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彼の声 2017.9.19 「正しい主張が内包する欺瞞」

2017/09/19

 今でも世界には原始的な狩猟採集生活をし
ている人もごくわずかにいるわけで、今後そ
れらの人たちがどうなるかはわからないが、
またその一方で多くの人たちが武力紛争など
によって住んでいた地域を追われて難民とな
り、生活の糧を失い生命の危機に瀕している
状況もあるわけで、それを言うなら狩猟採集
民たちも森林伐採などの経済活動によって住
んでいた場所を追われて、絶滅したり狩猟採
集生活をやめて現代文明の中で暮らしている
人たちもいるのだろうし、そんなふうにして
世の中で理不尽な仕打ちを受けて不利益を被
っている人などいくらでもいるのかもしれな
いが、突発的な事故や自然災害などで死んで
しまう場合を除けば、人の経済活動によって
そのリスクが高まっているとしても、一般的
にはすでにその経済活動に巻き込まれて身も
心も絡め取られているわけだから、それによ
って生かされていることは認めざるを得ない
だろうし、人種や民族や宗派などが絡んでく
る対立や紛争も、経済格差から生じているこ
とは明らかで、それを人種や民族や宗派など
のアイデンティティなどから正当化しようと
するのは欺瞞でしかないわけだが、たぶんそ
うしないと納得できないのだろうし、そうな
っていることの理由を求めようとすれば、自
然と人種や民族や宗派などに行き着いてしま
い、結果的にこうなっていることを正当化す
る上で、そこに何らかの違いや共通項を見出
そうとすれば、人種や民族や宗派などしか思
い当たらないのではないか。それで納得しな
いならさらに細かく分類分けしたがる傾向も
出てくるだろうし、例えば特定の大学出身者
であったり特定の地域の出身者であったり社
会の中で特定の階層の出身者であったり、い
くらでもアイデンティティの根拠づけには事
欠かないのかもしれないが、中にはそういう
分類分けに当てはまらないケースもいくらで
も出てくるわけだが、経済活動が集団で行わ
れていることが多いだけに、そこで成功して
いる集団のアイデンティティを求めようとし
て、例えば金融業界で成功している集団があ
るとすると、それをユダヤ系の集団であると
みなして納得するという紋切り型的な認識が、
社会の中で共通の了解事項として流通してい
る成り行きがあるだろうし、金融業とは無縁
のユダヤ人などいくらでもいるわけだろうが、
そんなふうに納得しないと人の意識の中では
収まりがつかない事情があるのかもしない。

 人の集団への帰属意識というのは自己防衛
の手段にもなりうるだろうし、集団の中で生
かされていれば個人が危機に陥った時に帰属
している集団が助けてくれるという期待も出
てくるわけで、それが一定の水準で顕在化し
ているのが国家への帰属意識だろうし、それ
を政治的に利用する集団もいるわけだが、実
際には国民の間でも経済格差があり、経済的
に不利な状況を意識している国民の中には、
その格差を国家の力で解消してほしいという
期待があるのだろうし、そういうところから
社民的なリベラル主義が生じていることも確
かなのだろうが、経済活動そのものが格差を
生み出す成り行きをもたらしていて、しかも
国家財政がその経済活動に依存しているわけ
だから、そこで生じている矛盾は根本的には
解消できないわけで、それでもそんな主義主
張を堅持したければ、部分的な修正主義にな
るわけだろうし、そうなると人種や民族や宗
派などから生じる差別をなくそうと主張して
くるわけで、さらに同性愛者などの性的なマ
イノリティの権利を主張したり、経済格差に
関しては貧困の問題を取り扱い、経済的に不
利な状況にある母子家庭などを助けるための
方策を行政に求めたりするわけだろうが、そ
れでも必然的に経済格差を生み出す経済活動
の中でそういう主義主張をしなければならな
いわけだから、特定の集団への帰属意識に支
配されている人々にとっては、敵対する集団
を利するような主義主張には納得できないわ
けで、また経済活動の中で熾烈な競争に勝ち
抜いて利益を得ようとする人々の間でも、敗
者を利するような要求には納得できないだろ
うし、そういう人たちにとって敗者は成功す
るための努力を怠っているから、仕事を怠け
ているから貧困に陥るのだという単純化され
た大義名分があるだろうし、経済競争は人を
他者に対して不寛容な姿勢に導きがちになる
面があるから、そうなるのも無理はないのか
もしれないが、いずれにしても社会の中で生
じている全ての立場や境遇にある人たちを納
得させることはできないわけで、そうでなけ
ればそもそも対立や争いは生じないのだから、
そのような対立や争いがあることを前提とし
て世の中が成り立っている限りにおいて、無
矛盾的な主義主張を形成するのは無理なので
あり、そんな主義主張には納得できないのが
当然だとしても、それでも自らの立場や主義
主張と正当化しなければならないとしたら、
結局は攻撃や批判の対象として敵を作って、
その敵を攻撃したり批判したりしている自ら
を正当化するために、敵の主義主張の矛盾点
をあげつらい、そんなことをやっている自ら
の相対的な正しさを宣伝するしかないわけだ。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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