文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

全て表示する >

彼の声 2017.7.24 「ありえない虚構」

2017/07/24

 フィクションに含まれる政治関連の挿話に
は、過去の歴史的な出来事が反映されている
場合が多いが、よくある話の成り行きとして
は横暴な支配者による圧政に苦しむ民を、反
社会的な境遇のならず者達が助ける話になる
だろうか。実際の公式的な歴史の中でそんな
出来事が頻繁に起こったわけでもないだろう
が、安易に独裁的な国王や皇帝などの支配者
を登場させる話ではなく、選挙などの民主的
な手続きを経て、民衆の中からさほど目立っ
た才覚を感じられない代表者が選ばれるよう
な話だと、フィクションの内容としては魅力
を欠くだろうし、現実の世界で特に有能でも
ない人物が国を代表するような役職に就いて
いる場合、そのような人物がフィクションの
主人公になることはまずないだろうし、何か
主人公になるにふさわしい説得力のある理由
というのを人は求めたがるかもしれないが、
大した理由もなく何となく主人公が設定され
ているように感じられる場合があるとすると、
ではそれは何のための話なのかと問われるわ
けでもないだろうが、それでも主人公に目さ
れる人物にはその人なりの特徴があるにして
も、別にその人物が物語の主人公である必然
性が見当たらなければ、その人なりの特徴と
いうのが、そのフィクションを構成する話と
はあまり関係のない特徴であり、そこで何ら
かの架空の出来事が話の順を追って起こるに
しても、それらの出来事が主人公に目される
人物にとって何を意味するわけでもなければ、
ではなぜその人物が話の主人公なのか理解に
苦しむところだろうし、例えばその人物が虚
構を構成する世界から疎外されているとすれ
ば、その世界にコミットできない主人公は単
なる世界の傍観者でしかなくなってしまうだ
ろうし、そこでは何もできない主人公とは無
関係に様々な出来事が起こっているだけだと
すれば、ますます主人公が主人公である理由
がなくなってしまうだろうが、たぶん現実の
政治はそのように推移するのであり、別に話
の主人公が政治に参加しているわけではなく、
主人公は常に政治から疎外され遠ざけられて
いるわけだ。そしてそこで誰が主人公である
べきなんてどうでもよく、誰が政治の場で主
人公の役割を担うこともなく、誰がそこで権
力を行使しているわけでもないのに、実際に
人と人との間に権力関係が生じていて、場が
そこに囚われている人々を支配し、そんな権
力関係を維持しているわけだ。

 ある意味でフィクションは作者とも主人公
とも関係なく、もちろん別に意味で関係があ
るからフィクションが構成されているわけだ
が、そこに固有の場が生じていようと、たぶ
ん誰にそこで権力を行使する権利が生じてい
るのでもなく、ただ誰もがその場に囚われて
いるのであり、囚われている程度が各人でま
ちまちであるにしても、その場から誰も抜け
出せないからそこでフィクションが構成され
ているとも言えるわけで、現実の世界がそれ
と地続きであるはずがないが、人々はありえ
ない場所から幻想を抱いているわけで、実態
としてはフィクションの中で現実の世界を妄
想しているわけだ。決して現実の世界の中で
フィクションを妄想しているわけではなく、
現実の世界には何もないことを信じられずに
いるだけだ。誰がそれを確かめたわけでもな
いのに、そこに世界があると思っていて、誰
も現実の世界では主人公にはなれないのはも
ちろんのこと、それが誰のための世界でもな
いことを自覚できずにいる。傍観者でいるこ
とすらできずに、何に関係することもできず
にあらゆることに関係する夢を抱いている。
別にその夢がフィクションだとは思わないだ
ろうが、フィクションの中で構成されるのは
現実に起こっている成り行きではなく、誰が
そこで妄想を抱いているとしても、それらの
出来事が現実に起こっているように見せかけ
ようとしているのでもない。その場から抜け
出せずにそこへと絡め取られているから、仕
方なくそこで何かをやっていると思い込むし
かないのだろうか。そんな回りくどいことだ
とは思わないだろうし、もちろんフィクショ
ンの中では誰が何を思い込んでいるわけでは
なく、たぶんそこでは何らかの架空の話が構
成されているのであり、架空の話の中で何ら
かの出来事が生じている。たとえそれが架空
の出来事であっても、人々はそれを体験して
いるつもりになってフィクションにのめり込
もうとしているのだろうから、そんな人々が
実在しているか否かが問われているわけでは
ない。現実の世界でもフィクションの世界で
もそんなことは問われていないとすれば、そ
れらの人々は現実の世界ともフィクションの
世界とも無関係となってしまいそうだが、そ
れでもそれらの人々がその場に囚われている
のならば、場が何を求めているかを知ろうと
しているのは、その場とは無関係な人々だろ
うか。その場に囚われているのに無関係だと
は思えないが、ではそもそも人々は何に関係
していることになるのだろうか。別に無関係
だからといってその場の真実を知ろうとして
はならないわけではないだろうし、その場と
は無関係な人々が知ろうとしているのは、そ
の場で行使される匿名の権力であり、その場
を構成する権力関係の実態なのではないか。
それが政治の実態であり虚構なのだろうか。 

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。