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彼の声

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彼の声 2017.7.22 「虚構の真実」

2017/07/23

 物と情報を結びつけるのは人の意識であり、
一般的には物の大きさや色や形や量などの情
報を記憶し記録したものが物に関する情報と
なるだろうが、中には人が物に何らかの作用
を及ぼすことに関する情報もあり、例えば食
料を道具を用いて調理して食べることに関し
ては調理法などの情報が得られ、資源は燃料
となったり加工して建築材料として使われる
他に、加工して道具を作って、さらに道具と
材料となる資源を使って機械類を作ると、道
具も機械も人によって作り出された物だから、
自然の産物である食料や資源とは違った人工
的な物となるわけで、そういう面で食料を調
理して作った料理や資源を加工して作った道
具や機械などに関する情報は、大きさや色や
形や量などのような単純な情報だけではなく、
調理法や製造法などのようにより込み入った
手順を含んだ複雑なものとなる。そういった
複雑な情報となると、記憶よりも記録の比重
が大きくなるだろうし、書物から電子的な記
録媒体まで様々な媒体に記録され、それらは
いつでも閲覧可能で比較的長期間にわたって
保存も可能であり、そのような知識としての
情報の蓄積が人類の文明を支えているわけだ
が、それらは物に関する情報というよりは人
に関する情報でもあり、さらにその中には情
報に関する情報まであるわけで、情報は対象
がそれ自身に及んでくると、途端に客観的に
は対象を捉えられなくなって表現の正確さを
欠いてくるのかもしれず、それをどう捉えた
らいいのかわからなくなり、たぶん際限がな
くなってくるのであり、いくら語っても汲み
尽くせないような謎が残ってしまい、例えば
クレタ人は嘘つきだとクレタ人が言った、と
いうような自己言及パラドックスが含まれて
くるのかもしれず、そういう情報は功利的な
活用には適さず、そんな社会の中で利用価値
の定かでない情報というのが、人類の文明を
支えているとは思えないだろうが、無駄に思
われるような知識も含めて情報であることは
確かで、実際に人はこの世に存在する全ての
物を利用しているわけではないし、情報の全
てを利用しているわけではないも当然かもし
れないが、記録として情報が無駄に蓄積され
ている実態があるのは、記録しようとする目
的に反することも確かであり、何かに利用し
ようとして蓄積しながらも、結果的に利用さ
れないまま朽ち果てるようなものは、それ自
体が蓄積衝動と呼ばれる心理現象を体現して
いて、それが人の不合理な性質を物語ってい
るだろうし、利用の有無に関わらずにひたす
ら蓄積して溜めておくことで安心感や満足感
を得ている面では役立っているとも言えるわ
けだが、それもほどほどのところで割り切ら
ないと際限がないだろうし、いくら溜め込ん
でも不安感を拭えないようなら、それも一種
のパラドックスだと言えるだろうか。

 必要が必要以外の効果をもたらすような現
象というのは、人の習性全般にわたって起こ
りうる可能性がありそうで、そこではっきり
とした目的を自覚しているとしても、周りの
状況が目的を捻じ曲げて無効にしかねない作
用を及ぼすこともあるだろうし、目的を自覚
させておいてから、それを裏切らざるを得な
い境遇に陥らせたり、実際に別の方面からそ
ういう思惑が働いている場合もあるだろうが、
誰もが無自覚に作用を及ぼしている場合があ
るわけで、何だかわからないが結果的にそう
なってしまう成り行きというのが、その場に
関係する誰の思惑からも外れた結果になって
いると、やはり誰もが自覚なしに行動するよ
うな事態を招いているわけで、そういう人の
意志の力が及ばない領域で物事が動いている
と、抗おうとしても抗えないような運命の導
きを感じるわけで、理詰めの推理劇がフィク
ションとしては成り立つにしても、それを逸
脱して理屈に合わないような行動が起きてし
まうところが、不条理な結果をもたらすわけ
だが、それが歴史的な経緯を構成していて、
それを後から理詰めで分析してみると、もっ
ともらしい因果関係が浮かび上がってくるの
だろうが、それを超える何かを取り逃がして
いるのかもしれず、その何かが何なのかわか
りようがなければ、永遠に謎のままとなって
しまうわけで、たぶん謎のままでも構わない
のだろうし、人が歴史の教訓として利用して
いるつもりになれるものは、いつも決まって
理詰めの分析からもたらされるのであり、そ
れが歴史的なフィクションを構成しているわ
けだが、その一方でいつもリアリティを感じ
るのは不条理に思われるような成り行きであ
り、その不可解な顛末であり結末なのだろう
し、謎のままとなっている部分に興味を惹か
れるわけだ。そして人はいつも利用できそう
な情報を利用しようとしていて、実際に利用
しながら何かをやっているわけだが、いつも
結果に至ると理詰めで結果に至った理由を考
えようとして、結果的に考えあぐねてしまう
場合の方が多いかもしれないが、うまく筋の
通った話にまとまれば、それはその話にとっ
て都合のいい情報をつなぎ合わせた結果だろ
うし、内容も見ずにそれをフィクションだと
決めつけるわけにはいかないだろうが、中に
は解読し難い謎が残ったままのフィクション
もあるわけで、人がフィクションにリアリテ
ィを感じるとしたら、それは理路整然と話が
展開する筋の通ったものではなく、謎だらけ
で不条理な話の展開と結末を伴ったものにな
るだろうか。人によって好みに違いがあるだ
ろうし、一概には言えないことは確かだが、
そこで作者の操作を超えているような面を感
じ取れるなら、それはフィクションが現実の
世界から何らかの作用を被っていることの証
しとなるのではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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