文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

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彼の声 2017.7.12 「自己形成と争い」

2017/07/13

 いつもそんなことが起こるわけでもないだ
ろうが、生きていれば稀に遭遇するかもしれ
ない出来事というのが、自分からの離脱現象
かもしれないのだが、そんなわけがわからな
い展開の中では、誰も期待しないような不可
思議なことが起こり、それが感動とも落胆と
も違う違和感をもたらして、何か人が安易に
空想する安手のフィクションにはないリアリ
ティを感じさせるかもしれないが、それほど
頻繁にそんなことが起こるわけでもなく、そ
う滅多にないことだからそれを体験した時に
は唖然とさせられるわけで、その時には日常
の感覚からは得られない体験をして一時的に
興奮するかもしれないが、それはつかの間の
出来事だろうし、いったんそれが過ぎ去って
興奮から覚めてまたいつもの日常へと戻れば、
相変わらず退屈な紋切り型的な思考や慣習と
戯れている自分を意識できるかもしれず、そ
うなってしまえば何事もなかったかのように
振る舞いながらも、機会を捉えてもっともら
しい口調でその時の驚きを語って見せるかも
しれないが、それを語る時にはすでに心の平
静を取り戻していて、その場で直面した一瞬
虚をつかれたような居心地の悪さなど忘れて
いるのかもしれず、どんなにその場での出来
事を詳しく語って見せても、直接体験した時
からだいぶ経っているといくぶんずれた感覚
になってしまうだろうし、その時にはもうす
でに恣意的な印象や作り話の要素が入り込ん
でしまっているかもしれず、そんなふうにし
て過去の体験は常に変形を被っていて、それ
を思い出す度に反芻的に新たな情報が付加さ
れて、絶えず記憶が書き換えられながらも更
新され続けているのかもしれないが、脳内の
神経ネットワークが作り出す意識には、そう
やって外部から入り込んでくる情報を自分が
消化しやすいように馴致する作用があって、
違和感を伴うような部分をなるべく和らげて、
できるだけ自分のペースに巻き込みながら、
外界からもたらされる変動に対応しようとす
る機構が備わっているのかもしれない。もち
ろん全てを自分のペースに巻き込めないから、
何らかの破綻や失敗を伴うわけだろうが、巻
き込もうとして巻き込めないところが、葛藤
や齟齬感を生じさせて消化不良を起こし、う
まく対応できずにそのことが原因で心身の均
衡が崩れて病気になったりして、それなりに
悩みを抱え込む羽目に陥るのではないか。

 だから意識はそれを乗り越えて心身の調和
を実現しようとするのかもしれないが、結果
的にはそうならなくても構わないのかもしれ
ず、実際にそうはならないわけで、意識と周
囲の現実の間に違和感をもたらすような齟齬
や軋轢が生じていないと自己を意識できず、
軋轢を意識することで自分を周りの環境から
区別できるようになり、そのような精神作用
が意識が背景に溶け込んで一体化するのを妨
げているわけだ。要するに自分が自分である
ことは、他人とは違う自分がそこに存在する
ことを意識できるかにかかっていて、そうや
って他人と同じようには振る舞えない自分が
いることを確認する作業が不可欠なのかもし
れないが、それが日々行われている限りで、
自分という存在を確認できるわけで、例えば
他人と意見の一致を見ないようなら、そこに
意見の対立があり、それをきっかけとした争
いや衝突が起こる可能性があるだろうし、実
際に争うことによって他人と対立している自
分を意識するわけだが、別に必要以上に対立
を意識しなくても構わない場合もあるわけで、
争わなくても済んでしまう状況にあれば実際
に争わないだろうし、争うことによって相手
との違いを際立たせる必要がなければ、他人
と違う自分を意識する必要もなくなって、無
理に自己を確認する作業を行わなくてもいい
わけだが、そうだとしてもそれによって心身
の調和が実現されているわけでもなければ、
心の平穏が保たれているわけでもないだろう
し、軋轢が生じていても実際に争わなければ
対立を伴わないわけで、対立しないで意見が
噛み合わなかったり、対峙しないでねじれの
位置から双方が別々の方角を向いていたり、
互いの視線が交わらなければ互いの存在を無
視できる場合もあるだろうし、それで同じ環
境内で住み分けができているわけでもないだ
ろうが、何かしら位置や場所を同じにしない
状況というのがあるわけで、それが立場や在
り方の多様性や多元性を実現しているとすれ
ば、ただそこに隔たりがあるだけなのかもし
れず、実際にはそんな都合よく個々の人間が
隔たっているわけでもなく、時間的にも場所
的にも絶えず交錯があるわけで、そこで言葉
が交わされて何らかの関係が結ばれる可能性
があるわけだが、その関係の強度や程度もお
互いの思惑や距離感に応じて、それが共鳴や
共振を起こすか否かを左右するわけで、中に
は一方的なこだわりや思い込みから、他者と
の関係を必然的かつ絶対視したがる人もいる
かもしれないが、それでも共通の価値観を共
有するという幻想を抱けなければ争う必要は
ないだろうし、争いから自己を形成するよう
な成り行きにもならないのかもしれない。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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