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彼の声 2017.10.1 「企業と産業」

2017/10/01

 資本主義経済の中で物や情報などを生産し
て流通させる活動を担っているのは主に企業
であり、企業活動が資本主義経済を実質的に
動かす上での原動力となっているわけだが、
企業という組織形態はそれ自体が資本の蓄積
を表す単位でもあり、具体的には発行してい
る株式の時価総額が資本の蓄積量を示してい
るわけで、それ以外にも保有する土地や建物
や機械設備などの規模や、事業に携わる従業
員の数や生産している製品の売上高や収益額
や、保有している現預金の額や負債額などか
らも、その活動の実態をうかがい知れるわけ
だが、企業の中でも主流をなしている株式会
社という組織形態が、資本主義的な経済活動
そのものを反映したシステムを構成していて、
株式を発行して多額の資金を集めて、その資
金を活用してそれなりの規模の機械設備を設
置してそれに携わる従業員を雇い、それらを
使って物や情報などを生産して流通させて販
売し、集めた資金に見合うだけの収益を上げ
ようとするわけだ。また株式という資本形態
はそれ自体で売買が可能だから、株式を売っ
たり買ったりすることで企業同士の離合集散
が比較的容易で、企業が収益力のある他の企
業を買収することで企業自体の経営体質を強
化できるわけで、そうやって企業の中で収益
力の高い企業が生き残って収益力の低い企業
が消え去り、結果的に収益力の高い企業によ
って資本主義経済が維持されるわけだから、
収益が上がらずに経営が立ち行かなくなって
倒産したり廃業したりする企業がいくら出て
も、またそれによって失業者がいくら出ても、
実際に収益を上げている企業がそれなりに活
動していれば資本主義経済は存続されるので
あり、景気が悪くなろうと恐慌が起ころうと
資本主義経済そのものが崩壊するわけではな
い。また利益が出なくても企業活動を賄える
だけの収益が上がっていればその活動は継続
されるのであり、慢性的な赤字体質であって
も新たな投資などの何らかの手段で資金供給
が続いている限りは企業は倒産しないし、赤
字が出ている中でも投資が断続的に行われて
いる時期と、事業が軌道に乗って一定額の収
益が出始める時期とで時間的なずれが生じる
わけだから、原理的には赤字が出ていても将
来性を見込んでその企業の株価が値上がりす
ることもあり、株価が値上がりすればそれが
新たな資金調達の可能性を生じさせるわけで、
結局そのような組織形態や資本形態や収益形
態などが資本主義的な経済活動の強みとなっ
ているのではないか。

 それに関連して例えば収益性の低い事業や
産業分野が衰退してその方面での経済が停滞
して、そこから金融機関や投資ファンドのな
どの資金が撤退するようなことが起こると、
その反動で新たな投資先として新製品を発表
したり新サービスを打ち出す企業や産業分野
などに期待がかかるだろうし、そこへと資金
や人材などが流れ込むような成り行きがもた
らされると、結果的にその産業分野での経済
活動が活発化することになるのだろうが、そ
んなふうに特定の産業分野が衰退したり停滞
することが別の産業分野への投資を促すこと
になれば、単に投資熱が冷え込んでしまった
分野からこれから投資を過熱させようとする
分野へと人や物や資金の移動が起こるだけで
はなく、それらが混ぜ合わされて化学反応の
ようなことが起こって、その結果としてそれ
までになかったような新たな産業分野が生み
出される可能性が生じるのかもしれない。厳
密にいえばそのような成り行きとは重ならな
いのかもしれないが、また別の事例として、
例えば農林漁業などの第一次産業の衰退が工
業などの第二次産業の発展を促したのではな
く、工業の発達によって農林漁業が機械化さ
れて、機械化された農林漁業が旧来からあっ
た人出のかかる農林漁業を駆逐するような成
り行きがもたらされたわけで、また農林漁業
が機械化されるとそれらの産業に携わってい
た人が余ってしまうわけで、余った人がどこ
へ行くかというと、結果的には工業へと流れ
たわけだろうが、工業へと流れるだけではま
だ人余りとなれば、行き先のなくなった人た
ちは移民となって国外へ出て行くしかなくな
るわけだが、そんな成り行きの中で工業の発
達は工業から生み出される製品を買ってくれ
る消費者を必要してくるわけで、また機械化
されて生産力や収穫量が上がった農林漁業か
ら生み出される産物を買ってくれる消費者も
必要となってくるわけで、結局はそれらを消
費してくれる人たちはどうやって暮らして行
くのかとなるわけだが、どういう成り行きで
そうなってしまったのかは合理的には説明で
きないのかもしれないが、農林漁業よりも工
業よりも産業人口が多いサービス業などの第
三次産業という分野が発展してきた歴史的経
緯があるわけで、ただ単に生活必需物資の生
産に携わるだけでは人が大幅に余ってしまう
のは確実で、ではそれ以外の人は何のために
必要なのかとなるわけだが、結果的には第一
次産業や第二次産業が生産する産物や製品を
最終的に消費してくれる人が必要なのであっ
て、またそれらを世界中に流通させたり販売
したりする過程で人も機械設備も必要となっ
てくるのだろうが、結果的にそうなっている
ことを合理的には説明できないだけに、人の
理性や人が存在する必然性を超えるような事
態を資本主義経済が実現していることは確か
なのではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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