うが、たぶん批判だけではリアリティが伴わ
ないだろうし、結局は制度の批判者は制度の
利用者との連携を模索しなければならず、批
判しているだけではなく、制度の利用者を助
けるような行動を起こさなければならなくな
るわけで、そうやって利用者との関係を構築
しながら制度の改善に取り組まなければなら
なくなるわけだが、そうなると結局は批判者
も制度の利用者となるしかないだろうし、利
用者の立場から制度の管理者や推進者と交渉
や取引を行わなければならなくなるのではな
いか。そうやって制度に巻き込まれていって
しまうことは、いわゆるジャーナリズム的な
立場とは違った傾向を伴うだろうし、あまり
にも制度に近づきすぎると制度の推進者と変
わらなくなってしまうこともあるだろうが、
そうなってしまうのも制度の機能なのかもし
れないし、制度と自身との距離の取り方によ
って批判が成り立つ場合と成り立たない場合
があるのかもしれず、要するに制度に関わっ
て近づきすぎた人は制度の推進者となり、制
度と常に距離を保ちながら直接の関係を持と
うとしない人は制度の批判者となるのかもし
れないし、そのような立場の違いをもたらし
ているのも制度の機能とみなしても良さそう
に感じられなくもなく、ともかく世の中で何
らかの制度が動作していて一定の機能を保っ
ていると、その機能の一つとして制度に対す
る推進者と批判者を生み出すような機能も制
度自体に備わっているのかもしれない。
 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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