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彼の声

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彼の声 2017.7.30 「目的と論理」

2017/07/30

 人が目指すべき方向には、その人が望んで
いることを実現させようとする目的が生じて
いるわけだが、たぶん真の目的はそこにはな
く、真の目的とは誰の目的でもなく、それは
神の目的でさえなく、それは誰が望んでいる
わけでもないことなのではないか。たとえそ
こで誰かが望んでいることが何らかの結果と
なって現れるにしても、そんな結果には一瞬
の歓喜とその後に延々とフェードアウトしな
がら歓喜の反芻が続いてしまうわけで、そん
な結果を出すことが真の目的ではなく、たぶ
ん結果となって現れるのは目的の断片なので
あり、すでにそこでは目的が砕け散っていて、
その断片の散らばり具合いは目的を達成しよ
うとする過程において、目的そのものを消費
してしまったことを示していて、目的を達成
しようとすると、それをすり減らしながら物
事を前進させようとするから、そこで目的は
摩耗して次第にすり減ってゆき、何かしら結
果が出た時にはすでに当初の目的は不要なも
のとなっていて、あたり一面に砕け散った目
的の断片が散らばっているだけとなってしま
うのではないか。人はその砕け散った断片か
ら当初に抱いていた目的を再現しようとする
のだが、もはやそれは使用済みの廃棄物でし
かなく、塵や芥の類いでしかないものを再利
用することはできずに、それが過ぎ去った時
間の思い出でしかないことを再確認するだけ
となり、そうなるとやはり落胆するしかない
のかもしれないが、そこまで来た過程の中で
経験が蓄積されたようにも思えるわけで、そ
の経験を活かして新たに何かをやろうとする
のだろうが、それが新たな目的になるにして
も、やはりその目的の水準にとどまることは
できずに、目的を達成しようとする過程で、
その目的を消費してすり減らしてしまうわけ
だ。

 それとは別に目的を消費する過程で、目的
とは違う何かが導き出されてしまうのはよく
あることかもしれず、そういう意味で真の目
的とは、目的を消費してすり減らした末に、
それとは別の何か思いがけない結果をもたら
すことにあるのかもしれない。例えば勝つこ
とが目的で実際に勝ったとしても、その勝利
は歓喜とともに一瞬のうちに消費されてしま
うわけで、その後に残るのは過去の栄光に過
ぎず、そうやっていったん目的を達成してし
まうと、その後に待ち受けているのは、ひた
すら過去の栄光がついて回る虚しい人生であ
り、自身が過去の呪縛から逃れられなくなっ
てしまうわけで、できることなら栄光の絶頂
で死んでしまえば良かったと後悔することに
なりかねず、そうやって落胆するだけにとど
まりたくないから、それまでの経験を活かし
て、また新たな目的に向かって挑戦しようと
するのだろうが、それではまた同じことの繰
り返しとなってしまう可能性があり、しかも
そう何回も目的を達成することはできないか
もしれないし、それが真の目的ではないこと
に気づかないままとなってしまうのかもしれ
ない。真の目的とは誰の目的でもなく、誰の
目的からも逸脱するような結果をもたらすこ
とが真の目的なのであり、それ自体が思いが
けない出来事であり、それが思いがけないこ
とである限りにおいて、落胆とは無縁の出来
事となって、場合によってはそこに居合わせ
た者たちを驚きと感動に導くかもしれないし、
それはやろうとしてできるようなことではな
く、誰もやろうともしなかったことが実際に
起こるわけだ。

 そんな出来事を誰が許容できるだろうか。
許すとか許さないとかいう次元ではなく、た
だあっけにとられるような出来事なら、もは
や誰もどうしようもないのだろうし、やはり
それはそんなことをやろうとしてできるもの
ではなく、そうなることを狙っているわけで
もないことが起こるわけで、できることなら
起こった後からもっともらしい理由づけなど
できないようなことが起こってほしいわけで、
もちろん誰がそうなることを望んでいるわけ
でもないのだから、誰が起こってほしいと思
っているわけでもなく、その辺で矛盾が生じ
てしまうわけだが、ただそうならない限りは
事件など起こらないわけで、何かこの世界で
新しいことが起こったなどとは誰も認識でき
ないわけだが、人が執念深く追い求めている
のは、それとは真逆の目的であって、そこへ
と必然的に導かれたいわけで、そうなって初
めて目的が成就すると思いたいわけだが、果
たして歴史上そんなことが実現したためしが
これまでに一度でもあっただろうか。予定調
和的にあったということはできるだろうし、
そんな例をもっともらしく示すことはできる
だろうが、そのほとんどは原因と結果を取り
違えているのだろうし、偶然からもたらされ
る予想外の出来事を意図的に考慮しないよう
にもしているわけだが、そんな物語の範疇に
収まろうとすることが、他の人々に落胆をも
たらすわけで、自分がしがみつこうとする必
然的な原因と結果の因果関係から導き出され
る予定調和の理屈以外は受け入れがたく思わ
れてくると、例えばそこからわずかでもはみ
出ることを語り出す輩に出会って、烈火のご
とく怒り出すような事態ともなれば、そうい
う人は総じて目的に殉じてしまう人なのだろ
うし、自分が信奉しているロジックからしか
物事を捉えられない人なのではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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