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彼の声 2017.8.25 「経済の破綻と崩壊」

2017/08/25

 現在では株や債券などの有価証券は電子化
されていて、それらの売買に使う証券会社や
信託銀行などの口座で管理されているわけだ
が、一方で手持ちの現金以外の資金もほとん
どは銀行などの口座で管理されているわけで、
それらの金融システム上では物質としての有
価証券や紙幣や硬貨とは無縁の環境が整備さ
れているわけで、それは口座振替などの送金
や入金に関しても同じことなのだが、口座残
高が増えたり減ったりする分には、物質とし
ての金銭そのものは不要であり、実際に現金
で買い物をする分だけ口座から下ろすのが習
慣となっているだろうし、金融資産といって
も自分で金庫を持っていて、その中に金銭を
貯めるにしても、凄まじくでかい金庫でも持
っていない限りは、莫大な金額を所持するこ
とはできないわけだから、貨幣や有価証券の
ほとんどはその金額の情報として、口座残高
のように電子化されているのであり、そうな
ると物質としての紙幣や硬貨などの流通額は、
全体から見ればほんの一部で、そうだとすれ
ば有価証券などの価値がいくら値上がりして
も、またその種類や量がいくら増えても、電
子化されている限りはそれらの売買によって
何らかの生産物が増えるわけでもなく、もち
ろん担保や信用などの面で制約があるから、
資産の裏付けのない有価証券の類いを際限な
く発行することはできないわけで、確かにそ
れらの売り買いを活発化させれば、株や債券
などの価格が事前の資産評価額からはかけ離
れた高額で取引されることもあるのだろうが、
企業業績などの実態からかけ離れた額で取引
が行われていれば、暴落への警戒感から利益
確保のための売りが入って値下がりするのだ
ろうし、そういう成り行きにもそれなりの限
度があるのではないか。また物としての資産
である土地や建物などの不動産も需要が増え
て価値が値上がりすれば、値上がりした資産
評価額を担保として借りられる資金も増える
だろうし、借りた資金でさらに土地や建物を
増やして、さらにそれを担保として資金を借
りて、不動産の値上がりが続いているうちは、
そんなやり方でどんどん資産を増やせるわけ
だが、値上がりしすぎると土地建物の賃貸価
格にしても分譲価格にしても高くなりすぎて
借り手も買い手もいなくなって値下がりする
だろうし、そこでもそれなりの限度があるわ
けだが、結局は実体や実態の定かでない資産
の膨張には自ずから限度があるわけで、売買
の加熱によって高騰するものは、いずれは加
熱が沈静化して適正な価格へと落ち着いてし
まうものなのかもしれず、途中で様々な紆余
曲折があるものの、結果的には歯止めのない
資産の膨張とはならないのではないか。

 もちろん予言する側は歯止めがかからない
危険性を訴えるわけで、歯止めがかからなく
なって経済が破綻したり崩壊すると予言した
くなるわけだが、そうなったとしてもその破
綻や崩壊が歯止めとなるわけだから、実際に
は破綻や崩壊の後に経済がそれなりに必要に
応じて再生することになるのではないか。そ
ういう意味でも根本的な解決はあり得ないの
だろうし、何をもって解決だと判断してもそ
の後があるわけで、人の活動が続いていく限
りは終わりは永遠にやってこないわけだ。ま
たそうであるからこそ、人は過去から現在を
通過して未来へと続いてゆく歴史の連続性を
夢想してしまうわけで、実際に過去の意匠を
使って自らの存在を正当化したくなる。具体
的にはそれが国家的な連続性であり反復性な
のだが、それは洋の東西を問わずある一定の
形式を伴うのかもしれず、例えばアジアの中
心である中国では秦の始皇帝の意匠を頑なに
反復しながら歴代の王朝が繰り返され、それ
は途中の隋唐王朝から派生した朝鮮半島や日
本の統一王朝などにも同じような傾向が受け
継がれたわけだが、ヨーロッパではローマ帝
国の意匠を引き継いでカール大帝とか神聖ロ
ーマ帝国とか19世紀のナポレオンの帝政や
20世紀のドイツ第三帝国などまで、断続的
にローマの意匠の利用が続いたわけで、それ
らの大元はエジプトやメソポタミアの統一王
朝にまで遡るのかもしれないが、それは東と
西の間の東ローマ帝国やイスラム帝国やモン
ゴル帝国やロシア帝国などにも見られること
であり、また近代以後の民主的な議会にして
も古代ギリシアのアクロポリスの意匠が引き
継がれて、何やらパルテノン神殿のような大
理石の列柱を模した建物がアメリカなどでも
作られていたりして、何かと過去との連続性
を強調したがる傾向が世界的に広まっている
わけだが、それらの連続性が人々のメンタル
な部分に影響を与えているとしても、実態は
全く違っていて、逆に歴史的な断絶や切断を
見ないから、連続性に惑わされてしまうわけ
で、破綻や崩壊を予言してしまう人たちは、
連続性が保持されることを前提としているか
ら破綻や崩壊の兆候に敏感に反応して危機意
識を抱いてしまうのではないか。もちろん現
状の制度から利益を得ているわけだから、そ
れが破綻したり崩壊してしまってはまずいこ
とは当然なのだろうが、破綻したり崩壊して
しまってはまずいと思うことと、実際に破綻
したり崩壊することとは別次元で起こってい
る現象であり、それも当然のことであって、
あえて言うまでもないことなのだろうが、誰
が予言してもしなくても、破綻するときはす
るだろうし崩壊するときはするのではないか。
それとも予言者のアナウンス効果によって破
綻や崩壊が未然に防げるような効能が期待さ
れているのだろうか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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