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彼の声

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彼の声 2017.8.17 「貨幣と商品」

2017/08/17

 人類には太古の昔から物を加工して道具を
作り、さらに道具を使って物を加工するとい
う相乗効果によって、自分たちに都合のいい
ようにその生活習慣や身の回りの環境を作り
変えてきた歴史がある。また一方で自分たち
が生活していく上で必要となってくる物を獲
得して、それを摂取したり使用しやすいよう
に加工したり、またそれを蓄えておくのに伴
って生じる保存方法などに関して、そのよう
な様々な行為に必要な道具や建物などの作り
方やその使い方に至るまで、人自身もそれに
含まれるような物に関する取り扱いの方法を
知識として社会の中で共有してきた。そして
それらの知識を情報として共有し伝達し保存
する方法として、音声や文字などで表現する
言葉の組み合わせとしての言語を発明し共有
して発展させ、それを使うことによって人と
人の間で、あるいは人が構成する集団内や他
の集団との間で意思疎通を図り、その内容を
文字として石や粘土に刻んだり木や紙に記し
て、いつでも閲覧可能な状態で保存して残そ
うとしてきたわけで、人類はその歴史を通じ
て物を取り扱うための道具や機械を作って、
それを用いて物を加工して利用する技術と、
それらの扱い方に関する情報を知識として社
会の中で共有して定着させるやり方の両方を
発展させてきた。そしてそのような技術や方
法が活用される中で、物と物とを交換する際
に用いる媒体として、貨幣という物の価値を
示す情報を担った媒介物が生み出された。

 社会の中で活用される物の存在様式や形態
とその機能を理解するには、物の取り扱いに
関して保存された記憶や記録から得られる情
報を知る必要がある。意識が捉えようとする
物体としての物には、その物に関して知り得
た物自体の性質や形や色や量や他の物との相
互作用などの一般的な情報の他に、社会の中
でその物がどのように作用して使用されて機
能しているかを示す情報も含まれ、それらの
情報が社会の中で物に関する知識として共有
されている。そして物の作用や機能を示す情
報の中には、まずは物自体の名称があり、そ
れを何と呼ぶかに関して共通の名称がないと、
社会の構成員がその物についての知識や認識
を共有できない。そして人々の間で名称が共
有されている物が社会の中でどのように役立
っているかを示す情報としては、例えばそれ
が食物ならば直接摂取することによって栄養
を取ることができるとか、資源ならば加工し
て別の人工物を形作るのに有用な材料となっ
たり、燃料として機器や機械類の動力や熱や
電力などを生み出したりもするわけで、物に
関するそのような情報が知識として社会の中
で人々の間で共有され活用されている実態が
あるわけだが、貨幣に関する知識としては、
売買と呼ばれる行為の際に、物と同じ価値を
示す数量の貨幣を物と交換する等価交換の原
則があり、それによって交換に関わる双方が
納得でき、お互いの価値観が合わなくても交
渉することによって、双方の間で売買価格の
すり合わせが行われて妥協が図られる可能性
が生じるわけだが、貨幣はその際、交換され
る物の量や質に関しての価値を決め、実際に
その価値を担う数量の貨幣と交換されること
で、その物の価値が交換されると同時に決ま
り、またその所有権が貨幣を受け取った者の
手から貨幣を払った者の手に移る。

 物のイメージはその物の姿形を映し出す画
像や映像などから成り立つが、一方で物の性
質や働きや取り扱いに関しては、主に文字や
音声や数値や図表などを含む記号表現を用い
て説明される。一般的には物に関するイメー
ジを含む画像や映像などの情報と物の性質や
働きや取り扱いを含む記号情報が一体化して、
それが物に関する知識として定着しているわ
けだが、実際に思考作用によって理解を要す
るのは、主に文字や数値や図表などの記号を
用いて表現される情報であり、それらの情報
を活用する上で、その物に関する文字や数値
などの記号を用いて説明している内容が視覚
的にわかりやすく示されている場合があり、
それを物に直接貼り付けて他の社会の構成員
の誰でも一目でわかるように表示して、例え
ばその名称、内容物、製造番号、製造年月日、
所有者などの物に関連する記号的な情報が物
に貼り付いた状態で、それが標識として機能
するように記載されている。そしてその中で
も物の価格が最も重要な情報として記されて
いるのが商品であり、要するに商品に値札が
ついている状態で見せているわけだが、一方
で商品の売買に際して使う交換媒体である貨
幣にも、価値の度合いである価格の指標とな
る数値が記されていて、売買に際して買い手
が商品の価格と貨幣に記された数値の合計が
一致するだけの量の貨幣を所持していれば、
商品と貨幣との交換が可能になるわけだが、
貨幣も現物で所持していてばそれは物の一種
であり、実際に紙に価格の指標なる数値が印
刷されているのが紙幣であり、金属片に価格
の指標となる数値が刻印されているのが硬貨
であり、それらが商品に貼り付いている価格
と同じとなるだけの枚数の紙幣や硬貨を合計
で持っていれば、その商品と交換できるわけ
だが、実際に交換されている実態や慣習があ
るから、貨幣自体は商品が体現している価値
の度合いを示す価格の指標となり、売買に伴
って交換される貨幣の合計が商品の価格を示
す指標となり、指標となるその数値が貨幣の
本質であり、数値情報以外の情報としては、
その貨幣が本物であることを保証する情報が
記載されていて、それが本物であることが貨
幣を発行している機関によって保証されて、
それが社会的に信用されている限りで、商品
の売買を媒介する役割を果たせる。

 商品は売ることによって貨幣と交換され、
それを買うことによっても貨幣と交換される。
つまり一般的な売買で商品を買うには貨幣が
必要で、貨幣を得るには借りるか商品を売ら
なければならず、そうした機能が社会の構成
員が社会の中で様々な役割を分担されること
を可能としていて、自らの活動からは得られ
ない生活必需物資を買うことによって得られ、
また他の構成員が必要な物資を売ることによ
って与えることができ、そうやって社会の中
で各人が足りない物を補い合うシステムを成
り立たせることが売買という行為が担ってい
る機能でもあるわけだが、またそれは各人を
労働という貨幣を得るためのサービス活動に
導いていて、それが社会の構成員が社会の中
で様々な役割を分担させられていること自体
ともなっているわけで、結果的に商品を生産
して流通して消費する活動に人々の労働が関
与していることになる。それは地縁血縁的な
贈与や供与では得られない物を得られる機会
を人々に提供し、氏族的あるいは地域的な繋
がりのない集団の間での交易を可能としてい
る。そしてそうした因習的なしがらみのない
商品を買ったり売ったりするに伴って、その
ような取引を安全に行えるようにするための
何らかの保障や信用を求める機運が世の中に
生じて、ひどい商品をつかまされて詐欺に遭
ったり詐欺を行わせないようにするための措
置を、国家などの行政機関に求めるような動
きが出てきて、そうした成り行きの中で売買
に関する法律が制定され、法律を人々に守ら
せる役割を担った警察などの新たな機構が行
政機関の中から生じてきたわけで、またその
ような法律の整備が進展するにつれて、法律
を破った者を裁くための司法などの機構も、
行政府から権限を委譲されて独立してくるよ
うな歴史的な経緯があるわけだ。

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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