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彼の声 2017.11.12 「思想的な探求の虚構」

2017/11/12

 国内で首都などの政治の中心地域と経済の
中心地域が距離的に離れている場合は、経済
の中心地域で不満が生じる場合があり、経済
の中心地域で政治的な主導権を確立しようと
する動きが出てきて、場合によってはその地
域が国家から独立するような模索も生まれる
わけだが、それは近代国家が必要とする国家
的宗教的民族的な枠組みの虚構性を物語って
いるのかもしれず、そのような公式的な政治
イデオロギーよりは経済が優先される実態も
物語っていて、実際にそうなっている具体的
な地域としてはスペインのカタルーニャ州と
かドイツのバイエルン州とかアメリカのカリ
フォルニア州とかイタリアの北部諸州とかが
あるわけだが、そうした地域でいざ独立を目
指すような機運が生まれると、やはりそこで
も近代国家特有のその地域特有の国家的宗教
的民族的な枠組みが公式的な政治イデオロギ
ーとして語られ始めるわけで、まずその地域
が過去において現在の中央政府の政治的な中
心地域とは異質な文化的伝統に根ざしており、
場合によっては軍事的な侵略を受けて併合さ
れてしまったような歴史的な経緯があるよう
なら、独立に向けた大義名分が整ってしまう
のかもしれないが、実際にはそのような事情
など国内の他の地域でもいくらでもあって、
それらの地域だけが特に中央政府から搾取さ
れている実態があるわけではなく、実態とし
ては経済力に物を言わせて政治的な発言力や
制度的な権限を強めようとしているわけで、
そういった地域に経済力がなければ、例えば
スペインとフランスの両国にまたがった地域
で暮らしているバスク人やトルコとイランと
イラクの三国にまたがった地域で暮らしてい
るクルド人などと同じような境遇になりかね
ないだろうし、その中間のような境遇として
はイギリスのスコットランドがあるわけだが、
そのイギリスはアイルランドの独立は許して
しまったが北アイルランドは手放していない
し、北アイルランドではアイルランド系でカ
トリック系の住民とイングランド系やスコッ
トランド系のプロテスタント系の住民との宗
派間対立が解消されていないのだろうし、中
央政府から独立するにしても中央政府の政治
的な影響力を許したままにするにしても、ど
ちらにしても実質的な経済力を背景として政
治的な権力を強めようとする勢力が掲げる政
治的なイデオロギーの中では、なぜか国家的
宗教的民族的な虚構が語られるわけで、単に
経済力だけで政治的な権力の奪取に関して正
当性を主張できない事情があるわけだ。それ
が近代的な国家体制とそのような政治体制が
財政的に依存している経済システムとの間に
矛盾や不条理をもたらしているのかもしれな
いし、経済的な覇権だけではその地域に住む
人々を納得させられない事情が生じているの
かもしれない。

 人々は制度や機械などのシステムがもたら
す一定の動作によって利益を得ているにも関
わらず、そのようなシステムにはない人間的
な独自性を求めているのかもしれないし、そ
れが富裕層だと一般庶民には手が届かない特
別な物や情報やサービスの入手であり、地域
住民だと中央政府から独立した自治権となる
のかもしれず、そういうことを意識しだすと
ともかく他と同じでは納得しないし、他と同
じようなことをやっていては自己や地域独自
の主体性を発揮できないと思われるのかもし
れず、しかも世の中の慣習や制度や仕事や日
常の生活で使用している機械が、現実に他と
同じ動作を自らに求めてきているわけだから、
それらのシステムに拘束されて他人と同じこ
と考え同じことをやるのが苦痛だとは自覚し
ていないものの、意識していないところで何
らかの抵抗の動作が自然に出てしまっている
のかもしれないし、それが富裕層の場合だと
経済力に物を言わせて好き勝手なことをやっ
て自由を謳歌したいとなり、そういうことが
できない一般庶民でも何らかのシステムに従
わせられて同じ動作を強要されている成り行
きには、少なくとも不快感を抱くのではない
か。そしてそのような動作を強要してくる主
なものとしては、まずは世の中の慣習に自然
と従わせられて社会の他の構成員と同じよう
なことをやっている実態だろうし、さらに中
央集権的な国家権力による行政的な法治体制
に従わせられることだろうし、そしてこれは
あまり気づかないことかもしれないが、仕事
や日常生活の中で誰もが同じような機械を使
って同じような動作を繰り返している日々な
のではないか。しかしそれが本当だとしても、
そのような状態から逃れるにはある種の経済
力が必要なのであり、しかもその経済力とい
うのが何らかのシステムの中で一定の動作に
従うことから生み出されるのだとすれば、そ
こで矛盾や不条理に直面するのはある意味で
当然の帰結なのだろうが、人も人が寄り集ま
って構成される集団内でもそのことは不問に
しておかないと、主体的な自由を謳歌できる
経済力を手に入れることはできないと同時に、
そのような経済力から生み出される動作とし
ては人々に同じような動作を強いるような成
り行きになってしまうわけで、そのような成
り行きの中では解決手段も出口もないのかも
しれないし、だからそれらの矛盾や不条理か
らは目を背けながら振る舞わなければならな
いのかもしれないが、そうなると問題の根底
には経済的な不均衡から生じる貧富の格差が
あるのに、それを国家的宗教的民族的な政治
イデオロギーの問題として語ろうとしたり、
実際にそのような政治的なイデオロギーによ
って自らの立場を正当化したり、他の民衆を
そのようなイデオロギーの下に従わせるため
に盛んに煽動や宣伝を仕掛けている実態があ
るのではないか。そして実際に全ての問題が
経済格差から生じているなどとは到底思えな
いし、もっと何か根源的な問題があるのでは
ないかと疑うのが普通の感覚だろうし、何や
らそこから国家や宗教や民族の起源へと向か
うのが思想的な探求としてはありふれた傾向
なのではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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