文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

全て表示する >

彼の声 2017.12.21 「ポピュリズムの時代」

2017/12/21

 社会の中での分業的な役割分担に伴って、
誰もが自分の専門分野外のことには疎くなる
傾向にある中で、どのような勢力が力を増し
ているのかといえば、まずはそれらの専門分
野をまとめて管理統括している官僚機構の力
が増すのはもちろんのこと、また様々な専門
分野から情報を得て、それらの情報を取捨選
択しながら都合のいい情報を人々に配信して
いるマスメディアの力も増しているわけで、
官僚機構とマスメディアが連携すれば世の中
の主導権を握れる可能性が出てくるわけで、
実際に現代の大衆メディア社会と呼ばれる状
況の中で主導権を握っているのは官僚機構と
マスメディアなのかもしれないが、それはだ
いぶ以前からそうなのかもしれず、別に今に
始まったことではなく、産業革命や市民社会
や民主的な政治体制などが世界的に広まるに
つれてそうなっていった経緯があるのかもし
れないが、情報革命以後に特に顕著になって
きたことは、メディア自体が一部の特権的な
人々に占有されていた状態が緩和されて、イ
ンターネットの普及に伴って誰もが好き勝手
に情報を配信できるようになって、全体的な
情報の質は途方もなく劣化したかもしれない
が、それは政治体制が一部の王侯貴族や僧侶
階級のものではなくなって、普通選挙が実施
されてポピュリズムが全盛となってしまった
ことと似ているのかもしれず、第一のポピュ
リズムがナポレオン体制に始まってヒトラー
のナチスドイツで全盛を迎えたように、今ま
た情報革命に刺激を受けて第二のポピュリズ
ム時代が幕を開けて全盛を迎えつつあるので
はないか。もちろん第一の時代と第二の時代
とでは状況も経緯も違うし、同じような悲劇
が繰り返されているわけではなく、結末も前
の時代とは全く違ったものになるかもしれな
いが、似ている面で言えばそれは極右的な思
想が世界的に流行していることだろうか。ま
た前の時代では産業革命の進行によってヨー
ロッパやアジアなどであぶれた人たちが、移
民となってアメリカなどの新大陸を目指した
わけだが、今の時代の移民はアジアやアフリ
カや中米の国々から欧米の国々を目指してい
ることだろうか。そのような社会現象がポピ
ュリズムや極右思想を煽り立てているわけだ
が、産業革命が人口爆発を招いたのに対して
情報革命は金融資産の膨張を招いたわけで、
今も世界で人口が増加している地域はまだ産
業革命が進行している最中の地域であって、
特に情報革命と人口の増加は無関係なのかも
しれないし、また移民も主に内戦やテロなど
の政情不安が招いている面も大きいのかもし
れず、そういうところであまり対照的な時代
の比較はできないわけだが、ただ従来からあ
ったマスメディアの権威が崩れてきたことと、
旧体制下で世の中の主導権を握っていた王侯
貴族や僧侶階級の権威が崩れてきたことの経
緯は似ているのだろうし、第一の時代ではそ
れに代わって資本家階級が社会の中で台頭し
てきて国家的な主導権を握ったのだろうが、
第二の時代ではまだどのような勢力が社会の
主導権を握るのかは現状ではよくわかってい
ないだろうし、確かに第一の時代と同じよう
に金融資産の膨張を背景として資本家階級の
力がさらに増してきたと言えるのかもしれな
いが、まだ状況が一段落したとは言えないだ
ろうし、これから先がどうなるかはよくわか
らないのではないか。

 ただ旧来のマスメディアの権威が崩れてき
たということから、それに代わって新しいネ
ットメディアの権威が確立されることを意味
するわけではないだろうし、せいぜいが双方
の競合状態になったと言えるぐらいで、両方
にまたがったメディアもあるわけだから、ど
ちらが主導権を握るわけでもなく、世の中の
様々な方面から情報を得てそれを不特定多数
の人たちに配信するという役割が変わること
もないのかもしれないが、ただそれを受け止
める人々の意識は確実に変わってきたのかも
しれず、要するに相対的にメディアに対する
信用度が低下してきているかもしれないし、
何か特定のメディアを権威として崇め奉るよ
うな信仰とは無縁になりつつあるのではない
か。それは大衆市民社会の中で旧来の王侯貴
族や僧侶階級の権威が失墜したと言っても、
それに代わって台頭してきた資本家階級を特
別な権威として市民が崇め奉るようなことは
しなかったのと似ていて、何か特定の人物や
勢力を特別な存在として崇め奉るような風習
が情報革命以後はより一層弱まってきたと言
えるのかもしれないが、もちろん今でもメデ
ィアを通じて話題の著名人を特別な存在とし
て煽り立てる風習は変わっていないわけだが、
それはあくまでも特定の分野に限ってのこと
であり、世の中の全体に影響力を持つような
存在としては扱っていないわけで、それも社
会の中で分業的な役割分担がより一層顕著に
なってきたことの証しかもしれないが、もし
かしたらそのことの影響が必ずしも第一の時
代ほどにはポピュリズムが世の中の全体には
広まらないことの原因なのかもしれないし、
ほとんどの人は熱狂とは無縁の冷めた目線で
それらのわざとらしい煽り立てを見ているの
ではないか。もちろん煽り立てているメディ
アの側では皮相上滑りの感を呈しながらも熱
心に洗脳活動に勤しんでいるつもりなのかも
しれず、またそれに危機意識を抱いているメ
ディアの側でも盛んにその手の洗脳活動に警
鐘を鳴らしているつもりなのかもしれないが、
どうもそれが社会全体としては盛り上がりに
欠け、それを肯定するにしても否定するにし
ても人々がそれほど熱狂するわけでもないの
は、やはりマスメディアの権威が崩れてきた
ことが大きく作用していて、心底から信用し
ていない人が世の中の大半を占めていて、相
対的には情報に対する関心が分散していて、
それの良し悪しがどうこうというよりは、そ
のような分散や分業の傾向に対して、情報を
配信する側も対応していて、あまり一つの情
報を特別視して煽り立てるようなことはしな
くなってきたのかもしれず、情報を受け取る
人の好みに合わせて様々な情報を分散的に配
信するような傾向を示しているのだろうし、
そのような傾向が特定の情報を集中的に配信
して煽り立てるようなやり方を抑制している
のではないか。またそれがそうする必要性を
低下させているのかもしれず、特に煽り立て
なくてもそれなりに利益を得られるような情
報の配信システムへと移行しつつあるのかも
しれないし、情報を受け取る人の好みに合わ
せて情報を配信するということは、それはそ
のまま社会の中の分業化や関心の分散化を単
に反映していて、それをわざわざ特定の一つ
の話題へと人々の関心を集中させる必要性が
なくなってきたことを意味しているとすると、
それはとりもなおさぜず民主主義的な政治シ
ステムの崩壊の危険性をも意味するのかもし
れず、また同時にポピュリズムの効力が薄れ
てきたことも意味するのではないか。 

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。