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彼の声

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彼の声 2017.12.13 「売り手と買い手の関係」

2017/12/13

 労働によって受け取る報酬にはその役割や
種類によって格差があり、それが受動的な労
働ではなく自らが主体的に行なう仕事であっ
ても、受け取る報酬の額に同様の格差が出る
のは当然のことだろうが、それも社会的な制
度や慣習からその妥当な金額が大体は決まっ
てくるのだろうし、明らかに高額の報酬を個
人や団体が得る場合であっても、それは売り
手と買い手の需要と供給のバランスから決ま
る市場価格のようにして決まり、そのような
市場も社会的な制度の類いであることは確か
で、報酬を払う側も受け取る側も納得してい
る限りでどのような金額で取引が成立しよう
と構わないわけだ。それが契約という制度の
特性なのだろうし、制度的な賃金労働も自由
契約に基づいて何らかの報酬を受け取る主体
的な仕事であっても、そこで売り手と買い手
が契約に同意した金額の受け渡しが行われる
わけだろうが、労働力を売る側にとっては安
い金額であっても他に買い手が現れなければ、
不満があっても他に収入を得る手段がなけれ
ば契約を結ばざるを得ないだろうし、そこが
労働力の買い手である企業などのつけ込むと
ころであり、経費を削減するには人件費を削
減できるに越したことはないわけだから、た
とえ人手不足が深刻化している中でもなるべ
く安い金額で労働力を買おうとするだろうし、
場合によっては安い労働力を求めて海外にま
でその食指を伸ばしてゆくわけで、それに関
して一見売り手と買い手とは対等な関係に見
えるかもしれないが、どちらに権力があるか
でその力関係が決まってくるのだろうし、労
働市場の場合は労働を行う設備や施設などの
システムを持っていて、それを利用して作り
出される物や情報やサービスを買ってくれる
顧客を抱えている企業側の方が有利であるの
は当然のことであり、労働力以外には何も売
り物を持っていない労働者は、企業で働いて
報酬をもらうしか生活の糧を稼ぐ手段がなけ
れば、たとえ不満があるような金額であって
も企業と労働契約を交わすしかないわけだ。
ではそんな不利な取引はやめて自ら起業して
労働者を雇う側になればいいではないかと主
張する人もいるかもしれないが、もちろん誰
もが起業して成功するわけではなく、資本主
義経済の中で存在できる企業の数はその経済
規模に合わせて限られていて、その中で競争
に打ち勝った企業だけが生き残れるわけだか
ら、人の数より企業の数の方が圧倒的に少な
いのは当然のことだろうし、その圧倒的に少
ない企業が多数の労働者を雇って事業を行な
っているわけで、結果的に起業して成功する
人よりは企業で雇われて労働する人の方が圧
倒的に多いのも当然のことであり、そういう
意味で企業に雇われて労働するのが嫌なら起
業して労働者を雇う側になればいいという論
理は、現実にはほとんど通用しないわけだ。
それでも起業するための資金を得る機会に恵
まれて起業する人はいるわけで、またそうや
って起業に成功して大金を手にした人も実際
にいるわけで、そんなふうにして実際に成功
してしまった人にとっては、現実にはほとん
ど通用しない論理が成り立つことをその身を
もって証明してみせたわけだから、それなり
の実感を伴っていて、だから安い賃金で企業
に雇われて労働するだけの不利な立場でいる
のが嫌なら、起業して人を雇う立場になれば
いいと言い放っていられるわけだ。

 だが労働者のままでいるにしろ起業して労
働者を雇う側になるにしろ、あるいは企業の
中で昇進して管理職や最高経営責任者にまで
上り詰めるしろ、また株式投資などに成功し
て投資家になるにしろ、それらのどれであっ
ても結果的に企業に関わって資本主義経済を
支える側になっているわけで、それとは別の
経済を構築する担い手になっているわけでも
ないし、それは企業とは別の行政側に身を置
いていても、またジャーナリストになって企
業を批判する側に回っていても同じようなこ
とになってしまうのかもしれず、それが嫌な
ら、果たして現状の経済システムに依存しな
いで生きていけるかということが今後の課題
といえば課題になってくるのかもしれないが、
どうあがいてもそれを人為的にゼロから構築
することは不可能なのかもしれず、それに関
して妥当なやり方としては、現状のシステム
に依存しながらもそれとは別のやり方を積極
的に模索していくのか、あるいは現状のシス
テムの方向性をさらに極限にまで推し進めて
行き着いた先に、またそれとは違う別のシス
テムが自然に生じてくるのを待つのか、その
どちらでもないとすればすでに別のシステム
の萌芽が至るところに生まれていて、まだ誰
もそれに気づいていないだけなのか、その辺
のところは何とも言えないが、そのどれでも
なく現状のシステムがこれから先も延々と続
いていくとしても、とりあえず現状で生じて
いる経済的な不均衡や不平等の原因は売り手
と買い手の間の力関係にあるわけで、企業と
労働者の間でそれが生じているとすれば、そ
の間で不利な立場にある側を助けるような配
慮が求められるのだろうし、それを助けられ
る立場にあるのは行政だと言えるのかもしれ
ないが、もちろん行政も予算を確保する上で
企業活動に依存している面があるわけだから、
全面的には不利な立場にある労働者の側に立
てないわけで、またジャーナリストなどの企
業や行政などの不正行為を告発する側でも、
広告収入などの面で企業活動に依存している
面があるわけだから、これも全面的には不利
な立場にある労働者の側には立てないわけで、
また企業側でも労働者の生活が成り立たない
と労働者として使い物にならないわけだから、
一方的に労働者を搾取するわけにはいかない
面があるわけで、さらに労働者が消費者とし
て商品と買ってくれないと利益が出ないわけ
だから、労働者の購買意欲を保つ上でもそれ
なりの賃金を支払わなければならなくなるわ
けで、そのようにして利害関係が錯綜しても
つれ合った面があって、そのような関係の上
に結果的に資本主義経済が成り立っているわ
けだからそういう面を考慮すると、とてもじ
ゃないがそれに変わる経済システムをゼロか
ら人為的に設計して構築するのは不可能に思
われてしまうわけだが、少なくとも誰にもわ
かりやすい単純で合理的なシステムではうま
くいかないことは予想できるだろうし、その
一方で政治的な主張というのは誰にもわかり
やすい単純で合理的な主張しかできないので
あり、そうでないと民衆の支持を得られない
わけで、そうなると政治的にそのようなこと
をやるのは不可能にも思われてくるわけで、
そういうところで政治的な限界が露呈してく
るのではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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