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彼の声

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彼の声 2017.8.19 「価値の幻影」

2017/08/19

 物と物に関係する情報は人の意識の中で結
びついてはいるが、実際に社会の中で物と人
と情報とが錯綜して複雑に絡み合って様々な
作用や影響を及ぼしている場合は、その種類
と組み合わせに応じて様々な利用と機能を形
成するが、物と人とを結びつける情報は物に
関する説明や物を記号として扱うのに必要な
内容となり、物を記号として取り扱う説明の
中で物と人との関係がある水準では定式化さ
れ、定式化を可能とする理屈を伴って、社会
の中で物や人や情報を操作する際に利用され
るわけだが、理屈が説明される度に説明に使
うのに必要な様々な記号の組み合わせが試み
られ、それらは部分的には恒常的に定まった
関係とはいえない面まであり、そういう部分
では物と人との関係は定式化できないし、実
際に物を伴わない情報が幻影として人の精神
に作用する場合まであるわけで、一概に情報
が物に結びついているとはいえない面まであ
って、物も人も情報も単独で記号として機能
する場合もあるが、大抵はその場の都合に合
わせて物と人と情報とを結び合わせて、それ
ぞれを複合的な記号として取り扱うことにな
り、それがその場限りの関係であればそれを
一定の理屈で説明するのは困難になる。そし
てそれが物としても情報としても取り扱われ
ることが可能な貨幣となると、売買の時に物
の価格を表す記号として機能する以前に、蓄
積された数値情報としての量を示していて、
しかもその量が必ずしも物としての貨幣の量
とは一致していないわけで、実際に紙幣や硬
貨として流通している貨幣の量は、数値情報
として金融機関などに蓄積している量のほん
の一部でしかなく、それで間に合っている限
りで物としての貨幣が存在しているわけで、
全ての貨幣が物として実体化する必要がない
からそんな実態となっているわけだが、そう
なっている時点ですでに貨幣は物としてより
は情報としての機能が優っているわけで、そ
れ自体が物質的な実体がなくても機能する記
号的な働きを担っているわけだ。

 例えば物も人も情報も文章上では文字記号
であり、それらを記号として機能させる時に
は、それを介して関係する人々の間で、何ら
かの意味を持った記号として取り扱うことに
関して共通の了解がないと、記号として人々
の間では機能しないわけで、結局は人と人と
が関係し合う社会の中でしか記号が機能しな
いのは当たり前のことだが、記号の意味を共
通の了解事項として認め合うことによって、
初めて社会の中で何らかの意味を伴った記号
が機能して、それが機能する限りにおいて社
会の中で定められた様々な仕組みや制度が円
滑に動作するわけだ。人々が共通の了解事項
として共有している記号というのは、人と物
と情報とを結びつける符牒であることはいう
までもなく、しかも記号は記号自身と記号の
意味という二種類の情報の結合体を成してい
て、その記号そのものとその意味との結合と
いう二重性が、記号を正確には把握しがたい
概念にしている。それがしばしば人を記号に
関する誤った理解や単純化した認識に導き、
その機能も充分には説明し難い概念にしてい
て、例えば貨幣は実際に所有している硬貨や
紙幣としては物であり、銀行の口座残高の上
では数値情報でもあり、ただ所有している硬
貨には数値が刻印され、紙幣にも数値が印刷
され、預金通帳にも数値が印刷され、銀行な
どにあるコンピュータ上の記録媒体にも数値
などのディジタル情報が記憶されているわけ
で、どれもが売買の際に商品と交換できる記
号として機能する。しかもその記号自身であ
る貨幣も、商品として売買可能であり、実際
に貨幣は為替取引などでは一定のレートで売
買される商品ともなるが、その一方で実体を
伴わない情報としての貨幣の額が、金融工学
と呼ばれもする怪しげな取引を通してむやみ
やたらと膨張する傾向にもあるわけで、それ
が間接的には何らかの債権と結びついている
のだが、直接接することはない実体のなさが、
いずれ金融市場の破綻を招くような深刻な事
態を予感させているのだろうが、それが人が
生活していく上で必要とされる物の生産と流
通と消費にどんな影響を及ぼすとしても、実
体を伴っている物と伴っていない情報との間
には、乗り越え難い質の差異があることは確
かで、情報は容易に生成することができて、
容易に取り扱われて、容易に修正可能で、容
易に消し去ることも可能かもしれないが、そ
れに比べれば物は取り扱いにくいし、作るの
にも取り扱うのにも修理するのにも消し去る
のにもそれなりの労力を要し、そういう面で
それに関わる物としての様々な存在が情報が
膨張する上で障害物となっていて、物と情報
とが結びついている実態が、情報に偏向した
市場が暴走するのを食い止めている可能性は
ある。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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