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彼の声 2017.7.21 「虚像と実像の狭間で」

2017/07/21

 たぶんそこには何もないわけではないが、
実際に何もないように思われるなら、それが
偽りのない実感なのだろうから、何もないと
思っておいても構わないが、それでは気が済
まないのなら幻想ぐらいは抱くことはできる
だろうし、それがフィクションであろうと現
実に存在する何であろうと、そこで気晴らし
や気休め程度のものを求めている限りは、そ
の程度の幻想なら世の中に溢れかえっている
だろうか。少なくともそこに目的があれば、
それを追い求めている間は何もないことを忘
れていられるかもしれないが、何を求めても
確かな実感は得られず、どこまでも虚無的な
気分がついて回るような心境なら、別にそれ
が通常の有様だと思っていても構わないので
あり、それ以上でも以下でもなく、こうある
べきという状態がないということだろうし、
それではとりとめがないから幻想を抱くのか
もしれず、心の拠り所が幻想であっても、そ
の幻想の中身が何であるかにもよるだろうが、
疑い深ければ安易なところでは妥協できない
だろうし、何が安易なのかよくわからない現
状もあるのかもしれないが、安易に思いつく
ものは全て安易なのだろうし、それ以外のも
のを探し出すには骨の折れる作業となるかも
しれないが、結局幻想を追い求めるというの
は、困難な作業を伴うほど幻想にはまり込め
るわけで、難しいこと考えたり行ったりする
ことで、何か自分にとっても世間にとっても
重要なことをやっているという実感が湧いて
くるわけで、達成感というのもそういう経験
から生じてくるのだろうし、難儀しながら何
か有意義なことをやっているように思われる
なら、それこそが幻想なのであり、何をやる
にしても何かしら困難に直面していないとそ
うは思わないのだろう。そういう意味ではそ
こに何もないように思われるなら、そこで何
かを探さなければならなくなるわけで、何も
ないところで何かを探す行為が困難をもたら
し、あわよくば誰も気づかないような何かを
探し出せたら、それは希少価値の高いものと
なるだろうし、それを探し出す過程こそが貴
重な経験だと思われるのではないか。そうな
るとそれが困難な作業であるほど、そこから
もたらされる幻想はとどまることを知らず、
そうすることに生きがいを感じさせ、それに
興味のない他人にとっては何でもないことで
あろうと、当人にしてみたらそれを追い求め
ることが最重要課題であったりするかもしれ
ないが、それでも当初に抱いていた何もない
ような印象が偽りのない実感なのであり、何
かのきっかけで途中から幻想を抱いてしまう
ような成り行きになろうと、それは一方的な
思い込みだと思っておいた方が、より妥当な
現状認識になるかもしれないのだが、そうい
う自然な認識に逆らうことによって、その人
に特有な困難に直面しているような気になれ
るのではないか。

 なぜあえて困難な体験をしたがるのかとい
えば、そうしないと幻想を抱けないからとな
るわけだが、たぶんそれは個人的な幻想だけ
ではなくて、集団的な幻想にも言えることな
のかもしれないが、その場合は集団で幻想を
共有することで実利を伴うのであり、実利を
得るとともにそれは幻想ではなくなり、実利
を得たという現実を経験するわけで、それが
実感されるとともに、それを実感できること
が集団内での申し合わせとして機能して、そ
れが社会的な行為として格上げされるのでは
ないか。そしてそんな集団で幻想を共有する
行為が、様々なメディアを通して求められて
いて、そんな行為にはまり込んだ人たちが、
勝手な固定観念や先入観を集団内で撒き散ら
して、そんな中から幻想に対する妥当な解釈
を練り上げようとしていて、それを集団内の
世論として取りまとめようとしているのだろ
うが、やはりそこでは何もないなんてあり得
ないだろうし、何らかの実感を伴ったイメー
ジが共有されているはずなのだろうが、そん
な印象でさえも集団内の各人が感じる程度や
強度はまちまちだろうし、決して同じにはな
らないのだろうが、それでもそこで流布され
ている単純化された論理に食いついてくる人
が必ずいるわけで、固定観念と先入観と単純
化された論理を結びつけて、集団で許容でき
る統一見解を示そうとしてくるわけだが、そ
れを利用することによって得られる実利とい
うのが、人気投票的な実利なのであり、集団
内で人気を博した当人にもたらされるもので
あるだけに、投票した人々には幻想がもたら
されるにしても、それは実利ではなくあくま
でも幻想であり、実体を伴っていないイメー
ジでしかないのかもしれず、それが現実に実
利を得た当人の認識との間で、埋めようのな
い落差が生じることは確かで、それは当人が
一番よくわかっていることかもしれないが、
その人の虚像に幻想を抱く人々にはわからな
いことかもしれず、そんな埋めようのない落
差こそが幻想の全てなのかもしれないし、そ
れがメディアを通してもたらされるその人の
イメージなのだろうから、それ自体がフィク
ションだとみなしてもそれほど間違ってはい
ないのかもしれない。そしてそこにもたらさ
れている困難とは、イメージから連想される
幻想と実際にそこに存在している現実とをど
う結びつけるかということだろうし、実際に
人々は集団内で共有されている固定観念と先
入観と単純化された論理に基づいて、現実と
フィクションとを一致させようとするのだろ
うが、それ自体が現実からかけ離れているわ
けだから、そこには幻想以外は何もないのか
もしれないのだが、それを現実だと思い込ま
ない限りは、気休めも気晴らしも得られない
現状があるのではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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