文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

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彼の声 2017.12.30 「距離感」

2017/12/30

 人が興味を持っていることの中には社会で
起こっている様々な出来事や現象があるが、
その中で身の回りで起こっている出来事や現
象については自分が関わってくる部分で直接
の実感を伴うが、メディア経由で見聞する出
来事や現象については間接的な感触しか得ら
れないから、直接の利害関係を意識の中で構
築するのが難しいし、何らかの部分で自分に
関係してくる面があるにしろ、情報がメディ
アを経由しているだけに一定の距離感を伴い、
それらの出来事や現象の方から自分に近づい
てこない限りは、自分から出向いて行って直
接の関係を持とうとは思わないし、それに関
して何か言及する気にもなれないだろうし、
そのままやり過ごすことができればそれでも
構わないような状況の中で、時が経てば次第
に忘れてしまうような成り行きにもなるのか
もしれず、そういうところで無理に距離感を
縮めようとはしないのが普通の対応なのでは
ないか。人と社会で起こっている出来事や現
象との間にそうした距離感が保たれていれば、
そのような社会では比較的平穏無事な状態が
保たれていると言えるのかもしれないが、誰
もが自分とは無関係に思われることにまで多
大な関心を持ち、それに関してメディア経由
でもたらされる情報を切実に求めているよう
な状況になると、何か尋常ではないことが世
の中で起こっているように思われるのかもし
れず、それがポピュリズム的な熱狂ともいわ
れる現象なのかもしれないが、それが人と社
会の関係あるいは人とメディアの関係として
正常だとは思えなければ、何かそのような感
情を煽り立てる要因が社会の中にあるいはメ
ディアの中にあるように思われてしまうわけ
だが、とりあえず誰もが興味を惹くような話
題をメディアに求めていることは確からしく、
そのような話題に気を取られていると、誰も
興味を惹かないような出来事や現象を感知で
きなくなってしまうわけで、そうでなくても
普通に暮らしている限りでそんなものを感知
できるとは思えないのだが、その普通に暮ら
している感覚というのが、メディア経由でも
たらされる誰もが興味を惹くような話題に気
を取られている感覚かもしれないし、そうい
う感覚が実際に世の中で起こっている出来事
や現象がそれだけではないことを忘れさせる
わけだ。そして誰もが興味を惹くようなこと
ばかりがメディア上で取り上げられて話題と
なり、その種類や内容によってはそれが政治
問題化したり社会問題化したりするわけだが、
その共通の話題なり問題なりがその社会に暮
らしている人々にとって本当に身近な話題で
あり切実な問題であるかは、誰がそれを判断
するわけでもなくメディア上で話題となって
いること自体がそんな気にさせるわけで、た
ぶんそれは世の中の慣習としてそんな気にさ
せるのかもしれないが、誰もが興味を惹きそ
うな話題をメディアが取り上げるのは、制度
としてそうなっているとも言えるのかもしれ
ないし、そこでメディアという制度とメディ
アが取り上げる話題は誰もが興味を惹く話題
だと思う先入観が人々の慣習としてあり、そ
んな制度と慣習が一体となって社会の中で暮
らしている人々を一定の方向へ導いていて、
そのような方向性が政治的にも経済的にも社
会の中で共通の価値観や思考形態を生じさせ
ているのではないか。

 だからそこで生じている価値観や思考形態
に合わない物事は人々の興味を惹かないとい
う先入観もあるのかもしれず、それも人々の
意識の中で慣習として定着していて、そのよ
うな無意識の方向づけから外れる要素が可能
性として、これから社会の行く末を占う上で
鍵となってくるのかもしれないし、それらが
思わぬところから社会を変革させるきっかけ
となってくるのかもしれず、それは何かと知
ろうとしても知り得ないかもしれないが、そ
の一方で誰もが興味を惹く話題としてメディ
ア上で取り上げられている物事は、制度的に
も慣習的にも世の中を今ある状態に保とうと
する上で役に立つ物事なのかもしれないし、
もしかしたらそこに社会の変革の可能性はな
いのかもしれない。そうだとすると逆に社会
の変革が人々の期待に沿うような変革でない
ことも考えられるし、人々の期待から外れる
ような変革が真の変革だと言えるかもしれな
いが、人々はそれを変革だとは意識できない
かもしれないし、人々の方でも今まさにそれ
を意識しないで社会変革を行なっている最中
なのかもしれないし、制度的あるいは慣習的
な社会のルールから外れることを現に行なっ
ている最中かもしれないし、政治的あるいは
経済的なルールからも外れることを行なって
いて、それを意識せずに世の中に定着させよ
うとしている最中なのかもしれない。そして
実際にメディアが取り上げないような話題性
のないことを、日々の生活の中で黙々と行な
っているかもしれないし、それを行なってい
る人自身も気づかないようなことが、この先
の世の中で社会変革のきっかけとなるかもし
れず、たぶんそれは人々が興味を持ち切実に
求めていることとは何の関係もない物事なの
かもしれない。要するに人々が関心を抱くこ
とは、関心を抱くことによってすでに一定の
方向づけがされており、なぜ関心を抱くのか
というと世の中の制度や慣習が人々に関心を
抱かせるのであり、それらが関心を抱くよう
に仕向けてくるわけだ。そして関心を抱くこ
とによってある意味で安心するわけで、共通
の話題を共有できたことによって人々の意識
の中で安心感が広がるわけだが、それがとり
も直さず現状の肯定につながるわけであり、
他の人々と話題を共有できる世の中があるこ
とを知って安心するのだろうが、その一方で
話題を共有できない事態を恐れるわけで、そ
うならないようにしなければならないと思う
と、今ある現状を守らなければならないとも
思うわけで、そうなると現状を混乱に陥れる
ような行為や言動には反感を抱くだろうし、
そのような活動をやめさせたり抑え込まなけ
ればならないとも思うのではないか。そして
それも現状で成り立っている制度や慣習が求
める方向性であり、それらを守ろうとする人
人が抱く率直な思いでもあるわけだ。そうで
あるならば現状を変革するきっかけをもたら
す要素というのは、制度や慣習を守ろうとす
る意識でもそれに刃向かう意識でもないのか
もしれず、そのような意識に呼応して起こる
行為でも運動でもないのかもしれないし、そ
のような意識が取り逃がしているような行為
であり言動でもあるのではないか。そしてそ
のような行為や言動を意識して目指すという
よりは、まずはメディア経由で見聞する出来
事や現象とそれを見聞している自己との距離
感を意識することが肝要なのかもしれない。
 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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