文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

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彼の声 2017.8.4 「仲間意識」

2017/08/04

 別にあからさまにそう思っているわけでは
ないだろうが、人はメディアを介して他人と
話題を共有したい。他人が自分と同じ趣味嗜
好を持っていることを望み、その趣味嗜好を
通して他人と意思疎通を図りたい。実際にそ
うなれば孤独から解放されて幸せな気分にな
れるだろうか。そうなれば他人との関係が仲
間同士の関係へと発展したり、場合によって
は家族関係にも発展するだろうか。そして親
密な仲間関係が仲間以外の人たちとの関係を
敵対的なものにしたり、仲間内での内部抗争
へと至ることもあるだろうが、そんな仲間を
募って他者とアイデンティティの共有しよう
とすることが、社会の中で様々な関係のネッ
トワークが張り巡らせていくことに貢献して
いるのだろうか。だがそれがメディアを介し
た関係である限りは、まずは話題の対象が何
をやるかではなく、何を見せてくれるかに人
人の関心が集まることは確かで、そこからた
だ受動的にメディアが提供するものを見てい
るだけでは済まなくなるだろうし、メディア
がゲームを提供してそれを不特定多数の大衆
が興じる場合もあるし、またメディアが推奨
するものを買わせる場合もあり、そうなると
メディアは広告宣伝機能を果たすことになる
のだろうが、そうやってあらかじめメディア
が大衆の進むべき道を整備していて、その整
備され舗装された道路を通って人々は娯楽や
買い物へと出かけていくことになり、娯楽施
設や買い物をする場所以外はどこへも行けな
いという事態となっているかもしれず、もち
ろんそれは比喩でしかなく、今では出かけて
いくというよりは、ネット上で娯楽も買い物
も全て間に合ってしまうわけで、それでは気
晴らしにならないから実際に出かけてゆくこ
とになるのだろうが、しかし実際に出かける
にしても、一応は外食も娯楽に含まれるだろ
うし、あとは買い物だけだとすれば、他に何
か出かける目的があるだろうか。普通は仕事
に出かけていくわけだが、仕事は目的そのも
のだから、それ以外で目的もなく出かけると
すると、それは何のために出かけるわけでも
ないだろうし、そうなって初めてメディアの
呪縛から逃れられるだろうか。

 しかし仕事でも娯楽でも買い物でもないと
すると、人々は何をしに外へと出かけるのか。
メディアが誘導する目的に逆らうためという
わけでもないとすると、人々はどこへ向かう
ことができるだろうか。メディアが提供する
娯楽を通じて知り合うような仲間に出会うた
めではなく、ただの他者に出会うために出か
けるというわけでもないだろうし、どこでも
いいからどこかへ出かけないと退屈で死にそ
うだから、という皮肉な孤独とは無関係であ
りたいわけでもないとすると、別に必要がな
ければ出かけなくても構わないのかもしれず、
世間体を気にしなければ引きこもっていても
構わないわけだが、どこへも至らない道とい
うもあり得ないわけで、たぶん引きこもって
いてもどこかへ至ってしまうだろうし、メデ
ィアによって整備された道を通って向かう行
き先へと向かわない選択肢などいくらでもあ
りそうにも思われるが、別にメディアが誘導
する施設へと向かっても構わないわけで、そ
こでメディアが提供する娯楽や買い物を楽し
めばいいのだろうし、それで何がどうなるわ
けでもないどころか、かえってひねくれて道
なき道をゆくよりは、よほど効果的で有意義
な時間を過ごせたことを実感できるのかもし
れず、そうであるからこそ人はメディアに依
存しながら生きているわけだ。だからそれ以
外を探そうとするのは、骨折り損のくたびれ
もうけ的な結果を招く可能性が高いのではな
いか。実際にそうなるからこそ人々の関心は
メディアに登場する著名人の周りに群がり、
その人物から御利益を得ようとするのかもし
れないが、実際に何らかの御利益があるのか
もしれず、その中でもそれが共通の話題とな
って仲間同士のコミュニケーションが成り立
つことが、何よりも重要なことだと思われる
のかもしれず、実際にそうならないと意思疎
通が図れずにコミュニケーションが成り立た
なくってしまうのではないか。結局はコミュ
ケーションができている限りで仲間なのであ
り、実際に話題を共有できない者は仲間だと
は思われないはずだ。そういう意味で仲間と
はコミュニケーションの次元で成り立つ概念
なのであり、そうだとすれば漫画の中で示さ
れるような命をかけて守るような対象とは違
うのではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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