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彼の声 2017.7.28 「破綻の効用」

2017/07/28

 どうもマルクス自身はマルクス主義的な終
末論には懐疑的だったのかもしれないが、資
本主義経済が破綻して労働者たちが資本家た
ちを倒して革命が起きるという神話は、結果
から見れば少し違っていて、資本主義経済と
いうのは成り立っていると同時にすでに破綻
していて、実際に起業すればその9割以上は
失敗すると言われているし、企業の倒産もひ
っきりなしに起こっている現状もありそうで、
投機的な株式投資や外国為替を利用したFX
取引などにしても、そのほとんどは利益を得
られない状況にあって、起業にしても投機的
な株や外国為替の取引においても、実際に儲
かっているのはほんの一握りの人や金融機関
であり、そして現実に事業に失敗して経営破
綻する企業があるということは、その企業の
経済活動は実際に破綻しているわけで、要す
るに資本主義経済が成り立っているというこ
とは、その経済の中で事業に失敗して破綻し
た多くの企業や個人投資家たちの屍の上で成
り立っているわけで、それらの失敗した企業
や投資家たちにとっての資本主義経済はすで
に破綻しているわけで、つまり労働者たちが
革命を起こす前にすでに資本主義経済は部分
的に破綻していて、しかもその部分的な破綻
があるからこそ、経済競争を勝ち抜いた企業
や投資家たちに利益がもたらされ、成功した
企業や投資家たちにとっての資本主義経済が
成り立っているわけで、そういう意味で資本
主義経済というのは全体として成り立ってい
るのはなく、いつでも部分的に成り立ってい
て、また部分的には破綻しているのであり、
破綻している部分では実際に事業が失敗して、
投資した資金を回収できずに、負債として残
ったものについては債権を放棄せざるを得な
い事態も起こっているわけだ。

 逆にいうと金儲けに挑戦して失敗する人や
企業がいないと、資本主義経済は成り立たな
いとも言えるわけで、そこで競争して敗れ去
る人や企業が存在するからこそ、そこからほ
んの一握りの成功して利益を出す投資家や企
業が現れるのであり、そのような競争が成り
立っている限りで資本主義経済も成り立って
いると言えるだろうか。そうであるにしても
実質的には世界中で70億人もの人が生きて
いる現状があるわけだから、それらの人々を
養えるほどには資本主義経済が成り立ってい
ると言えるのではないか。もちろんその中で
巨万の富を蓄えている人はごくわずかだろう
し、しかもそれらの富裕層が世界の総資産の
かなりの部分を所有しているわけだから、人
人の間で極端な資産格差が生じていることは
確かで、資本主義経済が成り立っているにし
ても、それは富の配分が著しくいびつで極端
な不均衡を伴っていると言えるだろうか。別
に必要以上に富を配分されても一般の人たち
には使い道がないだろうから、そんなものは
不要で、また一般の人たちを労働に縛り付け
ておくには、必要以上の富を所有させてはま
ずいわけで、そんな事情からも富の極端な不
均衡が一般の人たちに労働を余儀なくさせて、
それが結果的に資本主義経済を成り立たせて
いると言えるのかもしれない。

 だがそんなふうにもっともらしく理屈を考
えてしまうと、何か予定調和のごとくに資本
主義経済が成り立っているようにも思われて
しまうかもしれないが、たぶん結果的にたま
たまそうなっているだけであり、そうなるの
が合理的で必然であったりするのではなく、
様々な紆余曲折を経てそうなっているに過ぎ
ず、だからそうなっている現状を正当化する
のはおかしいわけで、別にそれが妥当な形態
でも理想的な経済状態を実現しているわけで
はなく、もちろんそうならざるを得ないわけ
でもなく、何かの加減でそうなっているに過
ぎないわけだから、そこからの変化や改革を
望んでも構わないわけで、それに関して別に
はっきりとした要求や期待はないのかもしれ
ないが、予定調和的にそうなるべきだとは言
えないだろうし、ではこれからどうすればい
いかを考えるにしても、まずは現状の正確な
分析が欠かせないだろうか。各人や各企業や
各国の政府や政党などが活動した結果が、実
際にこんな現状をもたらしているわけで、現
に今も活動し続けているわけだから、現状は
常に変容し続けていると言えるとともに、そ
れらの活動にもおのずから限界があり、その
中で個人の活動が世の中にどのような影響を
及ぼすにしても、その影響は微々たるもので
しかないだろうが、ひょっとしたら何かのき
っかけで個人の思想や著した書物が後世に多
大な影響を及ぼす可能性もあるわけで、その
代表的な例がマルクスの思想であり、彼が著
した『資本論』であるわけだが、そこで彼が
分析した19世紀のイギリス経済と現代の世
界経済との間で目立った違いがあるとすれば、
単純に経済規模がでかくなっただけではなく、
その構造も国家との関係もより複雑で錯綜し
たものとなり、もはや単純な理論では説明し
難い様相を呈しているだろうか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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