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彼の声 2017.10.2 「労働の変遷」

2017/10/02

 現代的な機械文明の進展に伴った産業別の
労働人口の変化を考えてみると、主に食物を
生産する農業分野が機械化されたおかげで、
先進工業国では急激に農業人口が減少したこ
とは確かだろうし、また工業の分野でも効率
的な生産体制が整備されたおかげで、一定の
レベル以上で工業労働者の数も増えなくなっ
てきているだろうし、現状ではどちらの分野
でも雇用が増える余地はないのかもしれず、
実際に日本の場合はそれらの物を生産する以
外の、第三次産業の人口が全体の75パーセ
ントを占めているらしいから、農業や工業な
どによって物が生産されないと人は生きてい
けないことは確かなのだろうが、労働人口の
大部分はそれ以外の情報を取り扱ったりサー
ビスを提供する分野に偏っているわけだ。ま
た日本の就業者人口は全人口の約5割ほどだ
から、全就業者人口の25パーセントのさら
にその約半分の13パーセント弱の人しか物
づくりには必要ないわけで、もちろん輸入し
ている生産物もかなりの量があるものの、輸
出している生産物もそれと同等以上の金額に
のぼっているわけであり、おおざっぱに言え
ば全人口の87パーセント強の人たちが直接
の物づくりとは関係のないことをやっている
わけで、その全体の75パーセントを占める
第三次産業の分野でAI技術などによって機
械化が進めば、ほとんどの人の働き口がなく
なってしまうわけだろうが、実際にはそうは
なっていない現状があり、そんな脅し文句は
杞憂に終わる公算が高いものの、確かに物を
作っているだけはだめで、それが売れないこ
とには収益が出ないわけだから、物を売るた
めの活動が重要であることは当たり前のこと
なのだが、その売買に伴う商業活動というの
が、右から左へと物や情報を動かして利益を
得ようとする類いの、簡単に言えば安く買っ
て高く売る活動なのであり、全てがそれだと
は言えない面もあるのだろうが、何らかの生
産物が様々な経路で様々な人や集団の手を経
由して消費者に届くまでの間に、世の中のほ
とんどの労働が集約されているわけだから、
物や情報を生産してそれを売るという単純な
概念では労働を捉えられないことは言うまで
もなく、それを生産するまでの過程よりも生
産してから売るまでの過程の方に多大な労力
がつぎ込まれているわけで、また売ってから
も買った消費者に情報を提供したり、売った
後にアフターサービスを行うような労働もあ
るのだろうし、物や情報を生産するだけにと
どまらずに、それ以外の部分で後付け的にど
んどん人の関与を付け加えていって、そこに
労働の余地を見出すような成り行きになって
いるのではないか。

 そうなると労働というのは何かを作るとい
うよりは、何らかのサービスを提供するよう
な傾向へとシフトしてきているのかもしれず、
例えば直接消費者のところへ出向くにしても
窓口業務ような形態をとるにしても、そこで
買い手である顧客と交渉して物や情報やサー
ビスを売るような労働があることは確かだが、
それも交渉を必要とする類いの商品に限られ
るだろうし、それならネット上のサイトにア
クセスして買いたい商品を選べばそれを配送
してくれるようなシステムにした方が、売る
方も買う方も気が楽なのかもしれないが、そ
れができない商品だとメールなどのやり取り
によって交渉することにもなるだろうし、そ
んな売り手も買い手も避けては通れない交渉
というのが、やはり安く買って高く売るよう
な商業的な駆け引きの場となるわけだ。もち
ろんそんな部分であっても、ただネット上で
検索して一番安く売っている商品を買えばい
いだけの場合もあるだろうし、実際に価格を
比較するサイトもネット上に存在しているし、
全ての商品が面倒な交渉なしに手に入るよう
な成り行きに向かっているのかもしれないが、
そうであってもやはり売り手と買い手との間
にある非対称で不均衡な関係を解消すること
はできないだろうし、今後もその部分に人の
労働が関わってくることは確かかもしれない
し、そのような部分が企業が行う経済活動の
中で重要な部分となっているわけだろうが、
その一方で交渉や駆け引きなしに強制するよ
うなやり方が行政を中心に行われている現状
もあるわけで、統治している人々に何らかの
義務を課すようなことが当然のこととして行
われ、それを守らないと法律に違反したこと
になって、場合によっては処罰の対象となる
ことがあるわけで、そんな法律を制定するに
は選挙で選ばれた民衆の代表者たちの了解を
得ないとならない仕組みになっているわけだ
が、そこでも民衆とその代表者たちと行政機
関の間で駆け引きや交渉が行われるわけで、
さらにそのような駆け引きや交渉を伝えるメ
ディアも絡んできて、そこでわけがわからな
い紆余曲折やこじれにこじれた駆け引きや交
渉を経た末に、いつの間にか民衆が望んでも
いない法律が制定されてしまうことが多々あ
るわけで、結局それは行政機関の意向を反映
した法律になることが多く、要するに行政の
統治権限の強化に結びつくような内容が民衆
の代表者たちが集まっている議会で可決され
てしまい、しかもそれを民衆が支持している
かのようにメディアによって伝えられてしま
うわけで、結局そこで露わになるのは、売り
手と買い手との非対称で不均衡な関係と似て
いるようでいて微妙に違う、民衆と行政との
非対称で不均衡な権力関係となるのではない
か。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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