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彼の声 2017.11.11 「国家的宗教的民族的な枠組み」

2017/11/11

 そもそも国家的宗教的民族的な枠組みがど
うやって形成されてきたのかといえば、近代
国家がそれらの枠組みを必要としていた事情
があるだろうし、国民の統合の象徴としてそ
れらの枠組みが利用されてきたのだろうし、
なぜ国民を国家の下に統合しなければならな
いのかというと、資本主義経済の発展にはそ
れを支える労働者と産業から生み出された製
品を最終的に買ってくれる消費者が必要なの
であり、そのどちらもがまとまった人口の集
合体を形成して資本主義経済を支える労働市
場と消費市場の担い手として必要だったから
ではないか。それは現在でも必要とされてい
る実態があるわけで、資本主義経済以外でも
宗派間紛争や民族紛争などの原因ともなって
いるわけだが、昔の広域支配を実現していた
帝国がそうではなかったのに、近代的な国民
国家が単一の宗教と単一の民族でまとまろう
とする傾向があるのは、一見資本主義経済と
は何の関係もないように感じられるだろうが、
それは国家として統一する過程で必要とされ
るわけで、内戦状態などになった時に国家統
一の政治的なイデオロギーとして同じ宗派や
民族などの下に団結しようと呼びかけられる
わけだ。そしていったん国民国家として統一
された後から一つの価値観の下にまとめられ
た人口の集合体が労働者や消費者として経済
活動に利用されるわけだ。だからまだ宗派間
紛争や民族紛争などによって内戦状態にある
地域では労働市場も消費市場も形成されてい
ないわけで、そのような状態を見ると資本主
義経済と国家的宗教的民族的な枠組みは何の
関係もないように感じられてしまうわけだが、
実際に国民国家として統一に成功した地域で
はそれが経済活動を推進する原動力となって
きたわけで、それは必ずしも完全な宗教的民
族的な単一性を保っているわけでない国でも、
例えばアメリカなどは多民族多宗教の国では
あるにしても、その中で特定の宗派や民族に
属する人々が主導的な役割を果たしてきたこ
とは確かで、それはWASPと呼ばれるホワ
イト・アングロサクソン・プロテスタントの
略語としても有名だし、同じく多民族多宗教
の国家である中国でも漢民族が主導権を握っ
ている実態があるわけだ。そしてそのような
枠組みがなぜ崩れてきたのかといえば、単に
生活習慣に違いがなくなってきたと言えるの
かもしれず、資本主義経済の中では他の宗派
や民族の人たちにも同じ労働と同じ消費を要
求してくるわけで、そうした方が経済的な利
益が得られるからそうした傾向を促進させる
ような成り行きになってきているのだろうし、
経済効率を考えればできるだけ多くの労働者
と消費者を獲得した方が利益を得られる確率
が高くなるのであり、実際にアメリカなどは
そうやって世界の中で政治的経済的軍事的な
覇権を確立してきたわけだ。

 またそれらの枠組みが崩れてきた原因とし
ては同じ国家的宗教的民族的な価値観を共有
する国民であっても、経済的な不均衡をもた
らす貧富の格差が顕在化してきたことが挙げ
られるわけで、さらに経済的な有利な立場で
ある富裕層だけが共有する価値観として、高
級住宅街に住んだり高級車を所有したり高級
ブランド品を身につけたり高級なサービスを
優先的に受けられたりと、経済的な優位性を
強調する価値観の共有があるわけで、そのよ
うな富裕層にだけ許された特別な価値観の共
有というのが、理性的に考えるなら富裕層と
他の層との対立や軋轢を生むように思われる
のだろうが、メディア上ではそれらが庶民が
憧れる価値観として肯定的に紹介されて、実
際に生じている庶民と富裕層との経済格差で
ある面が覆い隠されてしまうのではないか。
また富裕層に特有なタックスヘイブンなどを
利用した徴税逃れの実態にしても、環境保護
活動や人道援助などに積極的に取り組んでき
た世界的に有名なロックミュージシャンが実
はそれを利用していたり、またリベラルな政
治活動に理解を示してきた良心的な政治家も
それを利用していたことが暴露されたり、偽
善者の仮面を剥ぐ的なスキャンダラスな面が
興味本位でメディア上で取り上げられるにし
ても、それよりも根本的な問題である貧富の
格差を必然的にもたらす経済システムをどう
するべきかという議論には発展しないわけで、
目下のところそれを解決する手段が見当たら
ないのだろうから、そうなるのが当然の成り
行きなのだろうが、ともかく社会の中で現状
の状態を維持しようとする方向への誘導は常
に働いているわけで、そういう意味でその場
の都合に合わせて国家的宗教的民族的な価値
観の共有が政治的な宣伝や煽動の場では絶え
ず強調されるだろうし、また庶民の憧れとし
てそうなることを目指すべき価値観として富
裕層に特有の価値観も肯定的に取り上げられ
るだろうし、タックスヘイブンなどを利用し
た徴税逃れに関しても、政治的な都合を優先
した取り上げられ方がされる傾向にもあるわ
けで、理性ではなく経済的な利益を優先させ
るような方向で事態が進展することは自然の
流れとしてあるのだろうし、そういう方面で
の政治的な改善や解決への努力というのはう
まく行かない可能性が高いのではないか。も
ちろんそのような努力を行なっても無駄だか
ら放棄すべきというわけでもないだろうし、
逆に絶えず政治的には改善や解決に向けて努
力するような成り行きにならざるを得ないわ
けで、政治的にはそのようなことしかできな
いのかもしれず、それを怠ると政治制度は腐
敗や不正行為にまみれて機能しなくなってし
まうのだから、いやでも綱紀粛正としてそん
なことをやらざるを得なくなってしまうので
はないか。そしてそんな中でも経済的には利
益を優先させるような成り行きにもならざる
を得ないわけだから、たとえそれが政治的な
腐敗や不正行為の温床になっているとしても
自然にそうなってしまうわけだ。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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