文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

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彼の声 2017.12.12 「労働と世界情勢」

2017/12/12

 それが労働や仕事だとは言えないものまで
含めると、とりえず人の活動は普遍的な行為
だと言えるのかもしれないが、例えば人の活
動と他の動物の活動を比較するとすれば、人
には人の活動として特徴的な形態があること
は確かで、そういう比較が意味を持つような
研究分野もあることも確かだろうが、経済活
動の範囲内では別に他の動物の活動まで比較
の対象として意味を持つわけではないだろう
し、人の経済活動に関しては同時代的にも過
去の他の時代との比較でも、そこでの人の活
動に特有な現象というものがあるのかもしれ
ず、ここ20年ぐらいの傾向が他の時代と異
なるように感じられるのは、情報処理技術の
進歩に端を発したいわゆる情報革命と言われ
る現象に関してだろうし、それをことさらに
重要視するのも何か偏向した認識に陥ってし
まう危険があるかもしれないが、その情報革
命以後の世界で人の活動が他の時代と著しく
変わってきたことがあるとすれば、それは何
だろうか。それが誰の目にもはっきりと明ら
かになるにはまだ時代が近すぎて時期尚早な
のかもしれず、歴史的に見ればそれよりも産
業革命以後の近代市民社会の成立の方が、そ
れ以前の社会と比較して劇的に変化したよう
に思えるわけで、具体的にはそこで労働力を
提供して賃金を得るという労働形態の世界的
な普及が急速に起こったわけだろうし、しか
もそれと同時並行的に社会主義や共産主義的
な資本主義経済への対抗概念も世界的に流行
したわけだが、少なくとも情報革命の到来直
前にそれらの対抗概念は急速に衰えてしまっ
て、今や世界は完全に資本主義経済に覆われ
ている状況となり、かつての社会主義や共産
主義の理念を掲げる政治勢力も世界的に皆無
となりつつあるのかもしれないが、しかしそ
れらの政治理念が批判していた資本主義経済
に伴って生じる弊害が全て解決されたわけで
はないし、見方によっては全く放置されたま
まとなっていると認識している向きもあるわ
けで、その主要な問題としてあるのが、主に
賃金労働という労働形態から生じる貧富の格
差の問題だろうか。しかも情報革命によって
情報処理技術が進歩したおかげで、金融資産
が飛躍的に増加して以前よりはさらに貧富の
格差が増大したわけだろうが、それを問題視
する政治勢力の方は以前よりは確実に衰退し
てしまったのだろうし、政治的な課題として
はそのような問題はあまり取り上げられなく
なってしまったのかもしれず、しかもそれを
直視させないようにするために極右的な政治
勢力が台頭してきた傾向にもあるわけで、現
状で生じている貧富の格差から目を背けさせ
る目的で、それを排外的な移民の敵視へと問
題をすり替えているわけだろうが、企業とし
ては移民などの安い労働力が必要な分野もあ
る一方で、労働者の方は移民に職を奪われた
り、移民が安い賃金で働くから賃金が安く抑
えられてしまうという懸念が生じてしまうわ
けで、結局もとからそこに住んでいる住民と
しては移民の排斥に賛成するような成り行き
になりやすいだろうし、そこに極右的な政治
勢力のつけ入る隙が生じるわけで、また富裕
層などを取り込んで主導権を握っている保守
的な政治勢力の方でも、資本主義経済の中で
は貧富の格差の解消は不可能なだけに、移民
排斥などを主張する極右勢力が台頭してきた
おかげで、うまく論理のすり替えに成功して
いる面があるのだろうか。

 しかしなぜ移民が生じているのかというと、
テロや内戦などの地域紛争によって住みなれ
た故郷を捨てざるを得ない人たちが移民とな
るのだろうし、それだけが全てではないかも
しれないが、いわゆる経済移民となる人たち
も本国で暮らしていけない事情が生じている
ことは確かだろうし、その大部分が貧しい人
人なのだろうから、それも経済的な貧富の格
差から生じている現象なのであり、そういう
ところからもそのような問題は全く解決の目
処が立っていないことを示しているわけだ。
また富裕層であれば国籍を買えたり、それな
りに受け入れ可能な国が世界のあちこちにあ
るわけで、そこでもその人の資産や経済力に
応じて待遇に格差が出てくるわけだろうが、
ともかくそうやって生じた貧しい人たちは必
然的に安価な労働力の予備軍となることは確
かで、そのような労働力に頼っている経済分
野では貧富の格差が経済活動の原動力となっ
ている面もあるわけで、そのような需要を満
たす限りで貧困ビジネスが成り立っているわ
けだろうが、もちろん労働の種類によっては
その職種に対応したスキルを求めている分野
もあるわけで、そういう分野ではそれ相応の
賃金や報酬が保障されていて、貧しいだけで
スキルのない移民労働者ではそういう職種に
就くのは難しい場合もあるわけで、そうした
スキルを身につけるにはそれなりの教育課程
を経ないと身につかないわけだろうし、中に
は独学でそうしたスキルを身につける有能な
人材も稀にはいるかもしれないが、そうした
人はほんのわずかな人数だろうし、ともかく
貧富の格差があればそれに応じた労働力の需
要が生じて、安い賃金でも職にありついた人
はそれなりに生活していける場合もあるし、
職にありつけなくても政府や民間の援助にあ
りつければ、一時的にしろそれによって生き
ていける人も出てくるし、運悪くどちらにも
ありつけなければ中には死んでしまう人も出
てくるわけだろうが、たとえ多くの人が死ん
でしまっても資本主義経済が打撃を受けるわ
けではなく、その中で主要な経済活動を担っ
ている企業にとっては、働いてくれる労働者
と商品を買ってくれる消費者が必要なのであ
り、それ以外の人は不要でも困らないのかも
しれないし、労働者と消費者が間に合ってい
る限りで企業活動は成り立ち、企業活動と政
府などの行政的な管理によって資本主義経済
は回っていると言えるだろうか。そして行政
的な管理がうまくいかない紛争地域では移民
となって国外へ脱出する人が後を絶たず、戦
火の中で国土が荒廃して産業も成り立たす、
そうなるとまともに資本主義経済が回ってい
かない状況となるのかもしれないが、そんな
中でもその国に地下資源などが埋蔵されてい
れば、その資源を巡って武装勢力やその背後
で糸を引いている宗主国や覇権国などが争奪
戦を繰り広げているのかもしれないし、そこ
で行われている内戦自体が資本主義的な経済
競争の延長上となっている場合もあるのだろ
うし、単純に民族的あるいは宗派的な争いと
いうよりは、経済的な争いの延長上で特定の
民族や宗派の間で利権争いが起きていると言
えるのかもしれない。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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