文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

全て表示する >

彼の声 2017.9.22 「システムの罠」

2017/09/22

 物質的な形態を伴う一般的な貨幣である紙
幣や硬貨は、いったん生産されてしまえばそ
れを作り出す機械とは切り離されて存在でき
るが、銀行口座上に存在する数値情報として
の資金は、それを記憶して記録している機械
とは切り離し得ず、それ表示するにも通帳な
どに印刷するにも紙幣や硬貨を出し入れする
にもATMなどの機械が欠かせず、数値情報
としての資金はそれを取り扱う電子機器とい
う物と結びついていて、それらの情報を取り
扱う機械設備とともに存在しているわけで、
そのようなシステムを維持運営するだけでも
莫大な設備投資と管理費用がかかっているの
だろうし、それを利用している人には便利で
効率的に思われるが、それは表面上の話であ
り、その便利さや効率性を実現させるために
膨大な量の資源が費やされていて、それを製
造したり建設したりメンテナンスを行う側に
は、便利さや効率性とはかけ離れた複雑怪奇
な作業が伴うのだろうし、利用者に便利さや
効率性をもたらす技術的な配慮がシステムや
設備の複雑さや大規模化に転化されていて、
それを利用者が実感できないような仕組みと
なっているわけだから、そうなっている時点
ですでに一般的な利用者はその種の技術をも
たらしている知識から疎外されているわけで、
利用者はただ利用するだけの存在となってし
まい、システムを制御することはできなくな
っているわけだ。もちろんそのようなシステ
ムの全体を制御している者などいないわけだ
が、ただ部分的に役割分担されている範囲内
で決められた手続きに則って操作している担
当者はいるわけだが、そのような担当者がシ
ステムの全体を制御することはできないだろ
うし、またシステムを維持管理している組織
のトップに立っている人が制御しているわけ
でもなく、役割分担されている範囲内であれ
これと指示を出しているだけではないのか。
そういう意味で利用者も管理者もそれぞれに
異なる水準でシステムに関与しているわけで、
互いに部分的にしかシステムの動作を把握し
ていないだろうし、関与している部分も異な
り、双方ともにそこで動作しているシステム
に組み込まれているとも言えるわけだが、そ
のシステムが彼らにもたらしているのが、彼
らが実感していることだけをもたらしている
わけではないだろうし、システム自体が彼ら
を操作して彼らの感覚をシステムにとって都
合の良い固定観念へと導いている面があるの
かもしれず、それがシステムを維持するのに
都合の良い人間へと、システム自体がその利
用者と管理者を作り変えるような動作を伴っ
ているのではないか。

 要するにシステムを利用することによって
も管理することによっても、利用者も管理者
もシステムに逆らえないように作り変えられ
てしまうのかもしれず、両者ともにシステム
に組み込まれることによって、いやでもそこ
にもたらされている環境に順応しないと生き
てゆけないようにされてしまっているのでは
ないか。それはシステムによってもたらされ
る本質的な効果であり、利用者はシステムが
もたらす便利さや快適さと引き換えにして、
システムによって馴致されてしまっているの
だろうし、管理者はそこで駆動している機械
の歯車のようにシステムと一体化して、シス
テムを動かし続けることがその使命となって
しまうわけだ。そして両者ともにシステムが
動いている限りで生きて行けるわけで、彼ら
にはシステムを止める権限など委任されてい
ないだろうし、止まってしまっては困ってし
まうわけだから、いやでも動かし続けなけれ
ばならず、いやでも利用し続けなければなら
ないわけで、それをやめることは死を意味す
るというのは大げさすぎるかもしれないが、
いったんシステムに順応してしまった時点で
やめられない事情が生じてしまったことは確
かだ。しかもシステム自体が時代の変遷とと
もに徐々にあるいは場合よっては劇的に変化
することもありうるわけで、システムに順応
しすぎてしまうと変化に対応できなくなる可
能性も出てくるのかもしれず、その利用者も
管理者も変化したシステムに見捨てられてし
まう事態もないとも限らないわけで、結局シ
ステム自体がその利用者と管理者をシステム
に順応させようとする作用を及ぼしながらも、
何かのきっかけでシステム自体が変わってし
まえば、その利用者も管理者も変化したシス
テムに対応しなければならないわけだから、
いったんそこに何らかのシステムが確立され
てしまうと、その利用者も管理者も絶えずシ
ステムへの従属を強いられて、主導権を握れ
なくなってしまうのであり、システムの方が
それへの馴致作用によって、そんなことには
無自覚になるように作用を及ぼしてくるわけ
だから、そんなシステムに対して好意的にな
るしても批判的になるにしても、すでにシス
テムありきの前提を突き崩せなくなっている
わけで、どうあがいてもシステムの呪縛から
逃れられないのだろうし、システムの裏をか
いて何かやるような発想には至らないのでは
ないか。そしてそのような成り行きの中でど
うすればいいのかを考えるよりは、システム
への順応に失敗してしまうことを恐れないこ
とが肝要なのかもしれず、なぜか知らないが
失敗してしまう成り行きを活かそうとしなけ
ればならないのかもしれない。 

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。