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彼の声 2017.12.5 「トップダウンとボトムアップ」

2017/12/05

 企業で働くということはそこで動作してい
るシステムに組み込まれることを意味してい
て、人を組み込んだシステムとしての体制は、
ある面ではその中で機能している分業から成
り立っていて、また別の面ではその分業して
いる各部門を指揮統括する中央集権的な組織
を必要としていて、分業によってそれぞれの
役割分担が分散するとともに、その分散した
各部門を指揮統括しようともしているわけで、
分散体制と中央集権体制が同時に成り立って
いるような構造があり、それがその場その時
の都合や情勢に対応して、ある時はトップダ
ウン方式で上から命令を下したり、また別の
時にはボトムアップ方式で下からの提案をト
ップが受け入れたり、一つの方式で凝りかた
まるのではなく、より柔軟な組織形態を維持
していないとうまく情勢の変化に対応できな
くなるわけで、そのような構造もそれを外か
ら見れば何か二律背反しているような矛盾を
感じるのだろうが、上からも下からも主体的
に活動していなければならず、どちらもどち
らへの依存状態ともならないような構造が求
められているのではないか。だから上からの
指揮命令系統だけを頼って企業の構造を把握
しようとすると骨格や骨組みが見えてくるだ
けで、確かに何か上から命令して動いている
ように見えるわけだが、肝心の活動の内容が
よくわからなくなってしまうわけで、逆にそ
の活動内容だけを見ているとてんでばらばら
なことを勝手にやっているとしか見えないだ
ろうし、実はその二つの方向性が直接繋がっ
ているのではなく、同時的に重なり合ってい
るわけで、企業の規模が大きくなるほどその
傾向が顕著になってくるのではないか。だか
ら常にトップに権力が集中しているわけでは
なく、分業している各部門の中で働いている
小さな権力の集合体がトップを頂点とする指
揮命令系統を成り立たせていることは確かだ
が、各部門の中で行われる小さな権力の行使
には、トップからの力が及ぼされているわけ
ではないのだが、トップダウンで何らかの指
令を発する時には、各部門に分散している小
さな権力を素通りして下へと力が及ぼされる
わけだ。そのような権力の行使は小さな権力
には与り知らないことであり、逆に各部門の
中で行われる小さな権力の行使はトップを頂
点とする指揮命令系統には与り知らないこと
になる。そのようにしてトップダウンとボト
ムアップがうまく互いをすり抜けるようにし
て重なり合っていると、その企業の組織的な
柔軟性が確保されることになるのだろうが、
どちらか一方がもう一方を制御するようなこ
とをやりたがると、途端に混乱が起こって、
企業内の勢力や派閥の離合集散にも拍車がか
かって、互いの勢力や派閥の間で疑心暗鬼が
蔓延して収拾がつかなくなるのだろうし、結
果的に組織が分裂したり全体として崩壊した
りすることになるのかもしれないが、それも
組織的な新陳代謝の一環なのかもしれず、そ
のような闘争が結果的にどのようなことにな
るにしろ、それが不可避な成り行きだと言え
る面があるのかもしれないし、そういう闘争
は企業活動にはつきものなのではないか。

 企業で働いていると日常の業務とは別の面
でそういう政治的な活動も生じてきてしまう
わけで、そういうことを調整する具体的な部
署が総務課なのかもしれないが、それも具体
的な業務とは別に行われるわけで、上から取
り仕切るのではなく下から突き上げるのでも
なく、微妙な均衡を保とうとする上で上と下
との調整を行い、また横の連携も調整するの
だろうが、そういうことのどこまでが業務と
も言えない面も出てくるわけで、業務とは別
に何かやっているようでもあり何もやってい
ないようでもあり、中小企業ならなくても困
らないが、ある一定規模以上の企業になると
必ず必要になってくるわけで、それとは対照
的に庶務課というのはいわゆる事務職なのだ
ろうし、コスト削減や機械化の対象となりや
すい部門でもあり、場合によってはそれ専門
の下請け企業というのも可能な部門なのでは
ないか。またそういう意味で企業は利益の追
求という単純な経済目的だけで成り立ってい
るわけではないのはもちろんのこと、そのよ
うな組織形態を維持するのに多大な労力を費
やしている面もあるわけで、組織形態の維持
と組織的な目的や目標とが必ずしも一致して
いるとは言い難い面まであるのかもしれず、
トップの言動や行動ばかりがメディア上で注
目を集めているとしても、企業の中で分散し
た各部門で行われていることがトップ経営者
の直接の管理下にあるわけではない場合が多
いだろうし、また各部門の責任者がその部門
で独裁体制を敷いているというわけでもなく、
そういう特定の人物が管理や独裁などに関し
て何らかの権限を握っていることは確かかも
しれないが、それはあくまでもそこで形成さ
れている集団的な意向に配慮する限りで裁量
が生じてくるわけで、比喩的にはワンマン経
営が成り立っているように見える企業であっ
ても、そのワンマン経営者が組織的なシステ
ムが醸し出す集団的な意向から自由であるわ
けではなく、その集団的な意向に適切に対応
して配慮しているから、その人の手腕がその
人独自の才覚や技量から生じているように見
えてしまうのではないか。そういうことから
も企業のトップに立つ人物が担っているのが
政治的な役割であることがわかるわけで、経
営者が産業技術に長けていたり営業的なセン
スがあるというよりは、政治的なセンスが求
められている限りで企業の最高経営責任者で
あるわけで、時にはトップダウンで何か指示
しているように見えるとしても、別にボトム
アップ的な提言を無視しているわけではない
だろうし、相反するどちらの作用にも対応し
ていかなければならないのであり、特にボト
ムアップ的な行為を制限したり制御しようと
してはまずいわけで、しかもそこで絶えず経
営の主導権を握っているように見せかけなけ
ればいけないのではないか。そしてそう見せ
かけられていること自体が経営の主導権を握
っていることになるわけで、下から上がって
くる意見というのがまるで経営者の意向を尊
重しているような意見となっているように見
せかけるわけだ。そしてそのような見せかけ
の体制を演出するのが総務課の役割でもある
のかもしれない。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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